1/700スケール 航空母艦 赤城 
HASEGAWA製 インジェクションキット













ハセガワ インジェクションキット1/700

HIGH-GEARed's HOBBY WORKS!!の1/700洋上艦船模型のギャラリーは、2007年の
青葉から2009年の蒼龍までおよそ2年のブランクがあり、その間は主に明治の
艦艇をメインに製作を進めていたこともあって、ブランク中にリリースされた
キットについてはほとんどノータッチの状態が続いてました。

しかし、10月の蒼龍の製作を機会に、このノータッチ期間のキットの製作に非
常に強い興味を持つことになり、1/700扶桑の製作につながりました。

前回は作りなれた飛龍を製作しましたが、今回は再びノータッチキットの大物、
空母赤城の三段甲板の製作に挑戦しました。

太平洋戦争時の活躍で知られる全通甲板の赤城が大改装を受ける前の姿で、
発艦と着艦を同時に行える三段式飛行甲板を持つ非常にユニークな艦容です。


キットはハセガワから2008年にリリースされたもので、このキットをベースに
各種ディティールアップパーツを追加しました。

今回ディティールアップに使用したパーツは

ハセガワ 72749 航空母艦 赤城 三段甲板ディティールアップパーツA
ハセガワ 72750 航空母艦 赤城 三段甲板ディティールアップパーツB
ハセガワ 72124 航空母艦 赤城 三段甲板用木製甲板
ゴールドメダルPE18プロペラ/脚パーツ
ゴールドメダルPE14「1/700 日本海軍 空母用」
ライオンロア LE700002 IJN Vessels Guard Rails
ジョーワールド JPE29G 精密窓枠 Ver.C
FUKUYA 700-08 日本海軍重巡用20cm砲身
タミヤ ITEM89673 情景海面プレートA
タミヤ ITEM73017 ディスプレイケースM(木製台座)

がメインです。

その他、飛行甲板支柱の筋交いの一部や舷灯を自作しました。

艦載機は最上段の発着甲板に十三式艦上攻撃機を5機、下段の発甲板に
九〇式艦上戦闘機を4機搭載し、発着艦の訓練中の情景をイメージしました。



↑ハセガワ1/700赤城 全景

**実艦について**

赤城は当初、日露戦争時代の艦をすべて作りなおす八八艦隊整備計画の一
環として天城型巡洋戦艦4隻のうちの1隻としての建造が進められていたのです
が、ワシントン軍縮条約により、日本海軍の戦艦保有数に制限がかけられ、空
母に改装され、日本海軍では初の空母、鳳翔に次ぐ二隻目の本格的航空母
艦として完成しました。

空母として完成した直後は世界でも他に類を見ない発艦、着艦が同時に行え
るように工夫された三段甲板式航空母艦で兵装も、機銃、高角砲以外に、20
cm砲10門と中型巡洋艦並みの攻撃力を持った珍しいものでした。

しかし、この三段空母は航空機の性能が上がるにつれ、より長い飛行甲板を使
用する必要があるため後に廃止され、長さ250m、幅30mの広大な一枚甲板に変
更する大改装が行われました。改装の後は第一航空艦隊の旗艦に就役し、南
雲忠一提督指揮のもとに、真珠湾奇襲作戦で大勝利をおさめ、世界最強の
空母、機動部隊と世界にその名を知らしめました。

しかし、ミッドウェー海戦において甲板上で兵装転換のさなか、米エンタープラ
イズ機の攻撃により、2発の爆弾が命中。発進準備中の航空機やその爆弾へ
の誘爆をおこして大火災に見まわれ第4駆逐艦隊の魚雷により沈没処分されました。


今回の作品は、三段甲板式航空母艦であった初期の姿で、飛行甲板上に仮
艦橋を設置する以前の昭和2〜9年頃の姿を再現しています。

余談ですが、この時代の赤城は三代目艦長として山本五十六大佐が着任した
ときの姿でもあります。



↑ハセガワ1/700赤城 三段甲板、右舷から1



↑ハセガワ1/700赤城 三段甲板、右舷から2



↑ハセガワ1/700赤城 三段甲板、左舷から1



↑ハセガワ1/700赤城 三段甲板、左舷から2


**船体各部のディティール**


↑発甲板付近の様子。木甲板はハセガワの木製甲板を使用しているので本物の木製です。
白線その他のマーキングの再現は付属のドライデカールで行いました。 艦載機は九〇式
艦上戦闘機を4機搭載しました。20cm連装砲の砲身にはフクヤの重巡用真鍮挽き物砲身を
使用し、艦橋窓枠は純正モールドを切削してジョーワールドの精密窓枠Ver.Cを使用しました。



