1/24 三菱パジェロ 92パリ〜ル・カップ優勝車
三菱パジェロ ラリーレイドプロトタイプ92 ユベール・オリオール
2009年の奈良模型愛好会第二回展示会に向けて。HIGH-GEARedはカーモデル製作を二
台担当しました。一台は前回更新時に掲載したティレル019、そして今回は日本のク
ロスカントリーマシンを代表する三菱パジェロです。
このパジェロは1992年の「パリ〜ル・カップラリー(第15回パリ〜ダカールラリー)」
優勝マシンで、この年、史上初めて二輪、四輪両部門制覇を成し遂げたフランスのユ
ベール・オリオール、ドイツ人アーウィン・ウェーバー、そして日本代表とも言える
篠塚健次郎でワンツースリーフィニッシュを飾った伝説の名車です。
このマシンは名前こそパジェロですが、それまでの市販車をベースとしたプロトタイ
プではなく、当時クロスカントリーラリーレイドにおいて、三菱チームのライバルと
して君臨していたプジョー&シトロエン打倒に焦点を絞ったニュープロトタイプカー
と呼ばれる車両で、スタイルからメカニズムまで全く別物のスペシャルマシンに仕上
げられているものです。
シャシーはマルチチューブラーフレームにカーボンケブラー製のボディを被せる車体
構成、エンジン出力は370馬力を発揮し、砂漠を最高時速220キロで走ってしまうとい
う、恐ろしいスペックをもったモンスターマシンです(笑)
このスペックでパジェロを名乗るだけでも反則(販促?)のような気がしますが、ラ
イバルのプジョー405T16やシトロエンZXラリーは市販車がセダンタイプにも関わら
ずミッドシップ4WDというメカニズムを採用していたので、それと比べると、フロン
トエンジンのパジェロ(フロントミッドシップですが)はまだマシと言えるのかな?
という気もします(爆)
いずれにしても、パジェロもシトロエンも翌93年以降はさらにワイド化、ホイールの
大径化、エンジンの出力アップが計られてバギー化したフォルムに変化していくので、
92年のパジェロは比較的市販車の面影を保っているといえるのかもしれません。
で、話題はそれましたが、キットはタミヤ製の1/24キットで、たしか1999年か2000年
くらいに絶版になったものです。 ヤフオクで落札して入手したのですが、古いキッ
トにも関わらず、実物の車体構成をほぼそのまま再現したパーツ構成、完成したら見
えなくなるエンジン下部やミッション、ドライブトレーンなどが驚くほど精密に再現
されていて、部品を見るだけでも圧倒されるレベルのものでした。
パーツの再現度があまりに高いので、組み立て前にパーツ状態での塗り分けを済ませ、
並べて写真を撮ってみました。
かなりのパーツ数ですが、これでも全部ではなくて、室内のバルクヘッドやフロント
のフレームの一部とクリアーパーツは写っていません。
↑この画像はシャシーと室内パーツを別々に写した状態です。黄色い塗装を行ってい
る部分は、実車ではカーボンケブラーで成型されている部分です。 カーボンケブラ
ーの色は、タミヤの説明書どおりの調合比で色を混ぜると、似ても似つかない色にな
ったので、自分なりのイメージで調色しました。 当時のビデオを見るともう少し
暗い色調ですが、模型的にはこれでよかったかな?と思ってます(本当は全面にカー
ボンケブラーデカールを貼るのが最強なのでしょうが、そうなるとボディ裏面も全面
デカール貼りになってしまいますw)
↑この画像はシャシーと室内を接着した状態。知らない人から見れば、これがパジェ
ロだと分かる人は少ないでしょう(笑)
ボディはデカールの劣化が少々気になりますが、非常にカラフルなマシンなので、完
成さえさせてしまえば細かい部分はあまり気にならないような気がします。
手間のかかるキットではあるのですが、実車の構造をこのスケールでここまで再現し、
なおかつ部品の合いは完ぺきで、どうしてこんないいキットが絶版になってしまう
のか?と思うくらいの素晴らしい名キットだと思いました。
↑精密に再現されたエンジンルーム
↑スペアタイヤはキットではプラ製タイヤだったのでゴムタイヤに交換しました。
(実車はこのスペースにスペアタイヤを3本収納できたようです)
**総括**
キットのモデルとなった92年型のプロトタイプパジェロの211号車は、フランス人ラリ
ーストのユベール・オリオールのマシンです。
オリオールと言えば、三菱にプロトタイプカーとして初の優勝をもたらしてくれた選手
として記憶に残っておりますが、翌年すぐにライバルのシトロエンチームに移籍してし
まったのが、個人的にはちょっと印象がよくなかったりします(笑)
しかし、フランス人として、フランスのチームで勝ちたいという気持は立派ですし、実
力と経験を備えた素晴らしい選手だと思います(現在はダカールラリーの競技委員長か
何かをしているはずです)。
ちなみにオリオールはこの時点でパリ〜ダカールラリー第一回大会からフル出場してい
る唯一の選手で、過去に二輪部門でも優勝、事故で両足骨折の重傷を負った後は四輪に
転向し、何年かはバギーで出場した後、三菱チームで出場。
92年パリ〜ルカップにおいては、序盤トップ走行中のチームメイトのブルーノ・サビー
(93年優勝者)が砂漠のギャップに落ちて脱落した後トップに立ち、その後はゴールま
でトップの座を守り抜きました。
このとき2位は同じく三菱のウェーバー、3位もパジェロの篠塚健次郎(97年優勝者)と、
華々しいワンツースリーフィニッシュを達成しました。
個人的には篠塚選手のパジェロを作りたかったのですが、シチズンチームのデカールは
残念ながら外品では見つけることができませんでした。
代わりにサビーのロスマンズチームのデカールがミュージアムコレクションというとこ
ろで見つかったのですが、在庫切れで再販の予定なしとのことであきらめました。
予定通りニコンチームのオリオール仕様で仕上げたのですが、このカラーリングって、
いかにも日本のチームという気がして応援し甲斐があったなぁと思います。
ジャンルもメーカーも違いますが、ST165セリカGT-FOURを走らせていたWRCのトヨタチー
ムも、これに似たカラーリングでした。
マシン的にもキット的にもたくさんの面白さが詰まったキットだけに、前回の製作日記
にも書いたように、絶版であることがなんだかもったいないなと思わせられました。
当時、中学生だったHIGH-GEARedが、毎日ハラハラドキドキしながらテレビを通じて応
援していた三菱パジェロ。
キットの現役時は、ちょうど模型から離れていた期間に入り込んでしまってましたが、
20年近く経って、このパジェロが立体化して目の前にあることを、とてもうれしく思います。
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