1/700スケール 航空母艦 大鷹
Aoshima製インジェクションキット













アオシマ 1/700

航空母艦大鷹は、南米西岸線に就航が予定されていた豪華客船
『春日丸』を竣工、浸水直後に軍部に徴用され、特設航空母艦
春日丸として、1941年6月5日に竣工し、1942年8月31日付にて
航空母艦『大鷹』と改名されました。

改造航空母艦としては第一号にあたり、主にその任務は船団護衛
および兵員、戦闘機の輸送が中心でした。

大戦中には輸送任務が中心の作戦に従事した大鷹ですが、1944年
8月18日深夜、14隻の船団を護衛し、ルソン島西北部を
南下中、米潜水艦ラシャーの雷撃を受け、沈没しました。



大鷹型空母の製作は小学生時代以降2回目になるのですが、今回の
製作では、大戦中主に輸送任務で活躍した航空母艦大鷹の改名直後
の1942年当時を精密に再現し、出港準備を行う情景モデルとして完成
させることにしました。

1942年当時とするために、12cm単装高角砲を6門→4門に変更した他、
飛行甲板の前端をカットして飛行甲板延長前の長さに調整し、船首と
船尾の機銃スポンソンを省略して取り付け穴を埋めるなど、各部のリサ
ーチミスの訂正および省略されたディティールの追加作業を行い最新
の資料に基づいた大鷹の形態としています。


↑アクリルケースに収めた図。ケースの長さが約36cm、船体の全長は
およそ25cmです。

ベースにしたキットは洋上艦船模型の国内最大のブランド、ウォー
ターライシリーズのAOSHIMA製キットです。シリーズにあって比較的
地味なキットではありますが、艦形はとても手際よく再現されている
こともあって、リサーチミスの訂正やディティールの追加によって見
ごたえのある完成品とすることができるとあって、軽空母ファンに人気
のあるものです。

シリーズにおいては地味が種類の艦ですが、こういった艦種もちゃんと
ラインナップに加えてくれるところが何ともマニア心をくすぐります。(笑)

その他の改造空母はインジェクションではほとんどリリースされていない
ので大鷹型のリリースを勇断してくれたAoshimaの心意気に感謝したいです。


↑大鷹の全景です。

今回はこのキットをベースに、ピンバイスによる舷窓のさらいなお
し等の基本的な作業を行い、ジョーワールドとゴールドメダルモデ
ルズの空母用エッチングパーツ、フラグシップの極細模型用チェー
ン、極細テグスによる空中線再現、そしてピットロードのディテ
ィールアップインジェクションパーツなどをふんだんに使用して
ディティールアップを施しました。

舷側のモールドおよび船首と船尾共に手摺を配し、船首アンカー
チェーンをフラグシップの極細の鎖におきかえて本物の立体感を
表現しました。

スポンソンに備え付けられる対空攻撃用の25mm連装機銃および、数
を1942年当時の4門に調整した単装高角砲はピットロード艦船装備
セットのディティールアップパーツに交換し、立体的かつ精密に
表現しました。


↑艦橋の様子

艦橋窓はジョーワールドの艦橋窓枠用のエッチングパーツを使用して
モールドのメリハリを強調しました。昇降口のテラス状になった部分
にも手すりを配してあります。

起倒式マストの基部はエッチングパーツを使用し、実感的なトラス構
造を再現ました。

飛行甲板上の遮風柵および制止柵はキットでは省略されていたため、
HASEGAWAおよびジョーワールのエッチングパーツによってディティー
ルを追加し、立てた状態としました。 

舷側では左舷側で小艦艇が接舷している部分にタラップを下ろし、乗
組員や作業員が行きかう状況としてあります。

出港準備中ということでエレベーターは移動途中の状態にしてありま
す。この状態とするために飛行甲板上の後部エレベーターのモールド
をホールソーで切削し、ルーターと棒やすり、サンドペーパー等で形
を整えた上で、エレベーター本体と格納庫内床面の再現にはファイン
モールドのエレベーター&格納庫セットのパーツを使用し、エッチン
グ板ならではの薄いモールドで再現しました。


↑昇降中のエレベーターの様子。再現には甲板モールドを切削した
上でファインモールドのエレベーター専用エッチングパーツを使用しました

艦上機は戦闘機輸送に活躍した大鷹に合わせて零式艦上戦闘機を配置
しました。

出港準備中という設定ですので、飛行甲板上およびエレベーター上の
4機のほかに、船首右前方を移動中の飛行機運搬船にも2機が搭載され
ています。

また、艦上機のマーキングは全て手作業の塗装によるもので、プロ
ペラも同じく手作業で1機ずつ取り付け、エッチングパーツにて再現
してディティールアップを施してあります。

空中線の再現には今回は0、6号釣り糸(太さ0、128mm)を着色し
て使用しました。この空中線は着色してはいますが、もともとは極細の
テグスですので糸のようにメンテナンスの心配がないのが大きなメリット
です。

そして塗装ですが、スケール性を考慮した上で船体やパーツの本
塗装の前には塗装後の塗膜の発色を良くするために、ホワイトサ
ーフェーサーで下地を作った白たちあげにて塗装しています。

船体色の再現には白下地の上からGSIクレオスの32番を吹きつけ
ました。

飛行板の木甲板色の再現にはGSIクレオスのタンをベースにサ
ンディブラウン、ウッドブラウン、黄燈色を薄めたものをコート
して木甲板独特の立体的な色調を表現しました。

甲板のマーキングには全て塗装によるもので、キットの塗装指示で
はタン一色となっている甲板塗装も、資料に基づいて前端を鋼板滑
り止め塗料を模した色調に塗り分けました。 船底はGSIクレオスの艦底色
で、外舷色、船底色などはすべてエアブラシによる重ね塗りを3回施し、
最期の仕上げに船体全体に艶消しコートを施して質感を統一しました。


↑船首部分、飛行甲板の塗り分けおよび遮風柵、転落防止ネット等


↑ご覧のように航空母艦の出港準備に活躍する6隻の雑役船を配しました。


右舷前方:飛行機運搬船(100t型)


右舷後方外側:水運搬船、内側:重油運搬船


左舷:外側から特型運貨艇(17m型)、内火艇(15m型)、浮桟橋


魚雷運搬船(150t型)

台座の海面を模した塗装はホワイトとブルー系の塗料、そしてク
リアー系塗料をまだらに重ねて吹き付けて再現したものです。画像
で見るより実際には色ムラは多めです。


**総括**

シリーズにおいて比較的地味でなおかつモールドもシャープではなく、考証
にも不自然な点がおおいキットを修正するのは、個人的にも世間的にも評価が
高いキットの完成度を生かしてより精密さを求めるのとは違った楽しさがあります。

特に近年では資料も豊富でアマチュアにも入手しやすい環境がそろっています
ので、今後はこういったテーマにもより精力的に取り組んでいきたいです。

丁度この大鷹を完成させた直後にモデルアート誌の別冊で港湾での出港準備
情景の作り方という記事が掲載され、内容がこの大鷹の作りと良く似ていたこと
もあって、記事を参考に作ったのか?と聞かれたことがあったのですが、この
アイデアは何年も前から一度やってみたいとかんがえ、構想を立てていたもの
なので雑誌の記事とは無関係です。(笑)





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