戦艦 大和
タミヤ 1/350 徹底ディティールアップ決定版






主砲と供に、大和の代表的装備である15m測距儀



1/350戦艦大和 前部艦橋の組み立て 前編

1/350戦艦大和徹底ディティールアップ決定版の製作は、いよいよ大和の顔とも言える艦橋に
きました。

この部分は大和の頭脳でもあり、模型の中でも目立つ部分だけに、様々なディティールアップが
集中することになりました。 

製作開始当初から、この部分のディティールアップは具体的な計画を立てていたので、その計画
に基づいて少しずつ理想の姿に近づけていきました。 これまでの作例では行ってこなかった、
新たなディティールアップ方法も多分に採り入れましたので、これまでの艦橋とは一味違った精
密感を演出できたと思っています。

艦橋のディティールアップは、作業工数が他のパートと比べるとかなり多くなりますので、2回に分
けて紹介していきます。 今回は前編です。


まずは、大和の艦橋頂部に装備された15m測距儀および主砲射撃指揮所、21号電探などの製作
から開始します。


↑これがキットパーツの15m測距儀および主砲射撃指揮所、21号電探などを
そのまま組み立てたものです。タミヤの1/350では測距儀室の丸型考証をこの
時期から採り入れているため、ディティールアップのベースとしては非常に使
いやすいものです。 測距儀両側の上に耳のように付いている電探は、現在の
考証の形状より大型なので、精密化も兼ねてエッチングパーツに交換します。


↑まずは、後部艦橋の10m測距儀と同じように、観測窓を開口します。大和の測距儀は、艦橋
頂部の大変危険な場所にありますが、坊の岬沖海戦では、測的発進手の八杉康夫氏と、測距
儀測手の石田直義氏が生還され、また測距儀の更に上にある主砲射撃指揮所に配属されて
いた小林健氏も生還されました。


↑そして、一気にここまで仕上がった状態まで飛ぶのですが、この作業自体は基本的にパーツを
次々と組み立てて取り付けていくだけですので、別段難しさはありません。測距儀覆筒前面の
補強支柱は、大和ミュージアムの1/10戦艦大和や、最新のCG資料などで良くみかけるようになった
ものですが、ライオンロアが初めてパーツ化してくれました。この前面補強支柱のパーツ化は、本当
に嬉しかったです。


↑しかし、このパーツは急いで作られたものなのか?ライオンロアの同パーツセッ
トに含まれるキャットウォークとの寸法が合わず、前面に大きく張り出してしまって
いるため、「部分的に使えないキャットウォーク」になってしまいました。 近年の
考証では、防空指揮所の伝令室の存在が有力となった関係で、キャットウォーク
には手摺はなかったとする考え方が普及してきましたが、個人的にはここに手摺を
付けるのが好きなため、付けられるところを選んで取り付けました。 こうしてみると、
測距儀の点検などを行うには、前面補強板の上に一旦登るか潜り抜けねばなら
ず、厄介な仕事になりそうです。(笑)


↑そしてこちらは測距儀覆筒背面の補強支柱のエッチングパーツです。なぜ
かこの部分は、キットパーツより長く作られているものが多いので、慎重に選ば
なくてはなりません。左から、エデュアルド、ゴールドメダル、ライオンロアの各
パーツです。ディティール的にはリベットも打たれているライオンロア製に軍配
が上がるところですが、寸法が厳しいため、左のエデュアルド製を使用しました。


↑こちらは背面の様子。キットパーツの背面支柱の取り付けに使う穴はパテで埋めてからエッチン
グパーツに交換しました。測距儀室背面のラッタルは、防空指揮所から主砲射撃指揮所へ上がる
際の手がかりとなる部分が必要と考え、測距儀室の床面より低いところまで伸ばしてあります。21号
電探は非常に繊細なパーツですので塗料の回りが良くないと考え、この段階では取り付けず、先
に塗装を済ませてから組み立て、取り付けました。


↑これが塗装を終えた21号電探。前面保護金網を再現したライオンロア製のパーツで
す。ライオンロアの電探は何故か2種類あり、八木式空中線素子を再現したものもあっ
たのですが、あまりに精密で使用に困難が予想されたため、今回は素子を省略した再
現となりました。 ちなみに、ホワイトエンサインのパーツでも素子が再現されています。
右上に映っているのは、箱型に組み立てた状態。画像の右下に映っているのは、電探
背面に取り付ける補強支柱です。大和沈没の時、最後まで測距儀室にいた八杉氏は、
大和が横転する際、この電探の保護金網につかまった状態のまま、海に飲み込まれた
そうです。



↑電探を取りつけ、塗装を終えた15m測距儀および主砲射撃指揮所の様子。大和
に塔載された実物の15m測距儀は、当時の日本光学が命をかけて作ったもので、5
万メートルまでの距離を測ることができました。この測距儀で計測した諸言を、上部
の主砲射撃指揮所に伝え、指揮所の射手が引き金を引くことで、主砲が発射され
ます。 あまり知られていないのは、このとき引き金を引けば必ず砲弾が飛び出すと
いうわけではなく、計算された数値に基づいたタイミングを一瞬でも外せば弾は飛
び出さず、射撃失敗になるということです。さらに、砲身も巨大なため、数値だけでは
測りきれない各砲身のクセまでも考慮に入れ、目標に命中させる砲撃を行う射手の
技量はまさしく神業であったといいます。なお、生還者の小林健氏によれば、最も命
中率の高い距離は、4万〜4万3千m付近だったそうです。


