1/200スケール 駆逐艦 雪風
Nichimo製インジェクションキット











ニチモ 1/200

駆逐艦『雪風』は陽炎型駆逐艦の8番艦として1940年1月20日佐世保工廠で竣工、
太平洋戦役に置いて薄幸な運命をたどった連合艦隊の中にあって(駆逐艦は軍艦
席には含まれませんが)、最も武運に恵まれた艦の中の代表的な存在で、太平洋戦
争の主な作戦にはほとんど参戦し、戦火を潜り抜けてきました。。

ミッドウェイ海戦、南太平洋海戦、第三次ソロモン海戦、ビスマルク海海戦、コロンバ
ンガラ島沖夜戦、マリアナ沖海戦、シブヤン海海戦、サマール沖海戦、坊の岬沖海
戦と、連戦に連戦を重ね、いずれも連合艦隊が大損害を被る激戦の中、一度も被害
といえる被害を受けずに大戦を力強く生き抜き、敗戦後は復員船として活躍、その後
は中華民国に引き渡され、『丹陽』と改名されて同国海軍の旗艦に就役。昭和45年
に解体されて生涯を閉じるまで実に30年にもわたって活躍した名艦中の名艦です。




キットは残念ながら1/700以外では現役でリリースされているものはないため、同型艦
で陽炎型駆逐艦のネームシップである1/200l駆逐艦陽炎のニチモキットを使用しま
した。



陽炎のキットはほぼ素組の状態で昭和18年6月1日に呉に帰港した際に改装された
雪風の姿になります。

その後同年12月に三番砲塔を撤去し、25ミリ機銃を増設した形になったため、その
間のおよそ3ヶ月間のみの短い間に存在した姿ということになります。潜水艦対策の為
に艦名の表記は消されていましたが、今回は模型栄えを意識して追加してあります。



ディティールアップにはこのギャラリーでの1/200ディティールアップでおなじみの小
西製作所のパーツを使用しました。手摺はエッチング製で、タラップは真鍮製の精密
鋳造品を折り曲げ加工して追加しています。



錨鎖も小西のパーツを使用。銅製の精密チェーンです。陽炎型駆逐艦の錨鎖は少
々複雑なパターンですので細かく切ってパートごとに分けて瞬間接着剤で固定しま
した。


艦橋窓はプラのモールドを切り取って開口し、再現した中身を見せるように加工しま
した。窓枠は0、5ミリの真鍮線を切って瞬間接着剤でバルクヘッドに固定してあります。



これが艦橋加工中の様子です。内部には双眼鏡、磁気羅針儀、海図台などが再現
されます。床面グレーチングはイエローグリーンで塗装しました。



内部が見えるとなかなか実感がでますね。輸入品には1/200スケールの人形もある
ので水兵や士官に改造して効果的に配置すると面白いかもしれません。



空中線の再現には釣具店で入手した0、128mmの極細テグスを使用。そのままでは
半透明なので艶消しブラックに塗装し、灰色9号を色指ししてガイシを再現しました。

基本的には陽炎キットの素組みですが、模型映えを考えてユキカゼの艦名表記を追
加しました。このようなデカールは用意されているはずもないので、塗装で再現しました。

マスキングテープを使用して写真のようなマスキングシートを自作し、エアブラシで吹
き付けて再現します。戦時中は横文字は右から書かれていたので『ゼカキユ』となりま
す。『ゼ』の『”』のみは手書きで、後に影の部分を極細マーカーで追加しました。


後部マストの様子。比較的空中線の少ない駆逐艦の中にあって、立体的な空中線が
集中する後部マストはひとつの見せ場になります。信号灯もここに配置されるため、
資料に従った塗りワケを行うと効果的に見えます。


タラップと艦橋背面。塗装は白立ち上げの後、船底色下地で行いました。光があたった
時の発色が鈍くなって重量感を出せるので気に入っている方法です。1/700くらいの小
さい模型ではモールドのメリハリが効かないのでオススメできませんが、大型モデルには
向いている方法と思います。



艦橋周りも空中線が集中しているので見せ場のひとつです。真鍮線を短く切ったものを
支柱にして、それに瞬間接着剤で止めるようにすれば効果的に見えます。




**総括**

今回はこれまでに何度も製作している陽炎キットということで基本的な作業は慣れていた
のですが、サイドの艦名表記を塗装で再現するのは初めてのことだったので、いろいろ実
験した結果マスキングシートを自作することで再現しました。

艦名表記の影の部分があるのとないのとないのとでは印象も異なるのですが、これは模
型用の極細マーカーが役に立ちました。

汚し塗装は筆塗りとエアブラシを両方使ったものですが、メインとなる錆色と艶消しブラッ
クとを別々に数回塗り重ねて再現しました。これも、1/700などではくどくなってオススメ
できませんが、大きい模型でこそ映える方法と思います。

こうしたフルハルモデルでは船底のウェザリングも効果的に行えるようになりたいですね。





SCALE MODELSに戻る


左側にメニューページが表示されない場合はここをクリック

艦船模型製作代行 モデルファクトリー ハイギヤードはこちら

スケールモデル完成品販売ネットショップ CHERRY&ANCHORはこちら





inserted by FC2 system