ハセガワ 1/350
戦艦『陸奥』製作記






↑2008年連載開始の1/350戦艦陸奥の製作記も、いよいよ最後にして最大の
見せ場となる、艦橋を残すのみです。





前部艦橋の製作と細部の仕上げ

陸奥製作記の最後を飾るのは、1/350高速戦艦金剛に引き続き、日本戦艦特有の
複雑な形状をもつ艦橋の製作です。

今回は、エッチングパーツの使用と、床面の塗り分けについてご紹介します。



↑これが、艦橋の各層の床面パーツを切り出して並べた様子です。どの層も、
完成後はほとんど見えなくなる内部の仕切りやグレーチングなどが繊細に
再現され、ハセガワの意気込みを見るに十分なパーツ達です。



↑パーツの彫刻はどれも非常に繊細で、ブルワークの補強リブなども再現さ
れているのには驚かされるばかりですが、成型時に発生する押し出しピン跡
が、意外と目立つ場所に点在しているので、塗装前にパテで埋めて処理しま
した。



↑また、ブルワーク外側にはパーティングラインが入っているので、これも
平ノミで歯挽くか、ナイフの裏歯などで処理すれば、より実感的な仕上がり
になります。



↑パーティングラインの処理後は、エッジのダレに注意しつつ、軽くサンド
ペーパーをかけておくば、仕上がりもより美しくなります。400番程度のペ
ーパーの傷なら、サーフェーサーの1200番を上塗りすれば目立ちません。
陸奥のパーツ指定には、モールドを一部切削するよう指定されているので、
どのみちペーパーによる仕上げは必須でしょう。



↑ゲートと押し出しピン跡とパーティングライン処理を終えた艦橋を仮組
してみました。テープを貼っているのは一部だけで、あとはまるでスナッ
プフィットのようにピッタリと組みあがってくれました。 



↑金剛の時は支柱が入らなかったり、柱と床の高さが合わなかったりで随分
苦労させられたものですが、さらに4本も支柱が多い陸奥の艦橋が 何のスト
レスもなく綺麗に組みあがる様子は、まさに感動の一言です。



↑パーツの合いを確認したあとは、各フロアごとに個別塗装です。割り
ばしに両面テープとマスキングテープを貼った塗装治具で片面ずつ塗装
していきます。(細部を塗装する際には、爪楊枝で同じような治具を作
り、一枚ずつ塗装すればうまくいきます)



↑長門型戦艦の艦橋床面は、木張り、リノリウム張り、鉄板張りと、塗り分
けもそれなりに複雑です。キットの説明書には、細かい塗り分けは指示され
ていませんが、ここでは床面が多くの床面がリノリウム張りであったと仮定
して、羅針艦橋を例に、その塗り分け方法をご紹介します。まず、この画像
のように、表と裏の両面にサーフェーサーを吹くところから始めます。
(先に行ったパテ処理の効果で、押し出しピン跡も見えなくなりました)



↑続いて、表面にリノリウム色を塗り、キットに付属している模型原寸大の
図面をコピーしたものを用意します。

このコピーの裏側に、両面テープを貼り、デザインナイフや鋏を使って床面
の形どおり、正確に切り出し・・・。



↑抜きあがった紙の裏側のテープの裏紙を剥がし、パーツに貼りつければ、
このように自作のマスキングシートが完成します。グレーチング部分と
リノリウム部分を切り分けておけば、グレーチングの塗り分けも同時にで
き、3色の塗り分けにも対応可能です。



↑自作マスキングシートを貼り付け、グレーチング色のサンディブラウンに
続いて外舷色を塗装してシートを剥がすと、内部の床面はこのとおり! 
市販のマスキングシート同様、綺麗に塗り分けることができました。



↑上部見張所のような複雑な形状の床面のマスキングも、この方法なら簡単
に行えます。原寸大の図面が付属したキットのありがたさを実感しました。
ただし、図面とパーツの形状には若干ながら差異が生じているので、市販の
シート同様、細部の調整や塗装後のタッチアップは、丁寧な仕上げにはかか
せません。

また、使用する両面テープも、紙製の両面接着テープは剥がす際に苦労する
ので、「貼って剥がせる」タイプの両面テープを使うことをお勧めします。



↑こうして塗り分けが終わった艦橋パーツ群。金剛のときに引き続いて、
リノリウム押さえを真鍮線で再現することを考えていたのですが、直前
になって「艦橋内のリノリウム押さえについては、その存在を証明できる
資料はない」ということを聞き、今回は再現は見送ることにしました。



↑それでは、いよいよ艦橋基部から艦橋の組み立てを開始します。パーツ
は完成後には覗き込んでもほとんど見えない仕切りまでが再現されている
ため、それらを取り付けることから作業が始まります。



↑その上にデッキを張り、下部艦橋から作戦室、艦橋配線室にかけての
パーツを載せました。この時点で、艦橋中央の支柱を差し込みます。
信号旗掛は、ライオンロアのエッチングパーツに交換しました。純正パ
ーツの取り付け穴は、純正パーツの足の部分のみを使って埋めてあります。



