1/700スケール 戦艦 大和 菊水作戦時
TAMIYA製インジェクションキット 走航波ジオラマ仕様










タミヤ 1/700

HIGH-GEARed HOBBY WORKS!!では、2006年春以来、1/200、1/350と、膨大な物
量を投じた大和の製作を続けて参りましたが、今回の1/700も同様に、その流れで膨大な
物量を投じた仕様となりました。

細かい仕様については、これから述べて参りますが、まずはこれまで同様、艦大和の実艦
についての簡単に解説させて頂きます。


***戦艦大和 実艦について***

日本の造艦技術の高さを世界に示した巨大戦艦大和は昭和12年11月に呉海軍工廠
にて起工、昭和16年12月に竣工しました。

水線長256メートル、最大幅は38、9メートル、排水量約7万トンの巨体に46センチ主砲と
いう巨砲を9門搭載。その大きさ、武装は当時世界最大、最強を誇りました。主砲の46セ
ンチ砲は最大射程41キロにも達し、距離30キロにて厚さ43センチの鋼鉄板を貫通させる
威力を持っていました。

一方、防御力の面でも基準排水量の3割になる21266トンの装甲板を使用。艦の全長をで
きるだけ短くし、艦橋や砲塔、機関部などの重要部分を中央に集めた集中防御方式を採
用して高い防御力を実現しました。さらに、水面下の形状ででもっとも特徴的なバルパス
バウ。3メートルも前方に張り出した球状の船首は、その他の工夫と相まって造波抵抗を
軽減、推進効率に優れた艦形を実現しています。

こうした技術が戦後日本の造船界に遺産として受け継がれました。 大戦中はミッドウェ
ー海戦やレイテ沖海戦に参加し、太平洋に君臨した大和でしたが、昭和20年4月7日、
菊水作戦による海上特攻部隊として沖縄に向かう途中、300機からなるアメリカ海軍機の
猛攻を受け、ついにその姿を海中に没しました。


***キットとディティールアップについて***

キットは、これまで同様、タミヤのWLキットをベースにしました。

1/700用の大和パーツは、全ての大和モデルのスケールの中でも最も種類が多く、選択
肢もより多彩で充実した商品ラインナップとなっていますが、今回の作例では、これまでに
実際に使用してきて信頼度の高いパーツのみを厳選したパーツ構成となりました。

今回の製作において採用したパーツは、

ピットロード GB-01 戦艦大和 グレードアップパーツI
ピットロード PE-113 日本海軍戦艦大和・武蔵用
ゴールドメダル PE-26 日本海軍  戦艦大和・武蔵用
トムズモデル PE-95 日本海軍大和・武蔵用
ジョーワールド JPE94 IJN 戦艦「大和型」艦載艇搬入口
ジョーワールド JPE95 IJN 戦艦「大和型」専用作業甲板格子
ジョーワールド JPE96 IJN 戦艦大和型」専用 運搬軌条&旋回盤
ジョーワールド JPE28 精密窓枠
ファインモールド AM-9 日本海軍 九六式25mm三連装機銃セット×2
ファインモールド AM-10 日本海軍九六式25mm三連装機銃セット(防楯付)×2
ファインモールド AM-19 日本海軍 探照灯セット
エデュアルド 17016 日本海軍戦艦大和 タミヤニューキット用
その他ピットロードインジェクションパーツや錨鎖用精密チェーン

などです。 シールドなし機銃はエッチングパーツとしていますが、八角機銃座再現のため
に、ファインモールドの防盾機銃も必要としたため、合計4セットの機銃エッチングパーツが
必要となり、大変な部品代と製作の手間が必要になりました。

また、それらのディティールアップのほかに、今回は走航波を再現した洋上モデルとして、
HIGH-GEARed HOBBY WORKS!!掲載の作品では初の作例となります。


↑今回の走航波再現に使用したのは、ウッドランドシーニックス社製の
ウォーターエフェクトです。 鉄道模型のKATOがシーナリー用品として
輸入しているもので、エマルジョン系のメディウムです。木工用ボンドに
近い成分ですが、リキテックスのジェルメディウムなどに近い使用感です。



↑波製作中の画像。ウェーブボードの上に、ペイン
ティングナイフで成型していく様子をデジカメで撮
影してあったのですが、誤って削除してしまったた
め、作業終了後の携帯カメラ画像になります。(謝)

海や波を作る方法は、アルミホイルやセロハン、パテを使った方法など、たくさん存在しま
すが、ウォーターエフェクトは、エマルジョン系木工用ボンドと同じく、乾燥すると透明にな
りますので、透明感を演出することが可能です。 波の部分は上の画像では乾燥前で色が
ついているため大げさにみえますが、乾燥すれば透明化するので、その後波頭をアクリル
絵の具などでひかえめに着色してやれば、それらしく見えるようになります。


