1/350スケール 戦艦 大和
田宮模型製インジェクションキット






中央構造物のアップ。全体の写真は一番下に載せてあります。



タミヤ 1/350

今回の戦艦大和は1/350スケールの田宮キットをベースにディテ
ィールアップするとともに機銃の位置などを修正しました。

製作記はありませんが、ディティール写真とともに製作過程を
紹介しようと思います。


多くの部分は戦艦大和の最後の姿、沖縄特攻天1号作戦時の設定
にしてあります。しかし、HIGH-GEARedの作る戦艦大和は甲板色
の模型映えを意識するため、今回もあえて資料に逆らうカタチで
木甲板色です。また、艦載機も4機(零式観測機×2、三座水偵×2)
を搭載しました。





今回はHIGH-GEARed's HOBBY WORKS!!には掲載していないんで
すが、以前製作したARII(OTAKI)1/600モデルで行った喫水線
下の注排水口の再現加工をおこなっています。これは戦艦大和
を『不沈艦』といわしめた1147の防水区画に注排水を行うための
設備で戦艦大和の大きな特徴になります。これらは資料に基づ
き正確な位置にピンバイスで穴開け加工を施しました。


↑船底部分に開けられた無数の穴は注排水弁用穴、キングストン
海水吸入口、海水ポンプ吐水口や発電機の冷却用など役割はさま
ざまです。


↑注排水口、別角度から。



↑注排水口等の再現にはこのような資料を使用しました。



キットは1980年代にTAMIYAからリリースされたもので、単装およ
び三連装の25mm機銃の配置が現在の交渉とは事なるため、田宮模
型から機銃パーツなどを部品注文で取り寄せ、ブルワークの数や
第二主砲の左右に増設された機銃の配置をやりなおしています。
単装機銃取りつけ用の凹モールドは瞬間接着剤で埋めてあります。



↑考証どおり単装機銃から三連装機銃に改造した前甲板。


今回、ディティールアップに使用したパーツは1/350戦艦大和用
に設計されたエッチングパーツのゴールドメダル製およびエデュ
アルド製の2種です。

このふたつのメーカーは結託しあっているのか??お互いのパー
ツの足りない部分を補いあっているようで、ディティールを優先
すると、両方のパーツを購入しなければならない仕組みになって
いるようで製作コストが上がるのはもちろん、手摺やジブクレー
ン、カタパルトなどの大物部品が大量に余ってしまってかなり贅
沢な作りになってしまいました。(笑)


↑観測室周りの様子。


今回はこの2種類のエッチングパーツから滑り止め鋼板、缶室吸気
口、飛行甲板ターンテーブル、グレーチング、各種水密扉などに
エディアルドパーツを。各種手摺や空中線支柱、ジブクレーンやカ
タパルト、航空機運搬台、航空機プロペラ、二十一号電探、一三号
電探、煙突、梯子などにゴールドメタルパーツと、出来の良い部品
を状況に応じて使い分けました。(その他の細かい部分はここには
書ききれません)

また、上記の写真には映っていませんが、後から自作の双眼鏡を防
空指揮所に配置しました。真鍮線を2本並べてくっつけたものなので
すが、それなりに実感的でディティールアップに大きく貢献してい
ます。


↑副砲塔のディティール。エッチングパーツによるディティール
アップを例にあげますと、たとえばこの副砲は手摺と梯子はゴー
ルドメダル社製、空中線支柱とバーペッド上の滑り止め鋼板およ
び空中線支柱はエデュアルド社製のパーツを使用、バーペッド側
面の補強板は厚紙をつかった自作です。第二主砲塔側面の補強板
はエバーグリーンのプラ材で作りました。副砲の補強板はエデュ
アルドのパーツにあるのでそれをそのまま使用します。



