1/700スケール 戦艦 山城 
AOSHIMA製 インジェクションキット













アオシマ インジェクションキット1/700

HIGH-GEARed's HOBBY WORKS!!では2009年10月のアオシマ1/700「蒼龍」を
製作して以来、1/700WW2艦艇のブランク時代にリリースされたノータッチ
キットをメインに製作を続けています。

今回、扶桑に続いて山城を製作するにあたり、自身の過去の製作例を探し
てみたのですが、なんと山城は単品ではギャラリー初登場であることに気づき
ました。

過去に一度、ピットロードのハイモールドシリーズのレジンキットを製作
したことで、割と出来の良いキットを組んだ記憶はあったのですが、扶桑
と一緒の紹介だったため、山城のページを作ったのは今回が初めてになり
ます。



**実艦について**

戦艦山城は大正二年に日本が初めて独力で設計した超弩級戦艦「扶桑型」
の第二番艦として建造され、大正6年に横須賀海軍工廠において竣工し
ました。

武装は36cm連装主砲塔を6基12門を中心線上に配置し、金剛型の5割増し
の砲戦能力を持ち、一度により多くの目標に対応できるように設計されま
した。

6基もの連装主砲塔を持つ山城の艦容は大変勇壮なもので、日本海軍の
主力戦艦として大きな期待を集めました。

昭和5年12月、山城は横須賀海軍工廠で近代化の大改装が行われ、扶桑
での改装の実績を踏まえて主砲配置を見直して扶桑より安定感のある艦
橋を持つ近代的な戦艦に生まれ変わりました。

太平洋戦時においては既に旧式艦ではありましたが、柱島泊地において
新兵教育の練習艦として重宝され、連日の猛訓練に従事し、捷号作戦に
参加しました。

西村提督指揮の下、スリガオ海峡からレイテ湾を目指しましたが、オル
デンドルフ提督の艦隊の待ち伏せ攻撃を受け、レイテ湾に到達できず
壮絶な最期を遂げました。


**船体各部のディティール**

キットは以前に限定版として発売されていたスーパーディティール版の
1942年当時のキットで、真鍮砲身やエッチングパーツ、甲板ディティール
アップシートや話題のファインモールドナノドレッドシリーズ等の各種
ディティールアップパーツで精密化しました。

今回ディティールアップに使用したパーツは

WLシリーズ 31534 「扶桑・山城」 戦艦用 彩色甲板シート
ライオンロア LE7002 日本海軍 手すりセット
ハセガワ72754 1/700 汎用窓枠セットA
ジョーワールド JPE16r  IJN 9mカッター
フジミ 111797 四五口径四一式三十六センチ主砲(真鍮砲身) 2セット使用
フジミ 111995 日本海軍艦艇用 武装セット
ファインモールド WA5 汎用探照灯セット
ファインモールド WA1 九六式25mm三連装/連装機銃
ウェーブ OP165 TケースWM \1500
タミヤ 89673 海面プレート A
精密チェーン

等がメインになります。

舷外消磁電路はプラ板による自作です。

その他、旗竿の支柱の一部や舷灯、海面ベースを自作しました。



↑アオシマ1/700山城リニューアルキット、右舷から その1



↑アオシマ1/700山城リニューアルキット、右舷から その2



↑アオシマ1/700山城リニューアルキット、左舷から その1



↑アオシマ1/700山城リニューアルキット、左舷から その2



↑船首錨鎖は精密チェーンで再現、甲板はWLシリーズの彩色甲板シートです。扶桑、
山城供用になっていますが、艦橋基部の甲板部分はカットされていないので、余った
シートから自作しました。 その他、対空兵装も機銃、高角砲ともにディティール
アップパーツを使用、機銃はファインモールド製ナノドレッドシリーズのもので、
高角砲はフジミの武装セットのものを砲架に使用しました(砲身はフジミ製のものは
砲尾の再現がオーバーなので、砲身のみWLシリーズリニューアルパーツを使用しています)。



