戦艦 大和
タミヤ 1/350 徹底ディティールアップ決定版






↑キットパーツのマストは、基部、上部とも近年の考証とは異なる形状に仕上がっていま
すので、大幅に改造して支柱構成を修正しました。


後檣のディティールアップと、一部構造変更

大和型戦艦の後檣(マスト)は、他の どの日本艦艇とも異なる傾斜マストを採用し、そ
の独特の艦容を構成するひとつの大きな素材となっています。

大和型戦艦が建造される際、「500海里の距離まで通信可能とする」とされた海軍側
の要求に答えるべく、マストの長さを稼ぐ必要性があったことと同時に、主砲発射の
際の爆風対策の形状を考慮した結果、このような形状のマストとなりました。

中央の支柱が信号旗掲揚用、左右の2本が通信用アンテナとして使用され、信号灯
より上の部分は実は金属製ではなく、木製でした。


今回の1/350戦艦大和決定版では、このマスト部分はキットのパーツをベースに大改
造を行いました。

と、言いますのもタミヤの1/350戦艦大和では、マストのキットパーツの構成に大きな
間違いがあるからです。

まず、中央構造物に直接刺さっている基部の三脚支柱の形状が、キットパーツの前
一脚、後二脚構成ではなく、前後逆の前二脚、後一脚構成であることが現在では
分かっており、また上部の補強支柱のレイアウトも、キットでは竣工時の大和のマ
ストでの構成を再現していますが、最終時には補強支柱のレイアウトが変えられていた
ことが分かっています。

この、「タミヤ1/350戦艦大和のマスト問題」の対策品としては、モデルアート社より、
高橋ヤスヒコ先生が自ら製作されたという真鍮製の手作りマストが市販されていますが、
初心者を対象にしたものなのか?補強支柱のレイアウトは修正されているものの、肝
心のマスト基部の構成がキットパーツそのままになってしまっています。(逆バージョン
も市販されることがあれば、コアなファンが欲しがるかもしれません)



↑これがキットの説明書に掲載されているマストパーツの全体
図です。 基部の支柱配置は、このように前一脚、後二脚の構
成になっているため、赤い文字で記載した部分からふたつに
切断し、前後を入れ替えることで新考証の脚配置に変更します。


↑しかし、マスト本体の基部を前後逆に直したところで、中央構造物上の取り付け穴
は前一脚、後二脚構造のままですから、修正の必要があります。 普通に考えれば、
もともとあった穴をパテを使って埋め、新しい穴をピンバイスであけなおせば大した苦
労もなく、取り付け穴の位置を修正することが可能です。 しかし、今回はこれだけでは
すませられない、難しい問題に直面しました。


↑これが問題のパーツです。エデュアルドの武蔵用セットに入っている滑り
止め鋼板パーツです。今回はなんとしてもこのパーツで滑り止め鋼板を再現
したいと考えていたので、このパーツのマストの取り付け穴も修正する必要に
迫られました。

マスト基部の滑り止め鋼板の左右の形状が、前後に対称だったら一度切断して
逆向きに取り付けるという方法もありますが、形状が異なるためできず、穴を埋め
るために余った滑り止め鋼板をポンチで抜いてみるなど、対策方法を検討して
挑戦してみましたが、厚みのある金属板はポンチでは上手く抜くことができずに、
これも結局断念せざるをえませんでした。


いろいろ悩みはありましたが、実際にはじめてみないと何もはじまらないということで、
練習用に一枚持っている「実験用1/350戦艦大和甲板」を使って、まずは新しい取り
付け穴を開けることから始めてみました。マスト基部の上に開いている穴は、接着強
度を稼ぐための真鍮線埋め込み用の穴です。


↑また、マスト上部も大きな作り変えが必要になります。タミヤの1/350戦艦大和キッ
トのマストは、竣工時の補強支柱と同じ構成になっていますが、この支柱構成は、以
前主砲の側面形状について記載した際に紹介しました ポーランドの艦船研究家、
ヤヌス・シコルスキー先生の写真解析により、途中で変更されていたことが明らかに
なりました。 

ですのでマスト考証につきましては、「第一発見者の説に従おう」ということで、「ヤヌス・
シコルスキー戦艦大和図面集」の図面を元に、改造を行いました。



↑これは、キットのマストの組み立て説明書です。今回行いましたマストの上部の補
強支柱形状の変更作業の様子を、この図を使ってご紹介します。 まず、組み立て
前のパーツ段階で、左の図に従って赤い部分をカットし、組み立てた後に右の図の
緑色の部分を、真鍮線で自作して付け足します。
(基部の作り変えは、この図においては省略しています)


↑このようにして見ると、真鍮色の作り変え部分がはっきりと分かります。ラッタルの
位置は、後期型のマストの場合は公試中のような鮮明な画像が見つからないため、
自分で推測した場所に取り付けています。


↑次は十三号電探の組み立てです。これは各エッチングパーツに含まれています
が、出来は正直、どれも似たり寄ったりです。今回は3枚のパーツを組み合わせて
使うゴールドメダル製を使用しました。


↑マストの基部と上部を繋ぎ、電探を取り付け、中央構造物に仮付けしてみた状態
です。結局、もともと開いていた取り付け穴は、ハッチのエッチングパーツを貼って
隠して誤魔化しました。(笑) マスト基部の環座はライオンロアのパーツを使用しています。


↑今回作り変えたマスト(左)と、従来の作例のもの(右)との比較です。基部の構成
や、補強支柱のレイアウト、電探の取りつけ支柱の形状などが異なることがお分かり
頂けると思います。


↑あとはマストに細々としたエッチングパーツを取り付ければ完成です。
これらのパーツは、全てエデュアルドの武蔵用のパーツで、右側の信号
灯取り付け台のみライオンロアパーツにも設定がありますが、あとはエデ
ュアルドのみのオリジナルパーツです。


↑信号灯は、静岡模型協同組合製の1/700WLリニューアルパーツから、サイズの合
うものを取り付けました。これで無事、最新考証に近い形状のマストの再現が完了し
ました。


↑キットパーツがベースとはいえ、上手くやればここまで形状を変えることが可能です。
マストそのものを真鍮線で いちから自作したりするのは難しいですが、このやり方でしたら、
ディティールアップ経験の少ない方でも、比較的簡単に新考証のマストを再現可能と思います。
キットパーツをベースに、マストを作り変えたいけどやり方が分からなかったという方は、ぜ
ひ参考にしてみてください。



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