1/200スケール 陽炎型駆逐艦
Nichimo製インジェクションキット













ニチモ 1/200

ニチモの1/200駆逐艦もキットの素性の良さと加工のしやすさから、このギャラリー
でもすっかりおなじみになりました。

今回はこれまでのディティールアップの方法を踏まえた上で鋼板継ぎ目の再現や
種類と再現方法の異なる2種類の手摺パーツをおりまぜるなどしてディティールを
より煮詰めて製作したのですが、この駆逐艦の模型がひょんなことから、特撮映画
監督として知られる林家しん平様の目に止まり、なんと映画の特撮に使用して
頂くことが決まりました。

映画名は『A-140F6 深海獣零号作戦』というもので、2005年の公開予定です。

監督曰く、「連合艦隊・切り込み隊長・駆逐艦」という役柄での出番
ということで、 どんな姿をスクリーンに映し出してくれるものか、製作者として
もとても楽しみでなりません♪

ちなみに同映画には軍艦模型作家として模型写真集も出版されておられる白井
〇昌先生のご作品(合計\15、000、000以上だとか)などもこの駆逐艦と一緒に出
演するそうです。

プラモ改造品とはいえ、同じ舞台に立つことがかない、僕も模型作家としてとても
光栄に思っています。

では、いつもどおり製作についての解説です。


今回は艦種、艦名を特定していないので、舷側の艦名表記もなしとしました。陽炎
型駆逐艦は、陽炎、不知火、黒潮、親潮、早潮、夏潮、初風、雪風、天津風、時津
風、浦風、磯風、浜風、谷風、野分、嵐、萩風、舞風、秋雲など多数あるので表記
がないほうが撮影でも役立つのかもしれません。(笑)

艦名は特定してはいませんが、時代設定は昭和18年ごろの姿としてあります。

キットはニチモの1/200キットをベースに、船体舷側の鋼板継ぎ目モールドを手作
業にて追加再現、艦橋を開口して窓枠を自作し、艦橋内部を覗けるようにしました。

手摺は、エッチングパーツと柱にテグスを通すタイプとの2種類の方法で場所に応
じての再現方法を使い分けて再現し、精密真鍮パーツやエッチングパーツ使用
にてタラップの追加、極細テグスによる空中線再現および、スクリューの金属パーツ
化などのディティールアップを施してあります。

また、飾り台にはチーク材の木製台座とブラス製の飾り足を使用して高級感を演出
しました。


***船体、スクリューなどののディティールアップ***

まず、船体ですが、バリとパーティングラインの目立つ船体をサンディングしたあと
軽くサフを吹いて形状を整え、鋼板継ぎ目の再現のために等間隔に切り出したマス
キングテープを貼り付けたあとにもう一度サフを吹き、マスキング面とのサフの段差
を作りました。


↑舷側鋼板継ぎ目の追加再現。縦の継ぎ目再現も行いました。

横方向の鋼板継ぎ目だけでなく、縦の継ぎ目も追加するため細切りのマスキング
テープを貼ってはサフを吹き、または貼り替えてはサフを吹きという作業を複数回
にわたって繰り返しました。


↑製作中の船体。サフ処理で鋼板継ぎ目を追加していく様子です

続いて側面の舷窓をピンバイスでさらいなおしてモールドのめりはりを強調して船体
の下地を完成させました。

船首の錨鎖は精密チェーンによる再現で、スクリューは真鍮製の社外パーツを使
用。もちろん左右でピッチの違うものを使い分けました。


↑真鍮製パーツに交換し、スピンナーカバーなども再現されたスクリュー


***艦橋、手摺などののディティールアップ***

艦橋は窓のモールドを切削加工し、真鍮線で窓枠を自作することで橋内部を覗ける
ように改造しました。艦橋内には羅針儀や双眼鏡、海図台などを再現してあります。

真鍮線を加工することで伝声管のディティールも追加しました。グレーチングはイエ
ローグリーン塗装です。


艦橋および前部マストのアップ。窓を開口したので室内が覗けます


製作中の艦橋の様子。艦橋の内部構造がお分かりいただけます

手摺の再現は柱にテグスを通すタイプの手摺を甲板全周に再現し、構造物上は
エッチングパーツを使用することで、実艦の写真のようにたるんだ手摺とたるんで
ない手摺とを区別しました。


↑船体中央部。甲板外周と構造物上の手摺の構造の違いを区別しました。

また、上記画像のように、ボートダビッドのクライプバンドや装備品も自作しました。


***機銃、空中線などのディティールアップ***

25mm機銃も中央部の3連装機銃、艦橋前の連装機銃ともに精密真鍮鋳造パーツ
に交換し、銃座と銃身で2種類のメタリック色を塗りワケました。


真鍮パーツに交換された25mm機銃および機銃スポンソン、タラップなどの様子


船尾、爆雷投下機などの様子


右舷中央部に配置した運搬レール上の魚雷

空中線の再現には今回は0、6号釣り糸(太さ0、128mm)を着色して使用しました。

取りつけは全て瞬間接着剤によるものです。


後部構造物および後部マストの様子

空中線支柱は一部真鍮線で自作しました。

また、空中線の一部にはガイシの再現として白塗装を施してあります。

第一、第三主砲塔上には空中線支柱を真鍮線で自作しました。


第一主砲上に自作した空中線支柱


***塗装について***

船体の塗装はすべてエアブラシ等を使用した吹き付けによるもので、軍艦色の下字
に船底色を使い、サビ止め塗料色の下地を作ったのですが、その下に更にそのサビ
止め塗料色の発色を際立たせるためにベースホワイトによる白立ち上げを施した
3層塗装です。

1/700などのスケールではモールドのメリハリが際立つような明るい下地の塗装をす
る必要があるのですが、1/200のような大型モデルの場合はこのような重厚な下地の
ほうが重量感をだすのに向いていると考えての下地塗装です。

船体および船底の塗装に使用した塗料はGSIクレオスの軍艦色および艦底色で
甲板にはクレオス艦船用塗料セットのリノリウム専用色を使用して考証に近い色調
で再現しました。最後の仕上げに船体全体に質感統一のために艶消しのクリアー
コートを施してあります。 


***台座について***

台座はキットのプラ製のものは使わずに、今回はチークを加工したものに穴あけ
加工などを施して使用しました。

全体をサンディングしたあとに艶消しクリアーを吹き付けました。

また、船体を固定する台座は小西製作所のブラス製のもので、ネジ固定で安定
させてあります。(台から船体を取り外すことはできません)


↑全体像、全長は63cmで比較的大型のモデルです。







**総括**

今回の作例は映画特撮に使用される模型ではあるのですが、それはこの模型を作る
前から決まっていたことではないので、(撮影には必要のない)台座やスクリューにも
ディティールアップを施すこととなったのですが、特撮に使用後も見える部分のディテ
ィールアップも新しく施した部分に効果の大きいものが多かったと思います。

特にチェーンタイプの手摺はこれまで真鍮鋳造品のパーツしかなく、あまりに高価で
使用にしぶるものでしたが、小西製作所からエッチング技術で成型されたものが安価
でリリースされたので実に助かりました。 

1/300戦艦三笠製作の際に痛感したのですが、1/300以上のスケールモデルの場合は
手摺はやはり板状ではなく立体的に再現されたものが最適です。 

映画は2005年に公開予定のものですが、幼い頃から戦争特撮などを観続けてきた自
分にとって、まさか自分の作った模型が映画に出演することになるなどとはとても考え
もできないことでした。スタッフロールには僕の名前も掲載されるということなので、自分
のことながら、とても楽しみにしています。
 




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