戦艦 大和
ニチモ 1/200 






航空作業甲板全景。1/200でのエッチングレール化は今回が初です。



航空作業甲板および航空艤装

大和型戦艦は、世界最強を誇った主砲や、幅の広い船体、中央にまとまった構造物などが魅力的な艦
ですが、船尾付近に大きなスペースが確保されたの航空作業甲板も見逃せないポイントだと思います。

この部分はニチモの1/200戦艦大和ではこれまでディティールアップ難易度が高く、ゴールドメダルの
基本パーツセットに含まれているカタパルトやクレーン以外はキットのままのプレーンな仕上がりとして
きたのですが、今回はゴールドメダルの追加パーツの登場で、1/350同様、レールやグレーチングの
エッチング表現が比較的容易にできるようになりました。

今回は、ゴールドメダルの新旧パーツを中心に、小西製作所の大和用パーツおよび、完成品として市販
されているものも使用し、従来の作例で最も豪華な仕上がりになりました。



***カタパルトおよびクレーン***

カタパルトのパーツは、キットのものも、けして悪い出来というわけでもなく、当時のプラキットとしてはかなりの
頑張りがみえるもので、4枚の板パーツを組み合わせてトラス形状を再現するなど、大スケールの利点を
生かした意欲的な表現がなされています。


↑キットのパーツ画像。大和のプラキットでカタパルトをここまで立体的
に再現しているのは、ニチモ1/200だけではないかと思います。ニチモ
大和は全体的に大味な印象があると言いつつも、各所にこうした頑
張りの見えるところが気に入っています。

しかし、このような、薄くて繊細な表現が必要なパーツとなると、エッチングパーツの最も得意とする部分で
すので、ここはゴールドメダルのエッチングパーツ(基本)のものに交換しました。 


↑ゴールドメダルパーツの組み立て前の画像。ゴールドメダルのカタパルトは
15枚ものエッチングパーツから組み立てるもので、呉式2号射出機をモデルに、
内部の仕切り等や滑車等が繊細に表現されています。
(1/200大和3回目の製作レポートより画像抜粋)


↑以前から、ゴールドメダルのカタパルトは他のメーカーのエッチング表現をリードしてきました。現在では
各部の機構を再現した精密なエッチングカタパルトも各スケール、各社からたくさん登場してきていますが、
現在でもゴールドメダルの製品というだけで、安心のブランドというか、大きな信頼感があります。


ジブクレーンは小西製作所より、空中線支柱も一緒になった完成品がリリースされているため、それをベ
ースに使用しました。


↑塗装を済ませた小西製作所のジブクレーン。真鍮鋳造パーツを半田付け
したガッチリとした作りで、安心感のある仕上げです。 基部補強板の軽目穴
の表現も繊細なイメージを与えてくれていいですね。


↑ジブクレーンはこの小西製クレーンをベースに、ゴールドメダルパーツのケーブルおよびフックを取り付
け、ディティールアップして仕上げました。画像に一緒に映っているライフリングブラケットはゴールドメダル
の追加パーツ、船尾フェアリーダーは小西製パーツからそれぞれ使用しているものです。 なお、ジブク
レーンやカタパルトは保存会からも精密なパーツが販売されています。


↑船尾甲板。艦載機格納庫の掘り込みが浅いので、手摺を取り付けて強調しておきました。この部分
は現在では天蓋のない格納庫という解釈があり、艦載機の移動はジブクレーンのみで行われていたの
が定説であると考えていたのですが、05年発売の学習研究社の1/100保存会大和の写真集では意外にも、
「エレベーター」という記載がありました。

この部分がエレベーターという説が今でもあるのでしたら、この床面の高さはエレベーター移動途中の
再現ということになると思います。 そうなるとタラップを再現していいのか?微妙でしたが、アクセントと
して追加しておきました。
 
なお、この部分の再現は、大和ミュージアムではエレベーターのない開放式、船の科学館1/50ではキャン
バス貼りの再現になるなど、作者や作られた時期によっていろいろ解釈の違いがあるようです。



***航空作業甲板表面、運搬軌条等***

当サイトの1/200戦艦大和の作例では、これまで航空作業甲板の運搬軌条は全てキットのモールドのまま
で仕上げてきました。 

大和をはじめとした連合艦隊艦艇の実物の運搬軌条が、床面より若干浮いた形状になっていたことは知っ
ていたのですが、仮にエバーグリーンのアイビームのような汎用パーツをベースに、支柱を自作して使用し
て仕上げてみたとしても、これまでの自分の力では正確かつ失敗のない表現に仕上がるかどうか?自信が
なかったことと、もともと付いている運搬軌条モールドを上手く除去できるかも疑問に思い、長年この部分
のディティールアップは見合わせてきました。

しかし今回はゴールドメダルの追加パーツを導入できたことで支柱の自作の必要がなくなり、またタイミング
良く、2006年3月と4月に1/350にて大和のゴールドメダル追加パーツを使用する機会もあって、別スケー
ルとはいえ、同様のパーツの使用を練習する機会に恵まれたことが幸いし、今回1/200でも初めて挑戦す
る準備ができました。 

