戦艦 大和
タミヤ 1/350 徹底ディティールアップ決定版






↑「プラモデル的」な表現から一歩抜け出す船体加工。今回は舷外消磁電路のディティールアッ
プと注排水口の再現方法を紹介します。



舷外消磁電路および注排水口の再現

HIGH-GEARedが艦船模型の舷側ディティールについて考えるようになったキッカケは、20世紀末
頃に、日本海軍艦艇模型保存会の1/100戦艦大和の写真を誌上で見たことに始まります。

故 河井登喜夫先生の製作されたその大和の舷側には、細かい鋼板はもちろん、その表面に打た
れた無数のリベットまで再現され、それまで素組しかやったことのなかったHIGH-GEARedには、
大変な衝撃を与えてくれました。

それまで「艦船が好き」と言っていても、所詮はそのシルエットであるとか、巨砲であるとか、その活
躍に魅せられていたに過ぎない自分にとって、その大和は「船というものは、精密に作られたマシ
ンなんだよ」ということを、教えてくれていた気がします。 大和の仕組みや構造、そして大和を建造
し、動かした人間達に関心が向くようになったのは、それからのことでした。

それ以降、船体舷側の鋼板や、艤装の精密化は、「プラモデル」を「実物を再現した模型」に変え
るひとつの大きなステップであると考えるようになりました。 

もちろん、鋼板継ぎ目などは再現していなくても、素晴らしい模型は世の中に数多く存在します
し、大和ミュージアムの1/10戦艦大和などでもしかりです。 けして舷側のディティールアップを施して
いる模型がエラいと考えているわけではありませんが、自分の作る模型においては、こうした表現
は今後も艦船モデラーとしての自分の表現力を問う上で、大きな課題になってくると考えています。



↑前置きが長くなりましたが、まずは舷外消磁電路のディティールアップをご紹介します。キット
の船体にも、この電路はモールドされているのですが、「船体の下地処理」の頁で切削してしま
ったため、このライオンロアの「真実の大和」セットのエッチングパーツを貼り付けて再現すること
なります。

なお、舷外消磁電路とは、その名の通り舷側の磁力を消すための装置で、船体舷側にコイルを
巻き、通電させることで艦が生じる磁場とは逆の磁場を発生させて、磁気機雷の効果をなくすこと
を可能にしました。(実際に効果があったかどうかは不明です) 

また、日本海軍ではこの舷外消磁電路の実用化は軍事機密にあたり、新聞などの艦船の写真に
おいては写真を加工することで、この電路をボカして掲載するなど、徹底した機密処理がなされ
ていました。



↑アップで見ると、ライオンロアのパーツはこのようになっています。スケール性を
考えると若干薄めではありますが、電路以外に止め具も用意されているため、プラ
バン自作よりも繊細な表現が可能で、船首など、一部の電路は専用に曲げて成型
されたパーツも用意されています。



↑エッチングパーツの電路を貼りつけた船首の様子。専用パーツの用意されていない部分は、
直線の電路パーツを必要に応じた長さに切り分け、現物合わせで貼り付けていきます。



↑内火艇格納庫および烹炊所周辺。ちなみに烹炊所は右舷と左舷に二箇所あり、右舷側は兵員
用、左舷側は士官用と、分けて配置されていました。



↑内火艇格納庫付近の舷外消磁電路の配置は、現在の大和研究においても、大きな謎とされ
ている部分です。今回は、大和ミュージアムの1/10戦艦大和と同様に、内火艇格納庫床面を
跨ぐ配置としました。(キットでも同様の配置です) なお、この部分の床面には滑り止め鋼板を
再現していますが、これはエデュアルドの武蔵用エッチングパーツを利用したものです。


続いて、実艦で船底に開けられていた注排水口をピンバイス加工で再現します。1/350スケー
ル程度のサイズの艦船模型においては、この再現を過剰に行うと大体において厚化粧というか、
不自然な雰囲気に仕上がってしまうものですが、今回はやや厚めに吹き重ねたサフ鋼板や、
リベット鋼板の再現もあり、少しくらい大袈裟に再現してもバランス的にはおかしくなることもない
と考え、資料を参考に、できるだけ多くを再現してみました。



↑参考にした資料は、日本海軍艦艇模型保存会の会報『聯合艦隊』のNo92号の30ページに掲載
された図面です。大和に関する注排水口の一次資料はまだ見つかっていないため、この図面は
戦艦霧島の入渠用図を参考に、河井登喜夫先生が先生が その配置を大和に当てはめて描かれ
たものです。今回は船底下面のものは省略し、船底側面の注排水口のみをマーキングしていきました。



↑場所によってピンバイスのドリル系を選びつつ、慎重に穴を開けていきます。しかし、何気なく
図面を見ながら作業をしていたら、間違って左右対称の注排水口配置で加工を行ってしまい、
作業終了後に慌てて必要のない穴をパテ埋めして修正する事態が発生してしまいました。実際
には左舷のみの穴と右舷のみの穴があるわけでして、それらをあらかじめしっかりと区別しておか
なくてはなりませんでした。もっと集中して作業をしなくてはいけませんね。(苦笑)



↑穴をパテ埋めし、サフで整えるなどの修正作業を行ううちに、せっかく作った横方向の継ぎ目が
ダルくなって来たので、部分的にマスキング→サフ階層作りの作業をやり直しました。



↑これで船体の舷側のディティールアップは無事終了し、あとは塗装するだけです。これまでは、
作業性を考えて、先に船体色を塗装し、あとから船底色を吹き重ねていたのですが、今回は全て
の船体色部分の下地に赤茶下地を作っているため、先に船底色(GSIクレオス No29)を塗装しま
した。なお、塗りムラ防止のため、今回の製作では この部分のみ唯一スプレーカラーを使用して
塗装しました。 あとは全てエアブラシ塗装です。



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