F-1 1/20 タイレル(ティレル・Tyrell)P34 シックスホイーラー






1977年モナコGP カーNO4 パトリック・ドゥパイエ仕様

1976年にデビューした有名なティレルの6輪車、P34のTAMIYA製1/20スケールキット
です。以前からリリースされていた1976年のモデルではなく、新たにリリースされ
たこのキットはロニー・ピーターソンが加入した1977年当時のナショナル銀行のス
ポンサードを受けた時のカラーリングを再現しているほか、前年度よりモディファ
イされたロールバーやコクピットカウルまわり、そしてモナコGP時に使用されたダ
ウンフォース確保のための大型ウイングなどがリニューアルされています。

キットはもともとTAMIYAの名作と言われたキットだけあってリリースから25年を経
た現在でも最新キットに全く引けを取らない見事なものです。ミッション側に装備
されたリアディスクブレーキ、フロントの4輪の荷重を均一にスタビライザーに伝え
るために工夫されたスタビリンクなどが完璧に再現されているので組みたてていく
中で実車のメカニズムを学んだり、一流エンジニアになった気分さえ味わうことが
できてしまいます。

ps:ちなみにTyrellチームは1977年日本GP当時、マシンに表記されるチーム名やドラ
イバー名を『たいれる』『でぱいえ』などをひらがなで表記したためキット名も『
タイレル』になっています。後からリリースされたTyrell020のキット以降では『テ
ィレル』に読み方を変更されています。



↑ある意味、4輪操舵と言ってもいいメカニズムなんでしょうかね?(笑)


また、プラグコードやラジエーターホースの再現用にビニールパイプがパーツとし
て同梱されており、これを自由にカットしてあらゆるパイピングの再現に役立てる
ことができます。

今回はモナコGP当時のP・ドゥパイエのカーナンバー4番のマシンとして製作しまし
た。塗装はすべてのパーツにホワイトサフの下地を作ったあと、ボディカウル以外
はすべてTAMIYAエナメルカラーのエアブラシ吹きです。

キットは90年代のF-1マシンのキットと比較して、とにかく部品数が多いです。し
かし当時のマシンはほとんどハーフカウルだったため、カウルをはめてもエンジン
や補機類が露出しているため、手を抜くポイントが全くないのでその分つくり応え
は充分です。

また、P34をはじめとして当時のF-1マシンは、現在のマシンのようにエンジンや
ミッション部分までモノコックが作られていないため、コクピットより後は事実上
パイプフレームになっており、組み上げ中の左右バランス、車高のバランス、アラ
イメントなどに気を配る必要があります。


↑コクピットカウルおよびシートは取り外し可能。完成後もコクピット内のフレーム
ワークやアルミモノコック、シート下の消火器などのディティールが見れます。

←これがフルカウル状態

そして、エンジン、ミッション等の金属色が求められるパーツには、全てサフの上
からTAMIYAエナメルのフラットアルミを吹きつけ、素材感を出しています。このエ
ナメル系カラーはその原料の性質上、ラッカー系やアクリル系より金属色の光沢を
出すのに適しています。つまり、オイルクーラーやラジエーターなどの仕上げには
セミグロスブラックを使用するのですが、下地にアルミの色があることによって、
パーツそのものを金属的に見せることができるわけです。

今回、ディティールアップした部分は少ないのですが、ロールバーやスタビライザ
ーなどのパーツにはもともとシルバーメッキが施されており、ピカピカして実感に
欠けるのでこれらメッキを漂白剤で落とし、エナメル系クロームシルバーの吹きつ
けで塗装しなおしてあります。また、タイヤのトレッド面は耐水サンドペーパーで
磨きこむことによって艶を落としてユーズドタイヤの質感を出しました。


↑全体にアルミ地を作った上で艶有、半艶、艶消の塗料を使い分けます。エンジン
およびミッションケースに使う塗料だけでも8色必要になるので塗り分けに苦労します。


ボディカウルはTAMIYAの専用スプレーラッカーを使用。これはホワイトサフの上か
らマニュアル通りの重ね塗りです。塗料を乾かし、3Mのコンパウンドで平滑を出す
ために磨きこみ、デカールを貼りつけて(コクピットカウルのナショナル銀行はナ
イフでカットする必要あり)クリアーコートを重ね塗りし、乾いたら再びコンパウ
ンドで塗膜を整えて、カルナバワックスで仕上げです。



ピーターソンとドゥパイエ、悲しい事故によって他界してしまった二人の名ドライ
バー。そして彼らの活躍を後押しした名伯楽ケン・ティレルももうこの世にはいま
せん。これが、50年以上に及ぶF-1の歴史に偉大な足跡を遺した彼らが見たP34のコ
クピットから見た視点です。

F-1が現在のようなビッグビジネスではなく、人間どおしが技術とテクノロジーを競
い合うスポーツだった時代、命がけでモータースポーツの世界に身を投じ活躍した
彼らに尊敬の想いを込め、このP34のレポートを掲載しました。





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