2004年、3月24日大相撲大阪場所11日目観戦記




『HIGH-GEARed's HOBBY WORKS!!に相撲観戦記???』

車や模型や音楽が中心のサイトにあって、なんだか場違いな内容に見えるかもしれませんが、実は
HIGH-GEARedは生粋の大相撲ファンなのです。

日本の文化、伝統や儀式的美学に富んだ相撲の世界は茶道をはじめとする日本文化に興味をもつ
自分にとってはこの上ない魅力的な格闘技と言えます。

このレポートを書いている6月にはもう夏場所も終わり、中国公演や勝ち抜き戦などが話題になる頃
ですが、今回は3月に観戦に訪れた大阪場所についてレポートします。

ちなみに、奇しくも、この16年大阪場所11日目は幕内力士4人が11日目にして全勝で揃うという相撲
史に残る大記録が生まれた日でもありました。また、横綱朝青龍の連勝記録が注目されだしたのもの
この場所からです。

(その後連勝記録を35連勝まで伸ばし、貴乃花のもつ平成の連勝記録を更新しました)

同じく相撲ファンの方に楽しんで頂けましたら幸いです。(はたしてこのサイト視聴者にいるのか?!)



会場に到着、幕下から十両までの取組み




ここが大相撲大阪場所の舞台となる大阪府立体育館です。HIGH-GEARedの最寄り駅までの歩行時
間が約20分。乗り換えなしで難波駅に向かい、出口から5分で到着します。片道の歩行時間はおよそ
25分と、ほとんど散歩気分で行ける近距離にあります。大阪府立体育会館は国技館のように相撲専用
の施設として作られていないため、デメリットもありますが、メリットもあります。このメリットというのが非常
に大きいため、大阪の大相撲ファンは東京のファンによく羨ましがられるそうです。入り口でチケットを買
おうとしたら、ちょうど時津海関が到着し、HIGH-GEARedの目の前をとおって館内に入っていきました



当日は立見席観戦の予定で正午前に到着したのですが、場所の盛り上がりもあって立見席は売り切
れ。当日券を目当てに訪れただけに引き下がるに引き下がれず、ひとり\5400の椅子席Bの入場券を
購入しました。観戦場所は向正面側の升席のすぐ後ろになります。椅子席では2番目に良い場所で、
ちょうどテレビ中継を見るのと同じ大きさの土俵が見えました。



席についた時にはちょうど幕下取り組みの最中ということで、やがて十両の土俵入りがはじまりました。
むかって左側を向いている力士は奈良出身で関取昇進をはたしたばかりの大真鶴関です。近畿勢
の力士はこの大阪場所がご当地場所となります。



右を向いている黒い化粧まわし姿の力士は豪快な塩撒きで有名な北桜関です。ベテランの中にあっ
てまだまだ気合の衰えない相撲が魅力です。弟の豊桜関はこの場所は幕内で相撲をとりました。
となりにいる韓国国旗をあしらった化粧まわしをつけた力士は韓国相撲シルム出身の春日王関で
す。大阪場所前の韓国公演にて地元応援団の声援を受けて大活躍したの姿が記憶に残ります。



幕下で注目を集めるブルガリア出身の長身力士、琴欧州。相撲界のベッカムとも呼ばれている
そうです。(笑)こうして四股を踏んでいるのをみても分かりますが、驚くほどの足の長さです。相撲で
は足が長いのは長所にも短所にもなりえますが、琴欧州は長身を生かした良い相撲で今後が注目
されます。(大阪場所後に関取昇進)



HIGH-GEARedと同じ奈良出身の関取、大真鶴は関取にあがってからは少し調子を崩しているよ
うでした。やはり十両の壁はなかなか厚いようです。今後もぜひとも少しでも上を目指して頑張って
もらいたいものです。



ここは相撲グッズがたくさん売られている売店の前の通路です。西の花道がこの売店の前に通じて
おり、売店の前にいればいつでも西の力士達を見ることができます。これこそが大阪のファンが東京
のファンに羨ましがられる所以です。取り組み前と後の力士の姿を至近距離で見物可能とあって、
売店の前にはいつも至近距離で力士を見たいファンが詰め掛けます。通路の警備にあたっている
警備員も親方や理事が勤め、テレビ見た姿を目の前で見ることができます。写真は取り組みを終え
た春日王関。



