1/700スケール 航空母艦 鳳翔
FUJIMI製インジェクションキット
フジミ 1/700
1/700鳳翔の製作は2年ぶり2回目となります。 正直、WW2機動部隊が
人気の中にあって、このフジミキットは異色の存在というか、一般的には
あまり人気もないのが正直なところですが、実艦の鳳翔は日本はもちろ
ん、世界の艦船史の中にあっても、けして外すことのできない重要な存在
です。
まずは前回の作例と同じですが、実艦の解説です。
旧日本海軍が太平洋戦時において、世界最大の戦艦大和を建造した
ことや、世界最強の零戦を開発したこと、世界最大空母の信濃の建造や
世界最高の機動部隊を有していたことは有名ですが、機動部隊の母体
となる航空母艦の研究開発にも世界ではじめて成功したことを知る人
は意外に少ないようです。
当時、日本海軍に航空母艦が必要とされた背景にはワシントン会議に
おける加藤中将の言葉があり、「日本は海岸線が長く、港湾や日本家
屋の構造を考えるに、空中爆弾による攻撃を受けやすく、所々に適当
な航空機を配備する必要があるが、経済上の問題で不可能である」と
いう内容のもので、空軍力の劣る日本は防衛上の移動航空基地として
の航空母艦の使用を最初に考えたのが理由です。
1920年に入り、各国では戦艦などを改造して建造された航空母艦が実用
化に向けて実験を続けていた頃、最初から純粋な航空母艦として設計さ
れていた艦は、この鳳翔と英国海軍のハーミーズのみで、鳳翔がライバル
艦のハーミーズに先駆けて1922年に竣工したことから、当初より空母として
設計されて完成した世界初の航空母艦としてのタイトルを手中に収めました。
航空母艦鳳翔は飛行甲板の右側にアイランド型を艦橋を備え、その
直後に3本に分かれた起倒式煙突を備えた近代的な艦形で、エレベ
ーターは前後に2基装備していました。
航空母艦鳳翔が完成すると、浦賀水道付近で早速艦上機の着艦実験
が行われました。その際三菱一〇式艦上戦闘機のテストパイロットをつと
めていた英国のジョルダン大尉が志願し、軍部が要求した条件での9回
の着艦に成功して報奨金15000円を受け取りました。 その後、吉良大尉
による日本人パイロット初の着艦実験が行われ、転落事故を起こしたも
のの、大尉は無事に生還し、試験を続けました。
その後、1932年の上海事変の際に鳳翔は初めての出撃を経験しました
が、当初より実験艦的な色彩が強く主に艦隊訓練用に使用され、1935
年に台風による船首破損の後には煙突を固定式とし、1942年には甲板
長を延長し、当時の艦上機の離発着を可能にするよう改装が行われま
した。
大戦時にはミッドウェー海戦に攻略部隊の一員として参加、機動部隊の
敗戦の報を聞き、鳳翔から発艦した九六式艦上攻撃機が大破して漂流
する航空母艦飛龍の写真を撮影したことで有名です。
その後は訓練のみに使用され、敗戦後も無傷で残存し、1947年に解体
されるまで、南方各地からの兵員などの引き揚げ船として活躍しました。
大正時代に世界初の本格空母として完成して数々の実験に成功し、戦
時は訓練艦として働くほかに作戦にも参加し、戦後までを無事生き抜い
たドラマに溢れた艦といえます。
今回は、WLシリーズを脱退し、同シリーズの向こうを張る(?)カタチで展開
されている、フジミの1/700洋上モデルブランド、シーウェイモデルシリーズの
航空母艦鳳翔をベースに製作しました。
キットは、舷窓や艦橋窓枠が再現されない(プラモールドすらなし)原始的キット
ですので、カタチにするだけでも、他の1/700キットにはない苦労を強いられます。
組み立ては、基本的にキット指定のまま行い、手摺と救助ネットを装備するな
ど、基本的なディティールアップを行いました。
もちろん自作指定の舷窓は、付属の図面を参考にピンバイスでひとつひとつ正
確に開口していき、また飛行甲板の下層甲板に多数収納されるボート類は、WL
リニューアルパーツのストックパーツに全て差し替えました。

艦載機は、キットに付属の10式艦戦だけでは寂しかったので、アオシマの
九六式艦載機セットから、九六式艦爆、九六式艦攻を2機ずつ搭載し、下面
にはアルミ線で自作した爆弾と魚雷を装備させました。 なお、艦載機の
塗装は銀色塗装のみでは寂しく、ここも模型映えを意識して、尾翼の赤い
保安塗装を再現しました。
甲板の塗装は、キットの指定とは少し変え、船尾部分を資料写真で確認され
る木甲板色に塗装し、中央部の色調のトーンを変えてアクセントにしてあります。
**総括**
このキットの造型は、起倒式煙突とアイランド艦橋が装備された、鳳翔の初期の
姿で、インジェクションの1/700では唯一とも言うべき、舷窓の自作指定がなされ
た迷キットです。
キットの登場はフジミがWLシリーズを脱退した後の、比較的新しい時期のもの
で、WLシリーズ発足時ですら既に時代遅れになっていた、この舷窓の自作指
定は未だに不思議で解せない原始的なものと言わざるをえません。
また、艦橋の窓枠も準備されていないので、前知識なしに初めて取り組む方は
当惑すること間違いなしです。
竣工時の鳳翔を再現する為の素材としては良いのですが、せっかく日本海軍
機動部隊の登場を飾る名艦なのですから、もう少し気の利いた商品開発をして
いただければ、ロングセラーは間違いなかったと思います。
また、銀色の複葉機が多数配置される竣工時の鳳翔も魅力的ではありますが、
大戦中の鳳翔の姿を再現できるキットやパーツの登場などもファンには長年
待ち望まれるところです。 こうしたコンバージョンを可能にする商品開発がされ
ていれば・・・と残念に思うこともしばし。 特にミッドウェー海戦の攻略部隊の中
にあっては、そこそこ重要な位置を占めていた空母ですからね。