↑高角砲甲板の滑り止め鋼板やシールドなし高角砲の補強板もエ
ッチングパーツです。後部電探室には窓や扉も作りました。



↑艦橋周りの様子です。キットでは省略されている艦橋窓をピンバ
イスで追加してあります。



↑開口された煙突と艦橋後部の梯子、兵員待機所へ通じる階段およ
び待機所上の手摺、煙突周りの通路など。


塗装はほぼ全体にエアブラシを使用、リノリウム部分および煙突上
部、マストの一部の色刺しなどは筆塗りです。


船体は下地処理、白立ち上げの後、Mrカラーの艦底色を下地に吹き
つけ、錆び止め塗料の下地を作った上で、ピットロード艦船カラー
の呉海軍工廠色を吹きつけました。この塗料は戦時中、呉海軍工廠
で実際に海軍艦艇に使用されていた色を資料に基づいて再現してい
るものです。そして今回はリノリウム部分にもピットロード艦船専
用塗料を使用していますので考証に限りなく近い色調になっていま
す。実際にカラーではほとんど見る事のできない日本海軍艦艇です
から、こうして資料的な色に合わせて塗装するのはイメージ優先で
塗装するのとはまた違った楽しみがあります。(笑)

搭載されている零式観測機や三座水上偵察機も三菱系暗緑色および
明灰白色を使用しました。

飛行甲板は鉄板張りの説もありますがいつもどおりセメント張りの
説を採用して呉海軍工廠色に若干ホワイトを混色してアクセントに
しました。



↑後部からジブクレーンとカタパルトの様子です。艦載機エレベー
ターの扉は開かれ、艦載機にはエッチング製のプロペラをつけてあ
ります。


今回の塗装はエアブラシを使用したため、ほとんどの部分に塗膜の
強いラッカー系塗料を使用したのですが、機銃や菊花紋章など、金
属色の再現が求められる部分には、金属色の再現に適したTAMIYAエ
ナメルカラーを使用しました。


機銃はガンメタル、菊花紋章とスクリューはゴールドリーフです。
一部ライトレンズ部分にもエナメルシルバーを使用しています。


塗装の最終仕上には、船体、甲板ともに艶消しクリアコーティングを
施して質感を統一してあります。 機銃、高角砲シールドや射撃指揮
所の窓はすべてスミ入れを行ってあります。25ミリ三連装機銃シール
ドなどは機銃の仰角に合わせたスミいれを行ってあります。


舷窓はすべてピンバイスで加工することでモールドのメリハリを強調
しました。


そして空中線は今回初の試みとして、フラグシップの模型用テグスを
使用しました。

固定は瞬間接着剤ですが、思ったよりしっかりくっついてくれるので
これからは模型用テグスにハマりそうな予感がします。(笑)伸ばし
ランナーでは同じ太さのものを作るのが難しいのでこういう材料は重
宝します♪



↑艦橋周りの空中線と開口された煙突、梯子などの様子。


煙突は開口し、エッチングパーツを使用して出口の格子を再現して実
感をたかめ、煙突周りの通路とその手摺も再現しました。もちろん通
路から煙突に登る梯子もエッチングパーツで再現してあります。


艦首の錨鎖はこれもフラグシップの艦船模型用精密チェーンで再現しま
した。キットのモールドのみのものと違って立体感あふれる仕上がりで
す。


↑錨鎖は本物のチェーンを使用しています。


全体写真はこちら↓







**総括**

今回はディティールアップパーツのほとんどに『戦艦大和用』を使用し
ました。上記のように、有名どころではエディアルドとゴールドメダル
の2社、お互いに足りないパーツを補いあってるため、ディティールを追
求するとふたつを一緒に使用することになります。

するとクレーンやカタパルト、手摺が余ってしまうのですが、ディティ
ールとしては相当に精密でなおかつ正しい考証の姿に近づけることがで
きます。あとはプラ材やチェーンなど、基本的なディティールアップだ
けでここまで存在感のある大和が製作できてしまうことに驚きました。

今までは汎用のパーツを使用することが多かったのですが、専用のパー
ツだと、説明書通りに組むだけでどこに出しても恥ずかしくない出来の
完成品となりました。塗料も考証通りの高級品を使い、ある妥協のない
仕上がりです。 次回からは射界限界枠や応急舵の自作にも挑戦してみ
たいです。






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