戦艦 大和
タミヤ 1/350 徹底ディティールアップ決定版






↑「超」仮組み状態の船体。構造物のディティールアップとバランスを取るべく、今回は船体にも
様々な処置を施し、精密感を追求してみました。今回はその前処理について紹介します。



船体の下処理

大和型戦艦は基準排水量64000トンで、名実ともに世界最大の戦艦として知られています。 

この巨大な船体は、46センチ主砲の発射の衝撃に耐えられる最小限のサイズであり、
大和設計に携わった呉海軍工廠設計係製図員の西畑作太郎氏は、「大和は
巨大であるということが良く言われるが、これだけの装備を持たせている割には 良く
小さくまとまっており、むしろ装備の割に船体が小さいことが特徴である」と語ってお
られました。

その大和の船体の特徴は、世界中の戦艦を見ても他に例がないほど幅が広く、その
幅の広さと比較して、全長は非常に短いというところにあります。 

これは、砲戦などの際に敵艦からの砲撃に対して的を小さくするという目的があり、中
央に集中した中央構造物や、重心を下げる目的も兼ねて低く設定された1番主砲塔
付近の「大和坂」にも同じ設計思想が反映されています。

艦の幅が広くなることで速力が不足するデメリットを補うため、船首にはバルパスバウと
呼ばれる球状艦首を採用し、巨艦としては当初の予想を超える速度を可能にしました。

船体舷側にはバイタルパートと呼ばれる主要部分に強靭な装甲を施し、たとえ敵艦が
大和型戦艦とおなじ46cm主砲を開発し、命中させたとしても、その破壊力に耐えられ
るよう設計されました。

船底の側面には巨大なバルジが取り付けられ、内部には水防、注排水区画が設けら
れ、実戦での被害を想定したあらゆる対策が測られていました。 昭和19年1月よりの
呉での修復の際に、このバルジを目撃した機銃員の森下久氏によれば、船底が大き
く膨らんだ様子は、「まるで蛙を飲み込んだ青大将のようであった」ということです。


模型の世界では、現在でこそ左右分割構成の船体も普及し、舷側のディティールを精
密に再現する手法がとられるようになりましたが、タミヤ1/350戦艦大和がリリースされた
時代は、まだ一体成型のモノコック船体が普通でした。 とはいえ、当時の最新技術(ス
ライド金型というのでしょうか?)を使用し、汚水捨管や舷外消磁電路はもちろん、ビル
ジキールも立体的に再現されています。


↑とはいえ、リリースされてから20年以上経過しているキットだけに、バリとヒケはそれな
りにでているので、軽くサンディングしてヒケを探し、パテを盛って修正。バリはもちろ
ん削り取ります。 これらの痛みは主にバルパスバウ近辺に集中しているようです。


↑舷側には汚水捨管および舷外消磁電路がモールドされています。このうち、汚水捨
管のモールドはそのまま使用しますが、舷外消磁電路はライオンロアのエッチングパ
ーツに交換するため、純正モールドを全て削り取りました。


↑これは荒削りを終えた状態。これからペーパーやミニルーターで成型していくので
すが、モールドの痕は後にエッチングパーツの貼り付けガイドにするために完全には
消さず、わずかに見える程度に残しておきます。 モールドが細めなので、残った部分
はエッチングパーツを貼り付ける際に隠れてしまいますので、それほど神経質になる
必要もありません。


↑続いて後部の短艇格納庫の換気扇窓の形状を修正します。この窓は、従来
は丸形状の窓と解釈されていたものの、写真解析によって「四角形状ではない
か?」との研究結果が出され、結果「大和ミュージアム1/10戦艦大和」などでも
四角形状が採用されています。そこで、今回の1/350決定版でも同じ四角形状
に成型してみることにしました。


↑方法は、一旦丸穴を開けて、角棒ヤスリでエッジを出していく方法です。これは
まだ成型中の画像ですが、地道にやれば徐々に正確な正方形が出来てきました。
なお、今回の作例では自身の好みで四角形状に整えましたが、昨年の研究では
写真を解析しなおした結果「やはり丸型のようである」という説が浮上しました。これ
だから、大和の形状は作る人によってバラバラになるのです。(笑) なお、画像に
は映っていませんが、前方の第6、第8ディーゼル発電機の排気口も同じように角
型形状で開口させました。


↑これは短艇格納庫出入り口側面のパーツです。丁度、航空作業甲板の直下に
なるので、張り出し部分を支える支柱が三角形で成型されています。


↑これらの支柱もエッチングパーツに交換するため、残らず削り取りました。完全に
削り取ってしまう前に、支柱の位置を紙などに記して保管しておけば、後からエッチン
グ支柱を取り付ける際の位置あわせに便利です。


↑もちろん、このパーツも継ぎ目をパテで埋めます。これでサフ吹き前の船体の下地
処理が完了しました。 次は、いよいよこの船体にディティールを追加していく作業です。



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