こちらは取組に向かう北桜関。力士志望と思われる少年にサインをしてあげるなど、心優しい面を
見せてくれました。



今場所は東十両5枚目の隆乃若関。幕内経験も豊富な力士で返り入幕を目指します。写真がぶれ
てしまいましたが近くでみるとなかなかの男前です。



向正面のイス席に戻ると北桜関の仕切りが行われてました。右側にもやのように見えているものは北
関が撒いた大量の清め塩です。ちなみに大相撲で使われるこの塩は伊勢神宮の塩田で作られる
『やんごとなき塩』だそうで、これを使える人間は皇室の血筋の方か大相撲力士に限られるそうです。
北桜関はこの塩をおよそ1キロ空中に放り投げます。以前水戸泉(現錦戸親方)という豪快な塩撒き
で有名な力士がいたのですが、北桜関はこの水戸泉と二度目の対戦した際に、相手に負けない気
迫をみせつけるために初めてこの大量の塩撒きを始めたそうです。(そして見事水戸泉に勝利)



いよいよ幕内の取組み開始、結びの一番まで




十両の取り組みがおわり、いよいよ幕の内力士の土俵入りです。みんなテレビでおなじみの顔ばかり
です。この写真は西方の幕の内力士の土俵入りの場面です。



左はもみあげがトレードマークの闘牙関、右がこの大阪場所での活躍が著しい朝赤龍関です。二人
とも高砂部屋の力士で、朝赤龍関は横綱朝青龍の弟弟子にあたり、同じモンゴル出身力士です。こ
の日も見事に勝利し、11戦全勝の好成績を残しました。ちなみにこの二人は横綱土俵入りの際に露
払および太刀持ちも勤めます。



横綱朝青龍の土俵入り。向正面に陣取っているため、後姿しか観られなかったのが悔やまれます。
横綱の土俵入りは本来地沈祭での地固めの儀式をパフォーマンス化したもので、雲龍型と不知火型
に大別して分かれます。ともに江戸時代の横綱、雲龍と不知火が考案したもので、この雲龍型土俵
入りは守りから転じて攻めに移る一連の動作が再現されています。横綱朝青龍はモンゴル出身の
23歳、この若さでひとり横綱を務める苦労は並大抵のことではないでしょう。



土俵とは直接関係ありませんが、こちらは土俵下の審判席の様子です。中央に第65代横綱『貴乃花』
こと貴乃花親方がいます。他の親方や年寄と比べても姿勢が良く、血色もいいので今からでもまた
相撲をとれそうな雰囲気さえ漂わせています。



変わってコチラは西の花道。中央にいる大型の関取は大ベテラン35歳の琴ノ若関です。怪我の連
続で休場が続き、前頭13枚目からの復帰。左足のテーピングは靭帯の損傷によるもので、日常生活
にもまだまだ支障があるという厳しい体調での今場所でした。しかし、この日は闘牙関を破って堂々の
勝ち越しを決め、花道のお客さんから大拍手で迎えられました。(あとになって本人が話したことによ
ると、この場所で負け越した暁には引退を考えていたそうです) 勝ち越しを決めてほっとした表情に
も見えますね。まだまだ頑張ってもらいたい人気のある関取です。写真はNHK内藤アナウンサーに
インタビューを受けている場面です。



グルジア出身の幕の内力士、黒海関です。十両で闘っていた頃から応援してました。馬力のある付
き押しが身上で、観ていて気持ちの良い前に出る相撲を見せてくれます。幕の内の壁に押し戻され
ることなく勝ち越しを重ね、今後の活躍が期待されます。また、非常にマジメで努力家な性格でも知
られ、取り組みの後にはいつもこうしてVTR(というかNHKのハイビジョンカメラに取り付けられたモニ
ター)で取組み内容をチェックしてから支度部屋に引き揚げます。今後の相撲人気をしょって立つ
人気力士のひとりです。



人気力士といえば、相撲に興味のない人たちにまで有名なこの高見盛関がいます。気合を入れる
独特のパフォーマンスや常に前向きな気持ちで取る相撲が人気を集めます。本人はマジメにやって
いるのですが、周りから笑いをさそうコミカルな動きが印象的です。この写真からも、どことなくロボット
的な動きが伝わっていることでしょう。ちなみにあの気合を入れるパフォーマンスは何も客を沸かす
ためにやっているものではなく、以前負った怪我への恐怖を断ち切るために行う仕草だそうです。



おなじみの永谷園ののぼり。高見盛といえば実力より人気ばかりが先行していると思われがちです
が、殊勲賞1回、敢闘賞2回、技能賞1回で金星2回、三役も経験している実力派です。右を差した
ときの力強さ、そして相手に攻められ、顎が上がった状態でも充分な力を発揮することから、しばし
ば土俵際での逆転を見せ、上位を苦しめる存在でもあります。先場所で大きく負け越したこともあっ
て今回は前頭8枚目という番付ですが、また返り三役を目指して頑張ってもらいたいです。(この日は
立ち合いから対戦相手十文字の張り手を何発も受け、意識を失ってあっという間の敗北になってし
まいました)



