1/700スケール 航空母艦 瑞鳳
HASEGAWA製インジェクションキット













長谷川製作所 1/700

今回はこのギャラリーでは単体の紹介としてははじめてとなる航空
母艦です。僕の1/700洋上模型デビューは小学校低学年の時に製作
したAoshimaの飛龍および蒼龍でした。WLに詳しい方なら「それは
またとんでもないいキットからはじめたものだな」と言われそうで
すが(笑)、当時は知識もなく、飛行甲板に肌色だけを筆で塗って
大満足していました。

1/700洋上模型をディティールアップするようになったのは、ここ
2年ほどのことで、僕もまだまだ初心者ですが、今回初めて空母の
ディティールアップをすることになりました。戦艦などと違って
たいらな甲板でギ装も少なく、簡単だと思われがちですが製作し
てみると「何もないだけに難しい部分」を実感します。

今回は大判エッチングパーツによる飛行甲板再現など、全体にわた
ってとても手間のかかる製作となりました。








ではまず実艦の解説からはじめましょう。

航空母艦瑞鳳はネームシップである祥鳳と同様、進水当時は給油艦
高崎として建造工事が進められていました。

しかし、建造途中より給油艦→潜水母艦へと計画が変更され、さら
に竣工がロンドン軍縮条約の期限後になることが確実となったため
潜水母艦となるはずの建造計画を再変更、小型空母として完成させ
ることとなりました。

こうして高崎は祥鳳の竣工よりより1年早く、瑞鳳という名で12月
に竣工し、開戦時には鳳翔と供に第3航空戦隊を編成しました。

1942年のミッドウェー海戦時には戦艦大和を中心とする攻略部隊に
所属して上空警戒を実施していますが、米航空機からの攻撃で大敗
北を喫した1航艦とは離れていたため、そのまま内地に帰港しました。

その後は1航艦5航戦→第3艦隊1航戦などと所属をかえ、南太平洋海
戦に参加します。この海戦で日本軍は空母ホーネットを撃沈してミ
ッドウェー海戦の敵討ちを果たし、瑞鳳発艦の戦闘機隊が空母エン
タープライズ攻撃隊を多数撃墜する戦果をあげたものの、瑞鳳も
命中弾を受け、中破しました。

この後、瑞鳳は1944年に新型艦載機の発着を可能にするため、飛
行甲板を15m延長する改装工事を行いました。


↑飛行甲板延長直後(迷彩塗装前)をモデリングしました。

そして次の戦闘、マリアナ沖海戦では空母15隻を中心とする米大機
動部隊と交戦、日本海軍空母航空部隊は壊滅的打撃を被ったものの
瑞鳳はこの戦いを乗りきり、レイテ沖海戦に出撃。この作戦では瑞
鳳を含む残存空母は囮として敵の注意を遠ざけるためだけの目的に
使われるという、捨て身の戦術に導入され、実際の戦闘において、
ハルゼー機動部隊をレイテ湾から遠ざけると言う囮としての役割を
見事に果たしたのですが、歴戦の武勲艦瑞鶴を筆頭に瑞鳳、千歳、
千代田は次々と撃沈されました。

この時、米艦載機の搭乗員が米攻撃隊に対して奮戦する瑞鳳の写真
を上空から撮影しており、現在もその奮戦ぶりを見る事ができます。



↑起倒式マストを倒した状態のため、アクリルケースは大型のもの
を使用しました。モデルの長さ29cmに対してケースの長さは50cmです。

今回製作のこの瑞鳳には手摺やタラップの追加、そして航空母艦最
大の見せ場である飛行甲板に専用の大判エッチングパーツを使用し、
マストのトラス構造や遮風柵、制止柵や舷外消磁電路、機銃スポンソ
ン支柱の自作、極細に仕上げた空中線やスケール性に合わせて調整し
た塗装など、空母ならでは装備に数多くのディティールを盛りこんで
みました。

ベースにしたキットはハセガワから空母モデルとしては比較的新
しい再三期拡充期にリリースされたもので、静岡の有名模型会社
3社協同開発で国内艦船模型の最大のブランド、ウォーターライン
シリーズのものです。

このキットは外観の捉え方は素晴らしいのですが、不必要な甲板
上の迷彩塗装時の凹モールドや、スポンソン支柱の三角片船体モ
ールドなど、モデラーにいまひとつウケが良くない欠点も少なか
らずありました。