とはいえ鬼門となるのは、運搬軌条の純正モールドの除去でした。1/350では航空作業甲板表面は、他に
モールドのないフラットな表現となっていたため、遠慮なくノミやサンドペーパーを使うことができたのですが、
1/200では表面にセメントコーティングを再現しているのか?滑り止めのザラ目モールドが入っていたので、
これらを傷つけないような処理が必要になりました。



↑結局、削ってはいけない部分にマスキングテープを貼り、デザインナイフで丁寧に表面を剥がし
て行き、その後ルーターで表面を整えました。画像では若干残ってみえる部分もありますが、これ
は後ほど修正しておきました。 夜間歩行帯は軌条取り付け前に塗装しておけば、取り付け後に
塗装する方法と比べて数段楽に仕上がります。 エッチング軌条の取り付けガイドとして、ピンバイ
スによる穴あけ処理を終えた直後の画像です。 

ゴールドメダルの英文解説書には、先にガイド穴を開けてから、モールドを削るように指定してありましたが、
ニチモキットは場所によって軌道間隔が異なるため、モールドと穴あけ箇所が重なる部分と重ならない部分
が出てきて苦労することになると思いますので、モールドは先に削っておいた方が上手くいきます。


↑これがその運搬軌条のパーツ(船体色で塗装しました)。なんだか目がおかしくなりそうな
画像ですので↓にアップで掲載しました。


↑支柱の構造も立体的に表現され、側面もちゃんと「I」形状のモールドが再現されています。


↑これらのレールは一定の長さのパーツが複数用意されているので、一本一本必要に応
じた長さに切って貼り付けていきました。


↑旋回板の様子。ゲート部分に真鍮色が残っていますが、こうした立体的な
レール表現は、昨年、船の科学館で間近で1/50大和を見たときから、ぜひやって
みたいと思ってました。 手軽に表現可能なパーツをリリースしてくれたゴールドメ
ダル社に感謝です!


↑これは航空作業甲板の左右にあるスノコ状のグレーチングを立体的に再現
するためのパーツです。ゴールドメダル追加パーツからのものですが、同社の
大和用エッチングパーツでは、すべてこのような形状となっており、一旦グレ
ーチングモールドを抜いて裏側から貼り付けるための形状でデザインされてい
ます。


↑しかし、1/200ニチモキットではグレーチングモールドを抜いてしまうと、内火艇搬入
口の支柱との兼ね合いで位置が合わず、かえって見苦しくなってしまう可能性があった
ので、今回は上面からの貼り付け表現とし、そのままでは干渉してしまう機銃座部分を
切り取って使用しました。


↑航空作業甲板表面の再現をおよそ終えた状態です。ミュージアムモデルに近い仕上がりで大満足の
完成度となりました。 


***艦載機および、艦載機用艤装の様子***

ニチモの1/200大和キットには、1/200スケールの零式3座水上偵察機と零式水上偵察機のキットが各2機
ずつ計4機付属しており、大和キットのスタンダードといえる構成になっているのですが、そこそこに繊細に
モールドが彫られている反面、金型の痛みが激しく、数年前に製作したものと比べると、使用は困難という
他はない状態までコンディションが悪化していました。

左右の合わせ目は、艦橋パーツ等と同様の悪さとなっており、すり合わせだけでは綺麗な接着は難しく、
またモールドを壊してしまう可能性が高いことから、パテによる修正も行えないので、今回は思い切って
艦載機も社外パーツへの差し替えを行うことにしました。

使用したのは、小西製作所のマイクロプレーンシリーズのもので、キットと完成品との価格差がほとんどなか
ったので、少し安易なやり方という気もしますが、完成品を取り寄せ、若干の修正を加えた上で、ほぼその
まま使用しました。


↑小西製作所のマイクロプレーン。本来、単体での観賞用として市販されている完成品で、左が零観、
右が三座水偵です。全金属製で発色も重々しく、塗装、デカール貼り付けも丁寧に行われているので、
手元に届いたら、あとは載せるだけという状態です。 キャノピーのシルバー塗装は小型飛行機モデルの
仕上げとして一般的な方法のひとつですが、今回の大和には少しコントラストが強く思えたので、スモーク
グレーをコートしてトーンを落としました。


↑艦載機を運搬軌条上に塔載するための滑走車、運搬台車はゴールドメダルの基本エッチング
パーツから使用。右側がキットパーツ、左側が双フロート用の台車を乗せた滑走車です。


↑各艦載機の搭載位置。零観は2機、三座水偵は1機をこのような配置で装備しました。資料によ
ると、大和の艦載機定数は7機で、捷一号作戦後、天一号作戦までは零観1機のみが塔載されて
いたそうです。


↑零式観測機および運搬軌条、台車、グレーチングなどの様子。


↑木甲板と航空作業甲板の継ぎ目にあるコーミング(防水縁材)はプラバンにて自作しました。
このコーミングの存在は、大和を左後方から捉えた有名な艤装工事中の写真で確認することが
できます。

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