ハセガワ 1/350戦艦三笠
ハセガワ 1/350
この三笠は、艦船模型製作代行のご依頼にて製作したものです。
今回はお客様の強いご希望により、『フルハルモデルの船底を残した状態での洋上モデル』という、当工房では初となる極めて珍しい作風での完成となりました。(吃水線下の構造および工程につきましては後述しますので、興味をお持ちの方はご覧ください)
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ハセガワ1/350戦艦『三笠』、左舷後部よりの全景。舷梯左舷部にはお客様のご希望により水雷艇を接舷させ、御指定いただいた水密扉の開口なども行いました。
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低いアングルで見る『三笠』の姿は洋上モデルそのものですが、実際には船底を残しているため、吃水線下後部にはスクリューの煌めきを見る事ができます。
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ディティールアップに使用したパーツはお客様よりお持ち込み頂いた、ハセガワの『三笠ディティールアップパーツ ”ベーシック”』と『三笠ディティールアップパーツ ”スーパー”』、ライオンロアの『RS3510 1/350 日本海軍 戦艦 三笠用 ディテールアップパーツセット リニューアル版』、エデュアルドの『EDU53012 1/350 三笠 エッチング 』の4種です。
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船首の様子。左舷の主錨はお客様のご希望で降ろした状態とし、ハセガワのエッチングパーツに付属している乗組員フィギュアを配置しました。 乗組員の配置は『戦闘配置ではなく、日常の雰囲気で』という御指定を頂いたので、ほどよい密度に調整しました。
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右舷の主錨はアンカーベッドに固定しています。艦橋やマスト、砲身など、どの部分にどのメーカーのパーツを使用するのかについてはお客様より細かいご指示がありましたので、ご要望に従って忠実に仕上げました。
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1/350戦艦『三笠』。船体中央部の煙突および甲板付近の様子。速射砲甲板は短艇が覆い隠してしまって完成後にはあまり見えないのですが、前ド級艦特有の構造美のある場所ですので丹念に仕上げました。(副砲身はライオンロア、キャットウォークと砲口の扉にはハセガワのパーツ、キセル型通風塔のカバーにはエデュアルド製のパーツなどを使用しています)
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船尾周り。写真には写っておりませんが、お客様のご希望で左舷のスターンギャラリーの扉を開口し、東郷平八郎司令長官をイメージした士官フィギュアを立たせました。(後部甲板中央付近の長官専用昇降口も開口し、扉を上げた状態としました) なお旭日旗は、停泊中は船尾旗竿のみに掲げられる決まりですので、メインマストの旗は省略しています。
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空中線の取り回しは黒背景だと見えづらいので、白背景での撮影を行いました。三笠は張り線の本数が非常に多く、(例えば煙突一本につき12本もの支索の取り付けが必要になりますが)そ作業量も多くなりがちですが、その分完成した時の見栄えは大変美しいものです。
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今回はお客様より多くの製作指示を頂き、冊子にまとめた要望書を多数ご送付いただきました。
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その中で特に大きな挑戦となったのが、この写真でご紹介している硬質アクリル製の海面ボードを使用した『海面および海中の表現』です。 フルハルモデルの船底を残したまま洋上モデルとして仕上げるためには海面ボードを船体の平面形に合わせて切り抜き、吃水線の高さを現物合わせて慎重に調整する必要があるため、今回の製作ではこの作業に労力の大半を費やすことになりました。
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海面ボードの厚さ3ミリもあるので切り抜きは少々苦労しました。断面は切りっぱなしでは見栄えが良くないので丁寧に磨きあげて透明感のある仕上げとしています。
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クリアーブルーのアクリル板を介して見る海底の錨とスクリュープロペラの様子。当初の予定では、主錨の下には岩に見立てたモジュールを配置する予定でしたが、座礁しかねない浅さとなってしまうため お客様とご相談の上で省略を行いました。
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**総括**
今回の戦艦『三笠』では、これまでの艦船模型製作の中でも未経験だった新たな表現をさせていただき、個人的にも大変ためになる経験をさせていただきました。
完成まで長くお待たせすることになりましたが、当工房を信用して長くお待ちいただきましたお客様にはこの場を借りて、心より感謝を申し上げます。
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