グンゼ産業 1/350豪華客船『タイタニック』










GUNZE SANGYO 1/350 R.M.S.タイタニック

この作品は、3月の奈良模型愛好会春展および、大阪南港で開催予定の「アート&てづくりバザール」出店に向けて製作しました。 出展と同時に販売も予定しておりますので、興味のある方はお問い合わせくださいませ。


**実船について**


タイタニックは処女航海で氷山に衝突して沈没し、多くの犠牲者を出したことで知られている豪華客船で、船に興味のある方なら一度は耳にしたことがある有名な船名ではありましたが、近年の知名度の高さは、言うまでもなく1997年に公開されたジャイムズ・キャメロン監督の映画「タイタニック」の大ヒットによるものです。

劇中では、タイタニックという特別豪華な船が1隻だけ作られていたように描かれていますが、実際には当時、キュナードラインの実質的なライバルであったホワイトスターラインには姉船『オリンピック』と妹船『ブリタニック』がおり、タイタニックは、これらの三姉妹船の2番船という位置づけでデビューしました。

オリンピックとタイタニックは起工時期はほぼ同じですが、タイタニックはひとあし先に就航したオリンピックの運用経験を踏まえて一等船室を増やすこととなり、結果として、当時史上最大(46328総トン)の豪華客船の称号を手にすることとなりました。

ちなみにこれは余談ですが、オリンピッククラスが就役した当時は大西洋横断のスピード記録が注目を集めていた時代に近く、煙突の多い船が(高出力をイメージさせるため)人気を集めていたこともあって、ダミーの煙突を装備する船が多く、タイタニックの4本目の煙突も形だけのもので、当時の写真を見ると4番目の煙突からは煙が出ていないことが分かります。

**キットについて**


今回製作したキットは、旧グンゼ産業(現在のGSIクレオス)が以前に発売していたもので、おそらく現在ミニクラフトから発売されているキットと同じものと思われます。

ネットの情報では1970年代の設計のようで、プラの肉厚や抜きテーパー、巨大な押し出しピン跡の処理に苦労させられましたがバスタブ型の船体側面には鋼板継ぎ目のモールドが繊細に再現され、デッキ構成も実船の構成に近く、設計者の意気込みが伝わる楽しいキットに仕上がっています。

ディティールアップはゴールドメダルモデルズのエッチングを二種(タイタニック、ルシアタニア用)使用し、電飾を入れるために内部を完全に遮光、フロア抜きや反射テープなどを駆使して実船イメージに近い照明を再現しました。




1/350タイタニックの全体像。ライバル船のルシタニアやモレタニアと比較すると、少々無骨な印象を受けますが、それだけに堅牢なイメージがあったのではないかと思われます。

塗装は白塗装の発色が軽くならないように、一旦ブラックで隠蔽してから徐々に発色を明るくしてあります。 煙突はダークイエローにキャラクターイエローを混ぜた自作の色を塗装し、その他、細かい塗り分けは映画を参考に行いました。



映画でも名シーンが演じられた船首から船橋にかけての様子。ブリッジの天蓋部分は、キットによって木張りだったり鉄板だったりと、それぞれ解釈が異なるようです。 前後部マストのラットラインはキットにもプラパーツが含まれていますが、太すぎるのでエッチングに換えました。



中央部を上から見た様子。さまざまな施設があり、非常に見ごたえがあります。第二(画像最も左側)、第三煙突の中間部にある見張り所は、キットパーツが使い物にならなかったのでプラ板で自作しました。



階段状の後部デッキ。大きな開口部をもつ上段のプロムナードは一等船客専用のデッキで、映画の中でもそのような位置づけで登場しています。



後部にはデッキチェアーがたくさん並べられていて、客船の優雅さを楽しむことができます。



電飾を点灯した様子。操舵室周りはあまり明るくならないように調整しています。



中央部から後部にかけてはまさしく実船のイメージです。舷窓はすべてピンバイスで開口しました(この処理だけで丸一日近くかかりました)



内部は全てシルバーで塗装し、隙間には反射テープを貼るなど、徹底した遮光処理を施しました。その結果、光ムラも少なく、大変満足のいく電飾が完成しました。



製作中の様子。甲板は、ほんのわずかですが、色調の変化を出すために細切りのマスキングテープを貼って塗り分けました(三色)。下地は黄色で立ち上げ、軽くウォッシングも行いました。 このあと、構造物内部はシルバーに塗装し、LEDの光をいきわたらせるために各フロアの床面を切り抜きました。



フロアを一枚一枚貼り重ねていく様子です。



プロムナードデッキ外壁は、船体とは別パーツで、今回の製作の中では合わせに最も苦労した部分です。


**総括**


タイタニック号での大西洋横断の運賃は一等客室で224ポンド(現在の価値で448万円)、三等客室で2〜4万円程度だったそうです。 映画の中でも、客の格差については丹念に描かれてましたが、こうした数字を見る限りでは、実際の客船内の格差はそんなものではなかったのかもしれませんね。

しかし、飛行機もない時代、客船が大西洋間を移動するための実質的な最高の乗り物だった時代の優雅さは、模型を作っていても充分感じることができました。

タイタニック号は、映画を見て以来、いつか必ず作りたいと思っていた船だったこともあり、今回は電飾などにも挑戦しつつ、無事に完成の日の目をみることができて、とても満足しています。

1/350というスケールは、開発当初は中途半端なスケールだったかもしれませんが、このスケールがすっかり定着した現在においては、ほかの船や軍艦などと大きさを比べる楽しみなども広がり、さらに価値を増したキットではないかと思われます。

しかし、組み立て難易度は私がこれまで経験した1/350キットの中でも(電飾の取り回しや光の拡散を考えながら進めたことも原因ですが)最難関だったと言って間違いないものでしたので、できることなら今時の技術でもっと組みやすいキットのリリースがあったらな、と、無駄だと知りながらも願ってしまいます(笑)

次は同じシリーズの1/350ルシタニアにも挑戦してみたいですが、少しでも組みやすいキットに仕上がってくれていたらと思う次第です。(しかし、どうしてこう1/350客船モデルは氷川丸以外は悲劇的な船ばかりなんでしょう)


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