戦艦 大和
タミヤ 1/350 徹底ディティールアップ決定版






↑当サイトの作例において御馴染みのサフ階層を使った鋼板継ぎ目表現。今回は従来の方法に若干 のアレンジを施しました。


舷側鋼板継ぎ目およびリベットの再現

大和型戦艦が計画されていた当時の日本海軍艦艇の船体建造は、既に従来までの鋲
打ちから 電気溶接を中心に行われる方法に推移しつつありましたが、船体構造の検討
しなおしを迫られる、2つの大事件(友鶴事件、第四艦隊事件)をきっかけに、再び鋲打ち中
心の方法が用いられるようになりました。

しかし、全ての作業を鋲打ち中心で行うとなると、重量の増大などの諸問題が発生し、巨
艦には不利に働くため、大和型戦艦の建造は鋲打ちと電気溶接が併用して行われるこ
とになりました。 

結果、使用したりリベットの本数は約6150000本、溶接箇所の総延長距離は464000メー
トル、使用した溶接棒は7500000本にも及びました。 リベット、溶接ともに長門型戦艦建
造の際の、倍近い量を必要としたという数値を見るだけでも、大和型戦艦の巨大さを実感
することができます。



↑HIGH-GEARed HOBBY WORKS!!の作例では、舷側鋼板の継ぎ目をサフの塗膜を使用した
階層で表現しています。段差を作りたいところにマスキングテープを貼り、サーフェーサーを厚めに
吹き付け、乾燥後に剥がすことでテープを貼っていた場所に凹モールドを作り出すという方法です。
作業の前に、一旦船体全部に軽くサフを吹き付け、表面を整えてから作業に入ります。



↑今回は、まず側面にはみ出した舷側アーマーの部分に凹モールドを作るため、アーマー部分のみをマ
スキングしてみました。実艦の大和では、進水式の際の4万トンの重量制限をクリアするため、重量の大きい
アーマー部分は取り付けられずに進水、その後、ポンツーンに移動して取り付け作業が行われたようです。
ですので、この部分に関しては、通常の鋼板継ぎ目と継ぎ方が違っていたと解釈して、この部分の表現を
従来の方法より少し変更してみました。



↑汚水捨管のモールドは、そのまま使用するため、それらを避けてのマスキングになります。
このような細かい部分は、テープを細切りサイズに切り出して対応します。



↑同じように、鋼板の継ぎ目配置が異なっていたと思われるバルバスバウ周辺もマスキン
グしました。なお、実艦の大和のバルパスバウは、鋳造したものでも削りだしたものでもな
く、25mmのDS材を熟練した職人が叩き出して製作したものだそうです。しかもこの球状の
パーツは2重構造だったようで、2枚の鋼板を同じ曲線で寸分のスキマもなくピッタリと合う
ように叩き出す職人の技術力には、ただただ驚愕するばかりです。こうして作られたバル
バスバウはクレーンで船首に取り付けられ、その取り付け作業には、2日間を要したそうです。



↑この状態で1000番のサーフェーサーを2回、1200番のサーフェーサーを一回吹き付けて、鋼板の段差を
出します。続けて、アーマー部分のマスキングテープを剥がさずに、舷側鋼板の横方向の継ぎ目にあたる
位置に、5ミリ幅のマスキングテープを均等に貼ります。テープは間をあけて貼るのではなく、実際に5ミリ幅
のテープを間に貼り、そのテープをガイドにして次のテープを貼れば上手く行きます。



↑汚水捨管にはサフが回らないように、マスキングしておきます。こうすることで、汚水捨管モールドが余分
なサフで太ってしまうことを防止できます。鋼板継ぎ目は、船底にもある筈ですが、今回は目立つ舷側部分
にのみモールド追加を行いました。



↑アーマーの時と同じように、1000番のサフと1200番のサフを吹き終わり、マスキングテープを剥がした状態。
このように、かなりメリハリの効いた鋼板継ぎ目が再現できました。そのままではエッジが立ちすぎていて若干
不自然ですので、1000番のサンドペーパーを軽くかけ、段差のエッジを落ち着かせました。



↑船体中心部のアーマー部分。少しサフの吹き込みがあったので、これはペーパーで修正
しておきました。 アーマー部分にも継ぎ目がある筈ですが、この部分の継ぎ方はあまり良く
分からなかったので、今回は省略しています。(縦に細かい継ぎ目を想像しているのですが)



↑続いて、縦方向の鋼板継ぎ目を再現すべく、船体に5cm間隔のマーキングを施していきます。
いつもでしたら、この縦方向の継ぎ目も、均等なサイズのマスキングテープを貼り付け、サフの階
層によって再現するところなのですが、今回はいつもとは違った方法で継ぎ目を再現してみるこ
とにしました。



↑5cm間隔で船首から船尾まで均等にマーキングされた1/350戦艦大和の船体。継ぎ目の位置は、この
マーキング位置をガイドにして位置決めをしていきます。



↑今回は、このような汎用エッチングパーツを使用します。八角機銃座
自作の際に使用した滑り止め鋼板エッチングパーツと同じ、ファインモ
ールドの汎用パーツです。 この「すべり止め・ドット05」は、リベットを均
等にビッシリと打ち込んだ鋼板を再現したもので、これを鋼板継ぎ目部
分に貼りつけることで、艦船の舷側にビッシリ並べられていたリベットに
近い姿を再現することが可能です。



↑パーツをアップにしてみると、このようにたくさんのリベットが並べられています。今回は、これ
を鋼板の幅に切りそろえて貼りつけ、縦の継ぎ目の再現に利用しました。 この方法は、モデル
アート誌増刊号 「艦船模型スペシャル No19 阿賀野 能代 矢矧 酒匂」の読者投稿作品
(読者投稿作品のため、作者名は伏せます)の中で紹介されていたもので、同誌の作例では
プラバン貼り付けによる鋼板継ぎ目再現に使用されていたのですが、ここでは自分なりの方法
(サフ階層)の鋼板継ぎ目再現と併用するカタチでアレンジして使わせて頂きました。



↑このエッチングパーツを、5mm×3mmのサイズにデザインナイフで切り分け、順番に貼り付けていきま
す。必要数は両舷合わせて170枚程です。この必要数を揃えるために、上に紹介したファインモールド
の「AE-13」を2セット必要としました。(ところで このパーツ、よほど売れてないのか?大阪一来客数の多
いと思われる大阪日本橋のビル1個丸々ホビー用品店という巨大量販店でさえ、パッケージが色あせ
て変色するくらい経年劣化を起こしていました)



↑継ぎ目の位置も従来の作例とは少し変更し、縦2枚ごとに同じ継ぎ目に戻ってくる順番で継い
でいきました。日本海軍艦艇模型保存会の1/100戦艦大和写真集を参考にした継ぎ方ですが、
1/100では更に継ぎ方が細かい為、ここではかなりディフォルメした配置としています。



↑船体中央部の様子。アーマー部分には継ぎ目は施していません。

次回は舷外消磁電路および、注排水口の紹介です。



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