↑戦艦山城の艦載機は1942年末以降に零式観測機に代替されたとあるため、1942年
当時の搭載機は九五式水上偵察機であると考え、船尾航空作業甲板に2機を搭載
しました。艦載機のプロペラおよびカタパルト、クレーントラスはアオシマのエ
ッチングパーツです。



↑主砲身はフジミの真鍮挽き物砲身を使用しました。扶桑型戦艦は連装主砲塔6基搭載し
ているので、真鍮砲身は2セット必要になります。9mカッターはジョーワールドのエッ
チングパーツでディティールアップを施し、オールを配置しました。また、キットで
省略されている舷外消磁電路はエバーグリーン製のコンマ4ミリ角のプラ板で再現しました。



↑艦橋窓枠は純正モールドを切削し、ハセガワのエッチングパーツに置き換えました。
舷灯はプラ板による自作です。信号旗は模型映え優先で「JGDB」の艦名符号を掲示し
てあります。



↑110cm探照灯はファインモールドナノドレッドシリーズの探照灯を使用しました。
反射鏡をシルバーに塗装し、レンズ部分は塗り残して透明のレンズを再現しています。



↑一番、二番主砲塔と夜戦艦橋。12.7cm連装高角砲のディティールもご覧頂けます。



↑模型は今回もクリアケース(WAVE ケースWM)に納めました。ケースの寸法は長さ
約37p×奥行約10p×高さ約10pの省スペース設計です。(それだけに、このケース
は大和型戦艦や赤城などの大型艦が入らないのが難点です)


**総括**

今さらながらですが、アオシマの近年の積極的なWLシリーズのリニューアル活動の
おかげで、ようやく精密感の高い扶桑を山城をギャラリーにそろい踏みさせること
ができました。

インジェクションの山城の製作はおそらく十代の時以来という気がします。リニ
ューアル前のキットの出来に難があったのに他なりませんが、こうして完成させた
山城を見て思うのは、本当に精悍な姿をした戦艦だなぁという一言につきます。

姉妹艦扶桑の艦橋はある意味複雑怪奇な姿にこそ魅力があり、山城はその陰に隠れ
てしまっているようにも思われますが、背の高さとバランスの良さを併せ持った
研ぎ澄まされた魅力といいますか「鬼の山城」の異名も納得の力強さをこのスタ
イルから感じることができます。

供用パーツの少なさもあってか?1/350での製品化に恵まれない扶桑型戦艦では
ありますが、このリニューアルキットの完成度を見るに、いつか扶桑や山城の勇
姿を大型スケールでも楽しめる時代が来ればと期待せずにはいられません。

製作に関してですが、キットやパーツ構成は作りやすさとディティールのバラン
スにとても優れ、誰にでも精悍な山城の姿が再現できる大変優秀なものです。

しかし、説明書が1944年の説明書と1942年の補足説明の二冊になっている点が少し
分かりづらく、少々気になりました。 

これは限定キットという性質上、仕方がないのかもしれませんが、それ以上に苦労し
たのが「「扶桑・山城」 戦艦用 彩色甲板シート」の取り扱いで、製品名に
「山城」の名前があるにもかかわらず、艦橋基部の甲板シートはなぜが扶桑用
しかカットされていなかったので、山城の艦橋基部は余ったシートをハサミで
切って自作しなくてはいけませんでした。 

型紙もなく、現物合わせの作業となるので山城用のシートは別にリリースするか、
山城の艦橋基部甲板もカットした製品にして頂けるとありがたいです。



↑前回HIGH-GEARed's HOBBY WORKS!!に掲載したインジェクションの山城は
なんと10年以上前に撮影したコレです(奥) 

艦橋窓枠はシール貼り再現で、錨の配置や甲板の塗り分けも今見ると怪しさ
満点ですが、日本海軍主力艦のほとんどがリニューアルを果たした今、なぜ
か現在では入手困難となった旧キットにも逆に興味が湧いてきました。

考証やディティールを考えるようになるにつけ、ニッパー1本とエナメル
塗料と面相筆だけを武器に、無心で製作していた少年時代が懐かしく思
える今日この頃です。(笑)





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