しかしこのキットの短所を、自作パーツや社外品のエッチングパ
ーツや自作パーツを使用して作り換えることで、良好なプロポー
ションだけを生かした仕上がりにするべく製作しました。


まず飛行甲板は上記しているように、社外品の大判エッチング
パーツを使用しました。これはジョーワールドのもので大変高価
で取り扱いが難しいものですが、インジェクション成形の飛行甲
板では凹モールドであるべきはずの木甲板材の継ぎ目が凸モール
ドになってしまっているなどの相違点を修正できることと、プラ
には不可能な正しいスケール性で再現可能な薄さ、そして立てた
状態の遮風柵や制止柵も再現可能なあり難いものです。


↑これが作業前の大判エッチングパーツです。

この飛行甲板を現物合わせで0、3ミリのプラ板を使用して裏打ち
し、後付けディティールの接着をしやすい下地を作った上で、キ
ットでもエッチングパーツでも省略されている飛行甲板裏のガー
ター(梁)をエバーグリーンのプラ材を使って自作しました。


↑製作中の甲板裏ガーター。支柱の繋がる位置はキットのインジェ
クション甲板の位置に順じて調整しました。

エッチング飛行甲板の塗装は、迷彩塗装前のもので、塗装前にメタ
ルプライマーとホワイトサフによる下地処理をしています。


↑エッチングパーツによる甲板表現。甲板材の隙間は凹モールドに
訂正されています。手摺と転落防止ネットはハセガワスーパーディ
ティールキットのエッチングパーツ、起倒式マスト基部はトムズモ
デルワークスのエッチングパーツを使用し、マストトップは真鍮線
で自作しました。


平かな空母の飛行甲板の中でアクセントとなる遮風柵と制止柵は
立てた状態でセットし、探照灯も取りつけてあります。探照灯カ
バーは飛行甲板と同じくジョーワールドのエッチングパーツで開
放した状態として再現しました。

船体は舷窓をピンバイスによってさらいなおし、省略されている
舷外消磁電路をエバーグリーンの0、75ミリのプラ材で表現しました。


↑船体側面。電路や手摺、転落防止ネットなどの追加モールドの
様子です。

また、キットでは三角片の船体モールドとして再現されている機銃
スポンソンの支柱は削り落としてこれもエバーグリーンのプラ材で
自作し、装着しました。

この作業を行うことでスポンソン、ブルワーク周りの表現も2000
年代の最新キットと同等の表現となったので、横に並べて飾っても
違和感がなくなったと思います。


スポンソン支柱をプラ材で自作。最新キットと比較して遜色ないデ
ィティールに仕上げました。

手摺の再現にはハセガワスーパーディティールキットのエッチング
パーツを使用し、煙突は開口して格子状の出口を再現しています。

船体後部の内火艇甲板は開戦時のリノリウム貼り→鉄板剥き出しの
状態に変更、可燃物除去後という考えでリノリウム押えのモールド
を削りとって外舷色と同色の仕上げとしました。

艦載機は今回瑞鳳の甲板に置く目的で零式艦上戦闘機4機と天山を4
機を塗装しました。


↑艦載機と着艦標識の様子。

空中線の再現には今回も0、6号釣り糸(太さ0、128mm)を着色し
て使用しました。取りつけは全て瞬間接着剤によるものです。

この空中線は着色してはいますが、もともとは極細のテグスです
ので糸のようにメンテナンスの心配がいらないのがメリットです。


そして塗装ですが、スケール性を考慮した上で船体やパーツの本
塗装の前には塗装後の塗膜の発色を良くするために、ホワイトサ
ーフェーサーで下地を作った白たちあげにて塗装しています。
塗装は外舷色にGSIクレオスMrカラーの32番をエアブラシで吹き
つけました。

飛行甲板の木甲板色の再現にはGSIクレオスのタンをベースにサ
ンディブラウン、ウッドブラウン、黄燈色を薄めたものをコート
して色調を立体的に表現しました。

船底はGSIクレオスの艦底色で、外舷色、船底色などはすべてエ
アブラシによる重ね塗りを3回施し、最期の仕上げに船体全体に
艶消しコートを施して質感を統一してまとめました。






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