1/16スケール 25th anniversary lamborghini countach
フジミ製インジェクションキット









カーモデルは久しぶりの製作になるのですが、今回取り組んだのはこのギャラリーでは初めて
となる1/16スケールの大型モデルです。 大型のカーモデルは以前にこのギャラリーでも紹介
した製作した1971年型のタイレル(ティレル)フォードで経験済みですが、今回は初めての箱車
ということで、ボディの塗装が重要になります。 

また、カーモデルに関していろいろとウワサのあるフジミのキットのこと、無理のある設計や合い
の悪いパーツの修正との格闘の上、なんとか大型モデルの利点を生かすべく、力を入れて製作
しました。

ちなみにこのモデルは2001年に東京を旅した時以来お世話になっている方に製作を依頼され
たもので、製作前にはフェラーリブランチにて、本人が所有されているカウンタックアニバーサリ
ーの実車を拝見させていただいた上での製作となりました。 このようなスーパーカーを間近に
お目にかからせて頂ける機会を頂いて大変光栄でした。


***キット概要***

このキットはそもそも初期型のカウンタックを最初にモデル化し、後継モデルが追加されるごと
に金型を改修して徐々にアニバーサリーに仕上げられていったもののようで、他のグレードを
仕上げるための無駄なパーツが多く、またこれら無駄なパーツが出てくる過程でメーカーも混乱
してしまったのか???各部に大きな無理が発生し、フロントフードなどは内部を再現し、フード
側のヒンジが用意されているにも関わらず、設計ミスなのか?ボディ側の受けが用意されていない
ために、結果的に開閉不可になっていたりと若干理解に苦しむような設計がなされていました。

加えてガルウイングドアは開閉機構が再現されているものの、ドアパーツの歪みにより、チリを
あわせることができないので、依頼者の方の了解を経て、はめ殺してしまうことになりました。

しかしいろいろ難点があるとはいえ、無駄なパーツの中にはカウンタック用のリアウイングが用意
されていたので、こちらはモデル車両にならって使用させて頂くのに便利なものでした。ボディは
オーバーフェンダーが再現されているものですが、別貼り用のオーバーフェンダーのパーツが
同梱されていたので、グレードによっては後付けが必要なボディもあり、その他のランナーは共通
で使用されているのでしょう。


↑ドアは閉め切ってしまいましたが、せっかくの機会なので製作途中に写真を撮っておきました。


↑内装は割とすっきりと再現されています。ご依頼者の愛車をモデルとしているので、実車と同
じ赤いカーペットを敷くなど実車に近づけるよう配慮しました。

***ボディの塗装***

今回の塗装は全てGSIクレオスMrカラーのエアブラシ吹きで行いました。塗料の溶き方は牛乳
より薄く、水より濃く(低脂肪乳くらいでしょうか?笑)という濃度で、下地からコートまで、全て2回
塗りを行いました。 塗る回数が多ければ多いほど埃がつく可能性も高いので、そのぶん慎重に
作業し、塗り終わればすぐにドライブースにいれるという作業を繰り返しました。


↑ランナーを外し、バリ取りを済ませた車体です。かなりの大きさで塗装の際には実車の
板金作業を行うような楽しさがあります。大きい割りにボディに関しては反りやヒケがあまり
ありませんでした。


↑ここからは携帯で撮影した写真なので小さくてわかりにくいですが、これはサフを吹いた
状態です。ダクトとフィンが多い車なので細部まで行き渡らせるにはスプレー塗装では役不
足です。エアブラシを持っていると何かと便利ですよね。


↑一工程写真に取り忘れたのですが、サフのあとにうっすらとベースホワイトを吹いて明るい色
の下地としました。あまり厚く吹くと塗膜が厚くなりすぎるのであくまでうっすらと吹いてから、
次は赤の下地となるピンクを吹きました。 

赤の下地としてピンクサフを吹く方もおられますが、個人的には原色のピンクを使った発色が
好きなので、ここでも原色のピンクを下地として吹きました。これも塗膜が厚くなりすぎない程
度に薄めに2回吹きをしました。


↑ここでようやく赤を塗装します。使用したのはクレオスのモンザレッドです。フェラーリに指定の
色ですが、正直実車の塗装とは少し違うようです。(笑) カメラのレンズを介すると少し朱色が
かかってみえるのですが、実際にはもう少し落ち着いた色になっています。 この色味が画面
を介すると分かりにくいのが少し悔やまれます。


↑上の画像と変わりないように見えますが、その後クリアーを塗装しました。スーパーカーの
もともとの塗装にはほとんどクリアーが巻かれている例はないのですが、レストア車には施され
ることが多く、HIGH-GEARedが以前分けてもらったロッソコルサ300/12にもクリアーを吹くよう
指定がありました。 

見る角度によって微妙に色調が変化して美しく仕上がるのが特徴ですが、模型用のクリアー
は乾くのに時間がかかるのが難点です。 ドライブースに入れて半日待ったのですが、完全
に定着するまで丸3日程度かかりました。(レベリングシンナー使用にて)