↑波の成型、着色が終わった状態。ウェーブボードは市販のDIY用アクリル板(カスミ)に
クリアーブルー塗装を施しているものですので、底にブルーまたはグリーン、ブラックなど
の色画用紙を敷けば、海の色合いに変化を付けることも可能です。


↑正面から。


↑第一、第二主砲塔周りの様子。砲身はピットロードの真鍮挽き物砲身に交換済みです。
砲塔上の手摺はゴールドメダルのエッチングパーツによるもので、バーベッド補強板はプラ
バンによる自作、機銃座は砲塔上の六角機銃座がピットロードのレジンパーツ、甲板上の
八角機銃座がファインモールドの防盾付25mm機銃の付属品です。


↑副砲バーベッドの補強板やメンテナンスハッチ、各部缶室吸気口フィンは、エデュア
ルド製のパーツを使用しています。近年、1/700大和用パーツのリリースラッシュがあり
ましたが、この辺りのパーツを揃えてくれているのは、未だにエデュアルド製のみです。
舷灯は、プラバンで自作しました。


↑中央構造物の様子。煙突出口フィンは、ゴールドメダル製とピットロード製がありますが、
ここではより立体的な表現の可能なピットロード製を使用しました。高角砲射界制限枠は
真鍮線による自作で、各部のハッチ類はエデュアルドパーツです。また、探照灯も交換
し、ファインモールドのクリアーパーツとしました。 艦橋窓枠は、ジョーワールド製の窓枠
パーツから形状の合うものを選んで取り付けました。


↑新考証の旗甲板の増設部分を再現すべく、キットパーツを一部切り取り、プラバンでブ
ルワークを自作しました。シールド付き25mm三連装機銃は、ピットロードのレジンパーツを
使用して、従来型と戦時急造型の形状の違いを区別しています。また、この夏製作の1/350
決定版に従って、機銃射撃指揮所の数および配置も修正しました。


↑後部第三主砲塔。副砲バーペッドの側面に見えるリールは、カマボコ状のキットモー
ルドを切削し、ピットロードのパーツに交換しました。


↑航空作業甲板周りは、ジョーワールドのパーツをメインに使用し、ディティールアップを
施しました。航空機運搬軌条の他、両サイドのスノコ部分と内火艇搬入口上面の支柱な
ども、エッチングパーツでシャープに再現してあります。1/350決定版で再現した、搬入口
の踊り場もジョーワールドのリニューアルパーツで再現しました。


↑ケースは今回、小西製作所の製品を使用しました。本来は1/300戦艦三笠用に用意
されているもので、高さに余裕があります。高さに余裕があれば、上から見たい時に、照
明が反射して見づらくなるようなことが少なく、展示の際に有利です。 博物館の模型ケ
ースが、高さに余裕を持たせて作られている理由も納得できるというものです。(笑)


**総括**

HIGH-GEARedをはじめとして、大和型戦艦ファンの悲痛な願いが通じたのか? 前回の武
蔵製作時に「絶版になってもったいない!」と書いていたジョーワールドのパーツが再販され
ました。 各パーツはリニューアルされ、材質や形状が見直されて、更に歓迎されるパーツ
郡に生まれ変わりました。 「自分が納得できないパーツは販売できない」という内容の文章
を良く広告に掲載されているジョーワールドさんだけに、転んでもただでは起きない熱意を
感じるパーツです。 

今年に入って、1/200、1/350と、順番に豪華仕様を完成させてきましたが、こうして1/700を
組んでみると、改めて大和のキットとしては、最新考証を再現するのに最適なキットだと思い
ました。 1/350でも、キットの不備を克服するパーツ類は徐々に充実してきてはいますが、
最初から正しい構成のマスト、兵員待機所、艦橋基部形状、穴埋めの必要のない甲板など
を見るに、基本的に「パーツを取り付けていくだけのディティールアップ」だけで、簡単に最新
考証に近い大和を完成させることが可能で、またそのパーツ類にしても、1/350では設定の
ない増設機銃シールドなどが含まれている様子は、大型艦船模型ファンとしては、少しうらや
ましくもあります。(笑)

走航波の再現は、HIGH-GEARed HOBBY WORKS!!では初めての掲載となりますが、
波再現の練習自体は以前から進めていたことでしたので、さほど戸惑いなどはありません
でした。しかし、この作業は経験がモノを言う再現と言えるでしょうし、今後研究と経験を重ね
て、更なる実感的な再現を模索していきたいです。

波の再現は初めてみたいけど、詳しいやり方がわからないという方が多いと思いますので、
今後機会があれば、更に多くの画像と、より細かい解説を入れて詳しく紹介していこうと考
えています。 






SCALE MODELSに戻る


左側にメニューページが表示されない場合はここをクリック

艦船模型製作代行 モデルファクトリー ハイギヤードはこちら

スケールモデル完成品販売ネットショップ CHERRY&ANCHORはこちら





inserted by FC2 system