1/700スケール 貨客船 氷川丸 日本郵船
HASEGAWA製インジェクションキット













ハセガワ 1/700

HIGH-GEARed HOBBY WORKS!!の1/700洋上模型の101隻は、当サイト史
上、ほとんど初めてとも言える(正確には1/350カティーサークが存在しますが)非戦
闘艦船です。

当模型ギャラリーに、今後、非戦闘艦船が出るとしたら、それは2006年11月にハセ
ガワから発売される南極観測船「宗谷」になるだろうと これまで予想してきたのです
が、その前月にあたる2006年10月に、横浜の貨客船氷川丸を訪れてからというもの、
HIGH-GEARed自身も予想外と言えるほど、客船にはまりはじめました。

氷川丸を訪ねた旅の様子はここをクリック



しかも、実船を見学して帰宅してすぐ、氷川丸を保存運営している氷川丸&マリンタ
ワー会社が経営不振のため2006年クリスマスを持って、営業を終了することが発表
され、氷川丸の記憶が遠のかない早いうちに手元に残しておきたくなり、今回の製作
へと繋がりました。


今回ベースにしたのは、ハセガワの1/700病院船氷川丸の箱換え、デカール換えで
リリースされている、貨客船氷川丸のキットです。

客船の製作は大小スケールを合わせても、今回が初めてになるため、まずパーツの
構成や色の組み合わせなどの、基本的な製作方針を検討し、その都度学びながら
の製作になりました。

船体パーツの成型は黒色のABSで行われているため、船体色のホワイト部分を塗装
するには、成型色を完全に殺しておく必要がありました。 また、デカールはファンネ
ルの二引き線だけに使用し、(船名表示は今後追加予定)ウエストラインの白線は塗
装再現です。



当初は素組を予定していたのですが、せめて手摺くらいはつけたく
なり、ピットロードの特務艦用エッチングパーツを使用しました。手摺
の形状が気に入って購入したのですが、全体的に数が足りず、後に
買い足すことになりました。  

また、あとから知ったのですが、ゴールドメダルの商船用なら手摺の数も種類もより豊
富で、シュラウドとラットラインを再現したパーツも含まれていたみたいで、今回はパー
ツ選定の段階から、客船初製作の経験と商品知識の甘さが早速影響してしまった形と
なりました。(苦笑)



船橋前面は、いかにもエナメル塗料でスミ入れして欲しそうな
モールドだったので、エナメル塗料でスミ入れし、エナメル溶
剤で余分な塗料を落としてサッシを再現しました。(実際のサッ
シは木製のようですので、先にラッカーのブラウンを注してお
くと良さそうです)



船橋上面から。このさいタラップもエッチングにしておくべきでしたね・・・。船橋パー
ツは裏面に各層が再現されているのは有難いのですが、全体的に背が高すぎるの
で、そのまま組むと船橋前面パーツから露天甲板が飛び出してしまいます。ですの
で、ピタリと合わせるには丹念なスリ合わせが必要になりました。



製作中の画像。このように船橋前面の壁を「ペロン」と剥がすと、内部はこのように
たくさんの層がリアルに再現されています。この画像はスリ合わせ前に撮影したも
のですので、最頂部の露天甲板が船橋側面より一段飛び出している様子が分かります。



これが各層を再現した精密な船橋背面の完成写真です。実船を取材して、これ
らの層に実際に登ってみたばかりとあって、ハセガワの氷川丸キットの完成度の
高さを実感しました。



煙突周囲の構造物の色は自分で調合しました。この部分は模型によってイエロー
だったりブラウンだったりベージュだったりするのですが、実船の氷川丸を見た時
の経験を生かし、実船にできるだけ近い色としました。このキットは、プロムナード
デッキに立体感があり、想像以上にメリハリがあって感動的でした。(ボートダビッ
ドは、現在WLキットの水準を考えると太すぎですが、今回行った修正は長さの
切り詰めのみです。また、二引き線はデカール再現の為、蒸気捨管部分をカット
してあります)



