1/500スケール 戦艦 大和
FUJIMI製 インジェクションキット













フジミ インジェクションキット1/700

HIGH-GEARed's HOBBY WORKS!!の1/500洋上艦船模型のギャラリーは、2005年11月ぶりという
ことで、なんと4年ぶりになります。

1/500の製作から離れてしまった最大の要因は、やはり魅力的なニューキットのリリースが
なかったことと、大型フルハル艦船模型の人気が1/350に移った事があげられます。

そうした業界の流れにひとつ新たな流れを投じたのが、当も1/350艦船模型ブームの火付け
役の一翼を担ったフジミでした。

最新考証の大和を1/500でリリースした背景には、1/350でのバッティングをさけるという
目的もあったのかもしれませんが、1/500といえば、1/350より省スペースで、1/700よりも
精密感を出せるバランスのいい魅力的なスケールと言えます。

1/500ではこれまでニチモの製品がおなじみでしたが、空母群はディティールアップ次第
では近年の製品に負けない仕上げとすることも可能ですので、1/500の主力艦コレクション
という意味で、これまで抜けていた大和という大きな穴が埋まった事は意義深いことだとbr 思います。

今回は、1/500スケール艦船模型の金字塔とも呼べる、このフジミのニューキットをメーカー
純正ディティールアップパーツをメインに使用して完成させました。

**実艦について**

日本の造艦技術の高さを世界に示した巨大戦艦大和は昭和12年11月に呉海軍工廠にて起工、
昭和16年12月に竣工しました。

水線長256メートル、最大幅は38、9メートル、排水量約7万トンの巨体に46センチ主砲とい
う巨砲を9門搭載。その大きさ、武装は当時世界最大、最強を誇りました。主砲の46センチ
砲は最大射程41キロにも達し、距離30キロにて厚さ43センチの鋼鉄板を貫通させる
威力を持っていました。

一方、防御力の面でも基準排水量の3割になる21266トンの装甲板を使用。艦の全長をできる
だけ短くし、艦橋や砲塔、機関部などの重要部分を中央に集めた集中防御方式を採用して
高い防御力を実現しました。さらに、水面下の形状ででもっとも特徴的なバルパス
バウ。3メートルも前方に張り出した球状の船首は、その他の工夫と相まって造波抵抗を軽
減、推進効率に優れた艦形を実現しています。

こうした技術が戦後日本の造船界に遺産として受け継がれました。 

大戦中はミッドウェー海戦やレイテ沖海戦に参加し、太平洋に君臨した大和でしたが、昭
和20年4月7日、菊水作戦による海上特攻部隊として沖縄に向かう途中、300機からなる
アメリカ海軍機の猛攻を受け、ついにその姿を海中に没しました。

今回の作品は、大和の最終時の姿を再現したものです。


***キットとディティールアップについて***

キットは2009年10月30日に発売になったばかりの「1/500日本海軍超弩級戦艦 大和 終焉時」
です。

縮尺は1/500で、昨今流行している1/350と1/700のスケールの中間的位置づけで、1/350
より展示スペースの点で有利で、1/700より細かなディティール再現に適したスケールが
採用されています。br

キットの詳細はすでにメーカーホームページやホビーショー、各模型ファンのサイトやブ
ログでご紹介されているとおり、現在発売中の大和キットの中では最新考証に基づいて設
計されており、船体形状をはじめとして、25mm機銃シールドの従来型と戦時急造型との
違いや、露天型の機銃ブルワーク形状(角型)や機銃取り付け位置、船首波切板後部の通
風塔形状、船尾フェアリーダー形状等が従来キットより修正され、呉の大和ミュージアム
の1/10戦艦大和に近い形状に修正されています。

ディティールもこれまでの1/500の基準を大きく覆すもので、船体には鋼板継目が再現さ
れ、機銃座のブルワークは薄く再現されています。

実艦の建造中の写真で確認できる航空作業甲板の衝立や、セメント舗装の継ぎ目なども
再現済みです。

また、構造物のリベット再現も見事で、昨今大型艦船模型のノウハウを著しく向上させ
つつある、フジミの意欲作であることがうかがえます。

主砲に関しては、砲身が三本独立して仰角可動するなどの遊び心も採り入れられ、完成
後の展示を楽しいものにしてくれる配慮もなされています。

また、1/500といえばニチモの1/500シリーズや、小西製作所の完成品も発売されており
ますので、それらの完成品をお持ちの方は、同じ1/500スケール同士で並べて楽しむこと
もできるでしょう。