続いては貴ノ浪と岩木山の取組だったのですが、際どい勝負に物言いがつきました。行司 式守
錦太夫の向こう側にいる審判はこの取組での審判長を勤める元横綱『千代の富士』こと、九重親方
です。ウルフと言われた鋭い目つきは現在も健在です。物言いの結果、貴ノ浪の体が残っており、
貴ノ浪の勝利となりました。 あとから思えばこの大阪場所は貴ノ浪関にとって千秋楽まで取り続けた
最後の相撲になりました。外四つからの豪快な投げで一時代を築いた元大関貴ノ浪はこの次の夏
場所で引退を表明。元双子山部屋(現貴乃花部屋)の関取がついに全滅という残念な出来事にな
ってしまいました。



かわってこちらは支度部屋前(売店前)です。浴衣で登場したのは関脇若の里です。ここ数年、関脇
と小結の間を行き来する場所が続いています。次期大関候補として有力視されているので、そろそろ
大関の座に上がりたいことでしょう。ちなみにこの場所の後には結婚を控えていることもあり、心機一転
さらなる活躍を期待したいです。



続いて取組みに向かう大関武双山を激写しました。テレビで見るほぼそのままの雰囲気の方でした。
(笑)武双山もすぐにでも横綱になるかという勢いで出世してきたものですが、今ではすっかりベテラ
ンの大関といった感じです。



こちらは魁皇関。友綱部屋期待の大関です。左四つでの怪力では横綱朝青龍をも凌駕します。し
かし坐骨神経痛など体調に問題をかかえることが多く、なかなか綱取りに手が届きません。みての
とおり、とても優しい顔をしているのですが、実際にとても心優しい大関だそうです。(もっと鬼になら
ないと横綱にはなれないというのが相撲界説で有名な北の富士勝昭さんの分析です)



そして土俵上は結びの一番を迎えました。本日の結びの横綱の対戦相手は入幕後実にわずかな
期間に小結にまでのぼりつめた垣添関です。突き押し相撲の早い攻めで上位を苦しめる今後期待
の力士のひとりです。両手をキレイにつく仕切りになんともいえないかっこよさがあります。



垣添と対戦するのはもちろん横綱朝青龍です。土俵にあがる前から垣添関を恐ろしい形相でにら
みつける姿はさながら鬼神のようです。この若さでひとり横綱を務めるからには、やはりこのような鬼
にならねばとても勤まらないのかもしれません。土俵を降りれば終始にこやかな23歳に戻る朝青龍
も、この時ばかりは凄まじい風格に溢れています。



懸賞は16本周りました。ちなみにこれまでの最高懸賞本数はこの大阪場所の後になりますが、16年
名古屋場所の同じく朝青龍戦でその本数は実に40本にもなります。(呼び出しの人数を越える本数
になりました)



写真がブレてしまったのですが、制限時間いっぱいの際にいつも横綱が見せるまわしを叩く仕草です。

取組は実に横綱万全で進みました。じょじょに前にでつつ、相手の姿勢を崩して有利な体制にもって
いってから大技をかける。これがこの大阪場所前後での朝青龍の相撲です。相手のほうが先に地面
につくのが確実な体制であっても、駄目押しの足をとりにいくすがたが向正面からは良くみえました。

場内アナウンス:『ただいまの決まり手は渡しこみ、渡しこんで朝青龍の勝ち』



高砂部屋の幕下力士、皇牙による弓取り式。儀式美に溢れていてなかなか見ごたえがあります。後ろ
からの写真でよく見えませんが、皇牙は江戸時代の相撲錦絵にでてきそうな顔の力士で綺麗な四股
を踏むなかなかかっこいい力士です。



相撲が終わり、升席や桟敷席の人たちも笑顔で会場をあとにします。



土俵にはすぐにカバーがかけられました。基本的に、場所中は力士や相撲協会の関係者以外の人
間が土俵にあがるのはタブーとされます。以前、酔っ払って土俵に駆け上がろうとした観客を旭導山
関が寄り切る一幕もありましたよね。



電光掲示板は国技館のように客席に埋め込まれてはいず、仮設のものが天井からぶら下げられます。



こちらは出口に飾られていた優勝者に手渡される天皇賜杯と優勝旗です。もう引退してしまった横綱
武蔵丸(現武蔵丸親方)の名前もみることができます。 また、賜杯と賜杯を狙うたくさんの力士達に
会える日を心待ちにし
たいです。




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