プロムナードデッキ内部を覗き込むと、デッキ内の船室の隔壁はもちろん、船室
の窓までも ちゃんと再現されているんです。舷側の鋼板の重なりも、タミヤの信濃
が登場する20年程も前に ここまで再現していたキットがあったとは驚きでした。
(船底色は、普段使用のクレオス29番ではなく、より明るめのタミヤカラーのダル
レッドを使用しました)



船尾の様子。この部分のデッキ構成は、現在保存されている氷川丸と、現役当時
の氷川丸とでは、かなり異なっていたようです。手摺の取り付け甲斐のある形状を
していますが、ここも構造物の背が高すぎてデッキが支柱より浮いてしまうので、構
造物の接着面を0、5mm程度切削しました。 



また、船尾構造物にはもう一箇所訂正箇所があります。左側の画像を見れば、
一番船首側(一番右側)の支柱が、ズレているのが分かると思います。そのた
め、いちど支柱を切り離して、右側の画像のように訂正しました。 氷川丸を
美しく仕上げるには、このような地味な修正作業が必要でした。



ケースはタミヤ製を使用しました。走航波再現は、客船ということですので少し抑え
目にしてあります。このままでは少々寂しいので、せめて銘板くらいは作ってあげた
いです。


***総括***

こうして、HIGH-GEARed HOBBY WORKS!!史上、1/350カティーサーク以来とな
る、非戦闘艦船として、貨客船氷川丸が完成しました。

このキットは、旅先の船の科学館のお土産物として買ってきたこともあって、大変思い
入れのある製作になる事は最初から決まっていたことですが、その後聞いた氷川丸
営業終了の知らせは、この製作への思い入れを更に強くさせる事になりました。

キットには多少の修正点があるとはいえ、バランスの良さ、パーツ分割の効率の良さ
においては、キットがリリースされた当時としては、驚くほど進んでいるもので、ウォータ
ーラインシリーズ初期のベストキットは、大鳳でも隼鷹でもなく、この氷川丸なんじゃな
いか??とすら思わされてしまうほどです

とはいえ、まだまだ客船については知識も経験も少ない為、今回の製作では何かと試
行錯誤を重ねることになり、精神面でも技術面でも、いろいろと思い出に残る作品にな
りました。

なお反省点では、白塗装がメインとなる船のため、重量感を演出するのが難しく、どこか
玩具っぽい雰囲気に見えてしまいがちという罠に陥りつつある事です。

今回製作した模型の実物は、全てのパーツの成型色を一度殺していることもあって、肉眼
で見る分にはそれほど悪くない雰囲気を持っていると思っているのですが、写真に撮って
しまうと、コントラストの設定がいけないのか?少し軽い雰囲気に写ってしまっている気が
します。(そのうち写真撮り直すかも・・・)

横浜で見た氷川丸は、木甲板もほとんど剥がされ、デリッククレーンも外され、デッキ
の構成まで変わってしまっており、現役当時の面影は少なめでしたが、三笠と同じく、
現在でも紛れもない本物が残っているというのは、これ以上はない素晴らしい歴史的
価値といえます。

この氷川丸ギャラリーを書いている時点では、まだ営業終了後の氷川丸の運営につ
いての答えは出されていませんが、ぜひとも保存の継続を祈りたいものです。

次に客船を作るとしたら、アオシマから同スケールでラインナップされている新田丸
でしょうか? 船の科学館で見た籾山艦船模型製作所の作品を見て、新田丸級も
ぜひ作ってみたいと思いました。 (八幡丸と春日丸を合わせて、未成のNYK三姉妹を
建造してみるのも良い企画かもしれません)







SCALE MODELSに戻る


左側にメニューページが表示されない場合はここをクリック

艦船模型製作代行 モデルファクトリー ハイギヤードはこちら

スケールモデル完成品販売ネットショップ CHERRY&ANCHORはこちら





inserted by FC2 system