↑背面の様子。この時点では実は電探背面支柱はゴールドメダル製のパーツを取り付
けていたのですが、長さが足りない為、補強部の位置が納得いかなかったので、後にホ
ワイトエンサインのパーツに付け替えました。信号灯のラッタル兼支柱になっている部分
は、考証にあるような形状は自分には再現不可能ですので、通常のラッタルを取り付けて
アレンジしました。ところどころ、エッチングパーツの色はげが見えますが、これは後に
再度塗料を拭き重ねることで消しました。

こうして完成した測距儀関連パーツをみると、電探および前面補強支柱とキャットウォーク(ライオ
ンロア)、手摺(ゴールドメダル)後部補強支柱、主砲射撃指揮所出入り口およびラッタル(エデュ
アルド)、電探基部とループアンテナ(ゴールドメダル追加パーツ)、電探補強支柱(ホワイトエン
サイン)と、実にいろいろなパーツを使用したなぁという気がします。 

しかし、こうして多くの選択肢を使うことで、これまでの作例にない精密機械感が漂う測距儀が完成
し、非常に満足の行く製作となりました。


続いて、いよいよ艦橋本体の組み立てに入ります。本体の部品は、例によって左右に「ひらき」状
に分割された部品と、防空指揮所と羅針艦橋上部を含めた防空指揮所のパーツに大別されます。

まず、左右に分かれた部品を接着、合わせ目をパテ埋めし、防空指揮所パーツは単体のまま
ディティールアップを開始しました。


↑これが防空指揮所と羅針艦橋上部のパーツです。防空指揮所のグレーチング
が最初からモールドされているのが、このキットの嬉しいところですね。


↑今回は、窓を全て開口するのですが、エッチングパーツに含まれる窓
枠は、基本的に前部の窓枠に合わせたサイズのものしかないため、後部
の窓は窓枠を残して切削して開口することにしました。デザインナイフで
おおまかに切り取り、窓枠が折れないように慎重にヤスリで成型していきます。


↑無事開口作業が終了しました。実際の大和では、後部の窓枠は八角形だったそう
ですが、さすが自分の技量ではそこまでは再現できませんでした。


↑前面窓枠は切削し、ライオンロアの窓枠パーツを曲げて取り付けました。窓枠のパーツ
はいろんなエッチングパーツに含まれていますが、ライオンロアのパーツが窓のピッチの
印象が良く、夜戦艦橋の窓枠もライオンロアの窓枠で再現しました。この時点で、防空指
揮所側面ブルワークのバリも消してあります。


↑後部の信号ヤードのうちの一本は、ライオンロアが大和ミュージアムの1/10
大和に準じた形状のパーツを用意してくれていたので、キットパーツを切削
し、交換しました。3枚のエッチングパーツから組み立てるもので、軽目穴の
表現が実感的です。


↑これで羅針艦橋の開口も終わり、あとは艦橋本体に取り付けるのみですが、開口部
分が増えただけに、そのままではカラッポの艦橋内部が目立ってしまい、見た目が貧弱
になってしまうため、中心円筒を再現してみることにしました。 何か良い方法がないかと
考えたのですが、主砲を甲板に固定する栓(?)のパーツが、中心円筒のサイズに合い
そうだったので、これを貼り付けることにしました。このパーツはランナー分けの関係で、主
砲が3基しかないのにも関わらず、4個含まれており、そのうち1個をここに使用しても、ア
フターパーツ請求の必要はありません。


↑防空指揮所の開口処理が終わると、今度は艦橋本体側も加工
の必要があります。防空指揮所の取り付けの際の位置決め用のモ
ールドが邪魔になるため、こちらも切削作業にて削除しました。


↑内部は果てしなく続く奈落の底という感じです。床面を再現する
ことも考えたのですが、どうせ見えなくなると考え、省略しました。


↑艦橋本体パーツの前面は、型抜きの関係でモールドが全くなされて
いないので、作戦室、艦橋休憩室などの丸窓をピンバイスで開けました。
位置決めにはリベットゲージを使用すれば便利です。(後に海図室など
各部開口しました。)


↑そして艦橋本体と防空指揮所を接着。後部窓枠に継ぎ目を出さないように、流し込み接着剤を
繰り返し流し込み、あとで充分にサンディングしておきました。信号ヤードは全てエデュアルドの
パーツに変更し、手摺に加えて滑り止め鋼板を再現しました。15m測距儀基部の中心円筒には、
三角形に切ったプラバンを貼り付けて補強板を再現してあります。


↑これがプラバンを切り出して自作した補強版。1×5ミリの直角三角形です。


↑艦橋真正面から。中心円筒追加により、艦橋の内部が想像でき、測距儀基部との一体
感も出てきました。夜戦艦橋の窓枠や、各種手摺、扉なども取り付けられ、徐々に大和の
艦橋の姿が見えてきた気がします。


↑側面よりの様子。今回は「人の動き」を考えて作っている
ため、扉が多めに取り付けられました。ところどころ、オーバ
ーサイズな気もしますが、少し目立ちすぎるくらいの効果を
狙って試してみたものです。


↑塗装前の測距儀類を載せてみた様子。防空指揮所周りの見え方も、これまでの作例とは少し
違ってきました。


↑細かいパーツの取りつけはまだまだ終わっていませんが、全て終えてからの塗装と
なると、色のまわりが良くない部分もあるため、この時点でまず一回目の塗装を行いま
した。この画像は後部艦橋の紹介で記載した、赤茶下地の状態です。眉唾な話かもし
れませんが、この処理を行えば船体色塗装後の発色はまるで変わってきます。これから
取り付ける予定の細かいパーツも、ほぼ全てこの赤茶下地で塗装し、取り付けた後にし
っかりと継ぎ目を消して、改めてもう一度塗装を重ねるなど、塊感を出すべくいろいろと
工夫してみました。

艦橋製作の続きは後編に続きます。


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