ディティールアップは、基本的にフジミから同時発売となった木製甲板とエッチングパ
ーツ、初回限定の真鍮主砲身にて行っております。

パーツに含まれていない高角砲射界制限枠は、真鍮線で自作するなどして追加しました。

甲板は木製甲板を使用してますが、ブラウン系の塗料を薄めたものをコーティングして エイジド感を演出しました。



↑フジミ 1/500 戦艦大和 終焉型 右舷前方。鋼板継ぎ目の様子など。



↑フジミ 1/500 戦艦大和 終焉型 右舷後方 汚水捨て管周りには錆色を塗装しました。



↑フジミ 1/500 戦艦大和 終焉型 左舷前方 木甲板は木製甲板を使用しました。



↑フジミ 1/500 戦艦大和 終焉型 左舷後方 航空作業甲板などの様子。



↑右舷側船首付近。鋼板継ぎ目の様子と船首舷側および錨鎖甲板の汚し塗装の様子など。



↑主砲塔は旋回、俯仰が可能です。主砲身は真鍮挽き物砲身を使用しています。甲板は木製です。



↑航空作業甲板全景。航空機運搬軌条(レール)は純正モールドを切削してエッチングパーツで再現しなおしました。カタパルトとジブクレーンもエッチングです。



↑航空作業甲板を支える支柱は純正モールドを切削してエッチングパーツに取り替えました。



↑中央構造物を右舷から見たの様子。中央部の25mm三連装機銃シールドは、このキットでは新考証に基づき、新造時のもの(丸型)と戦時急造型のもの(角型)とで形状が作り分けられています。



↑高角砲射界制限枠はキットでは再現されていないので、真鍮線で自作しました。後部マストには中将旗、信号旗には大和の艦名符字の「JGAA」を掲げました。



↑中央構造物の左舷側です。構造物にたくさんのリベットが打たれている様子がわかります。短艇収納庫の換気窓は新考証の角型で再現され、ボートダビッドもシャープな造型です。



↑艦橋背面のラッタルも最新考証に基づき、一部昇り用のラッタルと下り用のラッタルが作り分けられています。兵員待機所も新考証の大型のものです。



↑ケースはアオシマの「w700+HIGH」です。サイズは長さ約70CM、奥行約15CM、高さ約22CMです。

**塗装について**

タッチアップ部分を除いて、塗装はほぼ全てエアブラシ塗装です。 

サーフェーサーで下地を整えた後、船体外舷色はGSIクレオス艦艇色セットの「SC01呉
海軍工廠標準色」を塗装し、考証に基づいた塗色を再現しました。


リノリウム塗装は同じくGSIクレオス艦艇色セットの「SC06リノリウム色」を使用しています。


汚し塗装は主にエナメル塗料によるウォッシングとドライブラシ、ウェザリングマスター
の筆塗りと擦り付けによるものです。 その後、オリーブドラブをベースにブラックを追加
して調色した色を全体に吹き付け、最後に艶消しクリアーを何度も薄く吹き重ねて落ち着い
た艶消し仕様としました。


**総括**

1/350戦艦大和決定版を製作した際には、様々な考証を調べては「あそこはどう再現
しよう?」「ここは今回は妥協しよう」などを思案を巡らせたものですが、今回の
フジミの1/500戦艦大和終焉型では、そのような思案を巡らせる必要はありません
でした。

船体概観から細部にかけての再現は概ね大和ミュージアムの1/10戦艦大和に基づい
たもので、現在の考証の最新といえるものです。

造型に関しては、なにより目立つのが構造物をびっしり覆った無数のリベットです。

こうした再現がもたらしてくれる精密感と重量感は相当なもので、「このキットが
1/350で出ていてくれれば・・・」と思われた方も多いことでしょう。

今回の作品は、HIGH-GEARed製作のフルハル艦船模型の作例としては珍しく、ウォッ
シングを入れてますが、高角砲シールドなどは少々モールドが薄いので、強調する
のに役立ったと思われます。

フジミが突然、1/500というスケールを採用した戦艦大和をリリースしたことに関
しては皆様いろいろな意見をお持ちと思われますが、実際に一度製作経験を積んで
しまえば、このキットに対するフジミの本気ぶりと、名キットぶりが伝わることと
思います。

少々異端ではありますが、ぜひ売れてほしいと心から思うキットとの出会いと
なりました。



↑2010-3/3追記。1/500戦艦大和をヤフーオークションにて購入してくださった方
からの依頼で製作した1/500宇宙戦艦ヤマトとのツーショットです。この宇宙戦艦
ヤマトにつきましては、キャラクターモデルのコーナーで紹介しております





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