↑グレー→白→ピンク→、赤→クリアーという5色のコートによる発色はこのような具合です。
目の良い人にはフロントフードの裏側のヒンジによるパネルの歪みが見えるかもしれません。


***シャシーの組み立て***

フジミが放つこの1/16シリーズは、実車に似せたパーツ構成が自慢のシリーズということで、
このカウンタックも実車と同じくシャシーとボディを分けることで、実車に近いパーツ構成とな
っていました。

実車がスペースフレームなのに対して模型はモノコック構造であることは仕方ないのですが、
これは実車に即した構成で取り付けられるようになっていて、この点は楽しめる部分でした。


↑トランスミッションは実車と同じようにセンタートンネル下を潜り、シフトレバーの位置に出て
くるよう、リアルなパーツ構成となっています。


↑サスペンションダンパーは前後ともコイルスプリングで再現され、タミヤ製のように可動こそ
しませんが、なかなかリアルな仕上がりです。 実車はリアダンパーが1輪につき2本掛けと
なっているのですが、その点もちゃんと再現済みです。


↑実車に即した構造といえば、このラジエーターなんかは細かくパーツ分けされ、コアはもち
ろん、ファンやガイド部分も別パーツとなっています。 まるで整備書のようですね。


↑ファンがモールドで一体化されたパーツなどと比べるとメリハリがあっていいですね。


↑シャーシがおよそカタチになってきたところです。エンジンとミッションもなかなかリアルに
再現されています。 マフラーはもちろんエキマニからタイコにかけて繋がる造形で、これも
パイプの一本一本にいたるまで忠実に再現されていました。 

プラグコードはビニールコードを適当な長さに切って使うようにとの指定で、ディスビからカム
カバーへ実物どおりの再現が可能です。


↑吸気系、制御系、いろいろな機器の機能美が楽しめます。このあたりだけアップにして
映せばF-1を作っているように見えるかもしれません。(笑)


***シャシーにボディを組み付ける***


↑ボディを被せればこのような状態になります。こうしてみると整備性はあまりよくなさそうです。

エンジンフードは開閉可能の機能を維持できたので、ヒンジをゴム系接着剤(黄色でネバネバ
した、いわゆるボンドというやつです)で固定し、開閉可能としました。 

ゴム系接着剤は糸を引くので嫌いという方も多いみたいですが、HIGH-GEARed的にはコツ
を掴めばコレほど便利で万能な接着剤はないと思います。 接着面に塗ったあと、10分から
15分くらい乾かしてから圧着する方法を使えば仮止めなしでも場所の調整が可能で初期接
着力も強力です。 また、はみ出した接着剤はつま楊枝などで巻き付けて取る事ができるの
で修正も簡単で、後々仮に外れることになってもプラを侵すことがないので簡単に修理が可能です


↑フロントフードは前述したとおり、ボディ側のヒンジがあるにも関わらず、シャシー用がなぜ
か用意されていなかったため、閉めたまま接着してしまいました。内部にはいちおう吸気ダクト
とバッテリー、テンパータイヤ、マスタシリンダーが再現されていました。 この吸気ダクトの取
り付け箇所の指定が説明書ではかなりいい加減だったので、これでいいのかわかりませんが
とりあえず入るように取り付けたものです。

また、今回撮影はしてなかったのですが、今回の組み立てにおいて最も苦労した部分はガラスの
取り付けでした。

と、言うのも、このキットのガラスパーツは「のりしろ」にあたる部分がまったくなく、ただはめ込
んでガラスの側面をモールに接着という実に強引なものだったからです。 

のりしろがない分、接着すれば100パーセント確実に接着した痕が完成後に残ってしまうもの
だったので、取り付けには随分苦労しました。

この場合、ゴム系接着剤は黄色い色がガラスに映ってしまう理由で結局使えず、クリアーパー
ツ用の接着剤も隙間がいっさいできない構造のため、使えませんでした。

結局、流し込みタイプのスチロール接着剤で固定したのですが、溶剤系の接着剤ですので
ガラスとホボディが接する部分の塗装が剥がれ、モールの周りが白くなってしまう結果となりま
した。 そのため、完成後にモールの周りをマスキングしてエナメルのブラックで再塗装し、これら
の塗装剥がれを隠すようにしました。


***総括***

今回は久しぶりのカーモデル、そして初めての大型の箱ボディとなりましたが、やはりいろいろ
と苦労する部分が多い製作になりました。フジミのキットの場合、パーツ単位のとらえかたや構
成などは悪くないのですが、いくぶん合いの悪さがスケールの大きさで更に悪化したようです。

しかし、完成した雰囲気はけしてわるくないもので、ボディに関してはあのアニバーサリーの複
雑な形状をよくぞ手際よく再現したものだと思わされました。

フジミは最近1/16シリーズを次々と再販し、市場に送り出してきているので、機会があればフ
ェラーリテスタロッサ、そしてF40などにも挑戦してみたいと思っています。 

ダイキャストミニカーがカーモデラーの人気を独占している昨今だけに、自分の手で満足のいく
作品を作る楽しみを改めて問いていきたいものです。







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