1/700スケール 軽巡洋艦 夕張3000トン案＆5500トン案 昭和初期
TAMIYA製インジェクションキット
田宮模型 1/700
軽巡洋艦夕張は日本艦船ファンならその名を知らぬ者はいないくらい
有名な造船官、平賀造船大佐が設計を手がけた艦の中でも、傑作と言
われた軽巡洋艦で、3000トン型の軽い船体に5500トン型の巡洋艦とほ
ぼ同じ兵装を装備し、主力艦のトン数が制限されていた条約型巡洋艦
の時代に置いて、日本の造艦技術を世界中に知らしめ驚かせたという
1隻です。
この非常に独創性のある夕張のキットはタミヤからリリースされてい
るのですが、これを組みたてディティールアップを施すほかに、同じ
スケールの5500トン型の巡洋艦と並べてみて、両者の装備と船体形状の
違いを見比べてみようと企画が提案されました。
すなわち、タミヤキットの夕張の他に、実艦では5500トン型から3000
トン型に設計変更が行われた夕張を『もし5500トン型のプランのまま
竣工していたら？』という架空の構想のもとにもう1隻作ってみるわけ
です。
完成した2隻を並べて違いを楽しむわけなのですが、そのためには架空
の5500トン型巡洋艦を製作する以外に2隻の時代設定の統一が必要不可欠です。
タミヤの夕張キットは太平洋戦争後期の姿をモデリングしていますが、
これを昭和初期の状態に変更しました（ブルワークの削除＆機銃、主砲
高角砲等の装備変更、魚雷発射管シールド有→シールド無などの配置換
えetc）。
5500トン型の巡洋艦は、タミヤキットの中では何隻がリリースされてい
ますが、この中から船体ベースとして航空兵装が装備されていない木曽
を選択し、夕張キットへの主砲用＆魚雷の部品取りとして球磨のキット
を使用、木曽の艦橋は大正時代のものですので、これも昭和初期からの
形状を継承している球磨のものを移植しました。
こうして、実在した3000トン型の夕張と、架空のものとなった5500トン
の夕張の昭和初期状態を並べてみるという企画が実現しました。
↑3000トン型夕張 平賀案のリアビューです。中央の高角砲は8cmの単装
のもので、キットには含まれないためピットロードの日本艦船装備セッ
ト２のパーツを使用しました。砲座の機銃取り付け穴はパテ埋めで処理
し、ブルワークは大和のキットのジャンクを使用しました。
↑5500トン型夕張のリアビュー。こちらは代表的な5500トン型巡洋艦の
イメージそのままです。ディティールアップには両艦ともにトムズモデ
ルワークスの軽巡洋艦エッチングパーツから手摺やタラップなどを使用
しました。夕張用のパーツは艦橋脇のトラスが用意されてます。
↑艦中央部。3000トン型の中央の高角砲のディティールが良くわかりま
す。ピットロードパーツのモールドの繊細さはさすがです。魚雷発射管
はシールドなしのものを木曽のキットからトレードしました。同じく主
砲も種類を合わせてあります。
3000トン夕張の艦橋まわりです。艦橋防衛用機銃はこの時代にはまだ装
備されていないのでブルワークを削り取りました。また戦争後期をモデ
リングしたこのキットには舷窓のモールドがないため（戦争後期には戦
訓によって塞がれてしまったため）、ピンバイスでモールドを掘り込み
ました。
5500トン夕張の艦橋まわり。こちらは木曽のキットと球磨のキットをニ
コイチして組みました。艦橋周りのイメージが似ているので見比べると
変身前と変身後といった印象です。
＊＊総括＊＊
今回は巡洋艦の2隻製作ですが、かたや時代設定の変更、そしてもう片
方はニコイチで時代設定を混ぜ込んで合わせた架空艦。
パーツや装備の変更などによってどこからパーツを持ってくるか？ま
た必要なパーツはどんなキットまたは装備セットに入っているのか？と
下調べも大変でしたが、製作が終わって2隻が並んでいる姿をみると、
こうした資料的な価値のある模型を作れて本当に意義があったと思い
ました。企画者の方に感謝します。
しかし下調べに労力を使ったとはいえ、この写真にも考証間違いがあ
ります。（爆）艦船や造船史にお詳しい方なら気づかれたかもしれません
が、3000トン夕張の艦橋頂部にある電探は明らかに時代錯誤です。（汗）
写真を撮った後、すぐに気づいて交換したのですが、今は夕張の画像は
これしかないので恥ずかしいですがこのまま掲載しておきます、許して
ください。（苦笑）
| SCALE MODELSに戻る |
| 左側にメニューページが表示されない場合はここをクリック |
 ↑Android版のダウンロードはこちら↑ |
 ↑iOS版のダウンロードはこちら↑ |