南極観測船 宗谷1/350 製作記

船の模型をこの角度から見るのって結構好きです。特に宗谷のような船橋構造の船は、
軍艦とは違って、後から見たときの複雑さと生活感が船の魅力を雄弁に語ってくれる
ようです。操舵室や通路、ラッタルを行き来する乗組員の姿が見えるようで楽しい気
持ちにさせられます。
1/350 南極観測船宗谷 第一南極観測隊 船体の製作

船体の製作が終わると、今度は細かな艤装品の製作に移りま
す。基本的には純正プラパーツに純正エッチングパーツを取
り付けていく方法でのディティールアップで、さして特別な
事をするわけではないのですが、宗谷の艤装は思いのほか複
雑で、できうる限り突起物を少なくしてシンプルに仕上げな
くてはいけなかった軍艦と比べて、細かな作業を要求される
部分が多々ありました。

マスト類が仕上がった状態です。宗谷キットではアンテナ線の一
部を最初から金属線で仕上げる指定がなされており、そのため
真鍮線がパーツのひとつとして付属していました。

これはビーバー機「さち風」を置く台です。ビーバー
機とは、フロートのついた水上セスナの事で、台も
フロートに合わせた形状になっています。なお、
飛行機の脚は、キットではフロートの他に、車輪と
ソリが選択できるようになっていました。(ソリの
場合は甲板上にはセット不可なため、単体展示とな
ります)

細かいパーツは割り箸などに貼り付けて塗装すると、
ランナー状態で塗装するのと比べてタッチアップの
手間も省け、美しく仕上がるのでオススメです。
この場合、両面テープを使って固定する方が多いと
思うのですが、塗装のあとに両面テープの糊を剥が
すのに苦労された経験のある方も多いのではないか?
と思います。
そんなときは、上の写真の様に両面テープの上にマス
キングテープを貼る方法をオススメします。 マスキ
ングテープは両面テープより粘着力が弱く、糊も残ら
ないので作業性が格段にアップします。

パーツをランナーから切り離した際には、パーツの番号が分からなくな
らないように、見えないところにメモを取っておく事をオススメします。

メモを取る場所がないパーツは、割り箸側に数字を記載しておけば安心
です。 なお、1/350宗谷の説明書にはパーツ番号の不備が多く、この
ボートダビッドの組み合わせも若干不明瞭に記載されているので、取り
付けの際にはしっかり仮組みを行い、どのパーツがどこに付くのか、
よく理解しておく必要があります。

手摺はエッチングパーツによるディティールア
ップ効果の大きい部分です。ハセガワの純正エ
ッチングパーツの特徴は、このように脚に「のり
しろ」状の部位が存在するところです。この
「のりしろ」を使用する場合、パーツはランナー
上に付いた状態で先に折り曲げておく方が作業
的にはスムーズにいきます。

操舵室直上に取り付けられた手摺の様子。この
「のりしろ」ですが、取り付け部分だけ甲板色が
変わってしまうところがデメリットです。気にな
る方は、タッチアップするか(強度は弱くなり
ますが)、切り離して使用する方がいいでしょう。

この部分は測距儀やコンパス、探照灯のディティールが
実に精密です。これらのパーツはほぼ全てグリーンとグ
レーまたはブラックのツートン塗装になるので、塗り分
け作業にかなりの時間をかけなければいけませんでした。
今回、宗谷を仕上げるにあたり、雑誌掲載の有名モデラー
の作例を5例見たのですが、このうち実に3例がこの部分の
塗りわけを省略しており、決められた期間内に完成させな
くてはいけないプロモデラーの悲哀を見た気がしました。(爆)
1/350南極観測船宗谷は、それだけ時間のかかるキットです。

船橋を上から見下ろすと、階段がたくさん連なっている様子が
良いですね。

側面から。短艇の船底の色指定は、説明書では宗谷専用カラー
の赤茶色が指定されていたのですが、宗谷の記録映画を見るに、
この部分はダークブルーではないか?との結論に至り、塗色を
変更しました。 このほかにも、資料に従って塗色を変更した
部分が多々あります。

今回は、HIGH-GEARed HOBBY WORKS!!の作例としては珍しく、
軽くスミ入れとウォッシングを施しました。細かいモールドを
際立たせる効果が出て、気に入っています。

ヘリコプター発着甲板は純正のエッチングパーツに含まれ
ているため、真鍮線と汎用ネットを組み合わせる手間が省
けました。

宗谷の記録映画を見たところ、支柱の部分はホワイト
とアラートオレンジのツートンに塗装されていたので、
模型でもこれを再現しました。ネットの部分はセール
カラーにフラットベースを加えた色を塗装しているの
で、合計三色で塗り分けたことになります。

塗り分けの際のマスキングは、ご覧のとおり凄まじい
ものです。(笑)多数ある雑誌作例にも、HIGH-GEARedの
確認したものに限っては、この部分をちゃんと塗り
分けている作品はひとつもなかったので、HIGH-GEARed仕様
のネットとして、お気に入りのポイントになりました。
(反面、たるみを再現してないあたりはマイナス点ですね)

これはヘリコプターのテールローターにかけてのトラス部分を
再現した純正エッチングパーツです。断面形状が四角から三角
に途中で変わる複雑な形状のもので、この難しいカタチをよく
エッチングパーツ化したものと、感心しました。

完成した航空機類と百円玉の大きさ比較です。ローターおよびプロペラは
エッチングパーツ使用が指摘されていましたが、強度的に不安だったので
プラパーツを使用しました。ヘリのローターはもう少ししなった状況を
再現すればリアルになったかもしれません。

キャノピーまわりを塗装する前のヘリコプターを、後部ヘリコプター
甲板に仮置きした段階での画像です。ヘリ格納庫は扉をナイフで切り
分け、開放状態を再現しました。

船首側に仮置きされた「さち風」。デカール貼り付け前の様子です。

最後にデカールを貼り、宗谷は完成となるのですが、デカール保
護のため、仕上げに艶消しコートをすることになりました。
今回使用した宗谷の専用塗料は、艶の深さも実物の塗料に合わ
せて調整されたもので、黒塗装もブラック、セミグロスブラック、
艶消しブラックと、用途に合わせて3種類を使い分けていたため、
艶を消してしまうとそれらの恩恵がムダになってしまうことにも
なるわけで、今回は艶消しコートを施すかどうかで随分悩んだのです
が、やはりデカールの劣化が心配なため、思い切って艶消しコー
トを施すことにしました。
使用するのはGSIクレオスの水性ホビーカラーです。この作業の
数日前には梅雨明けが宣言されたのですが、まだまだ湿度も高く、
白化してしまう恐れがあるので、白化しても水性シンナーの
薄吹きで解決可能な水性艶消しクリアーでコートすることにし
ました。

そうなると、大変なのは船橋窓のマスキングです。艶消しクリアーは透明
プラを曇らせてしまうので、また窓の大きさに切ったテープをチマチマと
貼り付けていきました。(笑)

ヘリのキャノピーは曲面なのでマスキングゾルでマスキングしました。

艶消しコートの終わった宗谷を台座にセットし、ケースを被せれば、めでたく1/350
南極観測船宗谷 第一次南極観測隊の完成です。 ケースおよび台座は、今回も
HIGH-GEARed HOBBY WORKS!!と協力関係にあるディスプレイケースメーカー、
『Wing&RailMdelsnet』様より提供して頂きました。 南極の海をイメージした、
白い木材を使用した高級感溢れる逸品です。
次回はいよいよ完成画像の掲載です。