↑船体左舷後部と十三式艦上攻撃機の様子。艦載機のプロペラは、ゴールドメダル
社製エッチングパーツの4枚翼をカットして2枚翼に改造して取り付けました。支柱
はハセガワの純正パーツ2種を使用しました。

ハセガワ純正の三段甲板用のエッチングパーツはAとBの2種類がリリースされてますが、
この2種類には明確な使い分けはないので片方だけ購入して使用すると仕上がりのバ
ランスがかなり悪くなってしまいます。ですのでこれから製作される方は多少高額
にはなりますが2種類を購入されることをオススメします。



↑船体後部右舷側。後部支柱の筋交いは真鍮線による自作です。また、舷側通路に装備
された手すりは今回はライオンロア製LE700002を使用しました。飛行機救助網はゴールド
メダルの日本海軍空母用エッチングパーツです。



↑甲板はハセガワの木製甲板を使用し、遮風柵は立てた状態でセットしました。
煙突下部は汚し塗装を多めに施し、カッターにはオールを置いてあります。



↑空母「赤城 三段甲板」右舷後部からの様子です。改装後と比較して後部
には開放部分が多く、非常にメカニカルな姿をしています。


**塗装について**

タッチアップ部分を除いて、塗装はほぼ全てエアブラシ塗装です。 

サーフェーサーで下地を整えた後、船体外舷色はGSIクレオス艦艇色セット
の「SCJ01呉海軍工廠色」を塗装し、考証に基づいた塗色を再現しました。


リノリウム塗装は同じくGSIクレオス艦艇色セットの「SC06リノリウム色」
を使用しています。


汚し塗装は主にエナメル塗料によるウォッシングとドライブラシ、ウェザリングマスター
の筆塗りと擦り付けによるものです。 最後に艶消しクリアーで表面を保護すると同時に
質感を整えました。


**その他**

今回、ケースはタミヤのディスプレイケースMを使用しました。定価\6600と、このサイズの
ケースにしては比較的高価なものですが、成型モノのクリアケースではなく、透明感に優れ
るアクリル加工品のケースと、重量感のあるMDF製の塗装済み台座が付き、高級感のある仕上
がりです。サイズは長さ430mm、奥行115mm、高さ135mm(各外寸)

海面ジオラマはタミヤの情景海面プレートAに航行波を自作し、リキテックスで着色したもの
です。 プレートは船体とケースにボルトで共締めしてあるので、ボルトを外せば取り外し
可能です。



↑作品はタミヤのアクリルケースに収納。埃の付着の心配なしです。




**総括**

空母赤城はHIGH-GEARed's HOBBY WORKS!!でも特に製作数の多い艦ですが、三段甲板の姿は
初登場になります。

この形状の赤城には以前からとても興味があって、ピットロードのハイモールドシリーズ
でリリースされているのをみて、「いつかは三段甲板の赤城を作りたい!」と長年思い続
けたものです。

そもそもハイモールドシリーズはウォーターラインシリーズのラインナップやリニューアル
の穴を埋めるマニアックな艦艇をレジンでモデル化するシリーズ。こんなマニアックな三段
甲板仕様は、まず一般的なキット形体でのリリースはありえないと考えていました。

そんな三段甲板の赤城がインジェクションキット化されるだなんて、誰が想像したことで
しょう? しかも、発表は近年精密艦船模型の技術をめきめきと向上させている、あのハセ
ガワです。

1/700、1/450、1/350と、赤城の製品化に人一倍こだわりの強いハセガワだけに、キットの
完成度は期待通りというか、期待以上でした。

とくに船首部分のパーツ分割は一見複雑でありながら、スナップフィットのようにパチパチ
を組みあがり、まさに「神がかっている」という表現がピッタリでした。

木製甲板は少々高価ですが、、さすがはメーカー開発だけあってフィッティングも良く、
ドライデカールの導入も作業性向上に一役買ってくれました。

1/700艦船模型の人気の主力が、太平洋戦時の艦艇であることには疑いようがありませんが、
このようないわゆるネイバルホリデー時代の艦船の登場は、連合艦隊華やかなりし時代が
好きなHIGH-GEARedには大変喜ばしいことです。 

同じく三段甲板時代の加賀や、屈曲煙突の長門型戦艦を並べて在りし日の観艦式の情景など
を再現できればおもしろそうです。





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