↑続いて、司令塔を取り付け、副砲予備指揮所の天蓋に当たる羅針艦橋
を取り付けます。副砲予備指揮所は、長門と陸奥の大きな識別点のひとつ
で、観測窓が、長門がガラスのはまった細かい窓枠になっているのに対
し、陸奥では大きな吹きさらしの窓になっているのが特徴です。

実艦写真や映像では、陸奥ではこの部分にキャンバスを張っている場合が
ほとんどで、模型でもそのように再現されることが多く、このキットでも
キャンパスのパーツが付属しているのですが、今回は短艇の幌の省略と同
じく立体感重視の仕上げということで、窓枠を真鍮線で自作しました。

また、観測窓を解放式にしたことで内部がよく見えるようになったので、
(図面上)艦長休憩室後部の通路にあるであろうと思われる水密扉をエッ
チングパーツで追加しておきました。



↑副砲予備指揮所の窓枠も塗装され、羅針艦橋の双眼鏡や羅針儀が装備
された様子。なお、艦橋内部の壁面は白く塗られていたようですので、内壁を
白で塗装すれば、更に実感的な仕上げになることでしょう。この段階で、
艦橋を船体に固定しました。



↑ハセガワの長門型戦艦のキットでは、窓枠はクリアーパーツで再現される
ため、ほとんどが窓枠単体の透明プラスチックで成型されているのですが、
見張り指揮所先端の見張方位盤室のみは、壁面も一緒にクリアー整形されて
います。



↑今回、窓枠はホワイトエンサインのエッチングパーツに交換するので、この
パーツは窓枠部分のみをエッチングソーで切り取る必要がありました。そのま
までは、壁面と窓枠の区別がしにくいので、一度サーフェーサーを軽く拭いて
モールドがよく見えるようになってから処理します。



↑羅針艦橋および方位盤室の窓枠をエッチングパーツに置き換え、見張り指揮
所が再現された様子。なお、ホワイトエンサインのエッチングパーツの説明書
には、方位盤室の窓枠に関しては何の説明もされてませんが、該当パーツは
ちゃんとあるので、それを使用すれば他の窓枠と同様に、窓枠をエッチング化
することが可能です。(パーツの合いはあまり良くありませんので、必要に
応じて修正が必要です)



↑見張指揮所の上は、主砲前部予備指揮所です。手摺はホワイトエンサインの
エッチングパーツを使用しました。(これも取り付け方によっては4、5m測距
儀が干渉してしまうので注意が必要です)



↑主砲前部予備指揮所の上に、上部見張所を取り付けた様子。ここは双眼鏡や
射撃指揮装置などがたくさん並び、見ごたえのする場所です。モデルアート
誌3月号増刊号の「スーパーイラストレーション日本海軍戦艦長門」には、
陸奥の副砲用方位盤の左右の一段下がった場所に、シールド付きの見張り方
位盤が設置されている様子が記載されていたのですが、キットには取り付け
指定はありません。今回は、キットどおりに仕上げました。



↑上部見張所の天蓋を取り付けると、いよいよ6本の支柱を差し込んで、長門
型戦艦特有のガッチリした檣楼が姿を現します(天蓋までリノリウム色とした
のは、少々やりすぎだったかもしれません)。



↑防空指揮所を接着すると、艦橋にも一体感が出てきました。多くの日本戦
艦は艦橋頂部に防空指揮所を備えていましたが、長門型戦艦では戦闘艦橋の
下に備えられており、外観上の特徴を形作っています。



↑戦闘艦橋は防空指揮所の上に存在し、以下の部分の艦橋構造とは独立した
構成です。内部も羅針儀と数台の双眼鏡だけで、比較的シンプルに仕上がって
います。



↑天蓋を付けると、戦闘艦橋に力強さが漲ってきました。在りし日の日本海
軍の象徴、戦艦陸奥の威容を思い起こさせてくれます。



↑94式方位盤照準装置、方向探知機空中線支柱など、艦橋頂部はエッチングパ
ーツによるディティールアップのやりがいのある部分です。複雑な構成の艦橋
が美しい構造美を見せるこのアングルは、個人的にも大変気に入っています。



↑1/350戦艦陸奥 左舷よりの艦橋の全体像。



↑同じく右舷から。主砲や煙突の一部の様子もご覧いただけます。



↑ここまで終われば、あとは空中線の接着です。瞬間接着剤と、硬化促進スプ
レーを組み合わせ、船首側から順番に張っていきました。空中線の配置は、
キットの図面よりは多めに張ってますが、実艦の配置よりは、かなり省略し
たものです。この陸奥は、これから展示会などでの移動が多くなるため、
輸送のリスクを考えると、この程度の表現が無難です。



↑最後に、水性の艶消しクリアーにて全体にコーティングを施し、その後、
クリアーパーツを接着します。探照灯のレンズは、スチロール接着剤を使う
と裏側に塗ったシルバーが溶け出す可能性があるので、エナメル塗料のクリ
アーを薄めたものを流し込んで接着しました。



↑甲板上に点在する天窓も、同じくエナメルのクリアーで接着しました。

こうして、あしかけ三か月に渡って建造を続けてきた1/350戦艦陸奥が、いよいよ竣工しました。

次回は、いよいよ完成画像です。



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