1/700スケール 航空母艦 隼鷹 昭和18年
TAMIYA製 インジェクションキット











タミヤ 1/700

ウォーターラインシリーズをはじめとして、数ある1/700洋上艦船模型のシリーズの中でも
傑作と誉れ高いタミヤの隼鷹は2004年5月以来、今回が2回目です。

前回は、いわゆる対潜迷彩が施された晩年の姿を再現しましたが、今回は昭和18年とい
う年代設定にて製作しました。

そのため、手持ちの隼鷹の資料をあたってみたのですが、残念ながら昭和18年当時の
艤装をはっきりと証明できるものはなく、昭和17年の竣工時と昭和19年〜20年にかけて
の改装後の写真を数枚と、側面迷彩塗装と対空装備の平面図のみを見つけることがでbr きました。

隼鷹は竣工時と最終時では塗装や対空装備の装備状況が違い、一度大規模な改装が行
われているはずですが、その時期に関する資料がなく、少しはっきりとしない部分があった
ため、いくらか推測に頼りながらの製作になりました。

想像するに、昭和19年のマリアナ沖海戦などを見るに、当時まだ日本航空母艦の船体色
はグレー塗装のようでしたから、昭和18年当時は大戦末期のようなグリーン系の迷彩色
の塗装はまだ施されていなかったと考えます。

対空装備の増備は既に行われていた可能性も考えられますが、噴進砲の装備は昭和1
8年当時は未装備であったことが考えられます。

これからの材料から、キットをベースに噴進砲を撤去、船体をグレー塗装で仕上げること
になりました。 

艦上機の搭載機数のみは、戦闘詳報からの情報提供があり、零戦19機、97艦攻10機、
99艦爆7機と、正確な資料に基づいて甲板上に配置することができました。


使用したディティールアップパーツは、ゴールドメダルの日本空母用エッチングパーツ
の他に、ジョーワールドの窓枠、フラグシップの精密チェーンに加え、今回は大戦後期
空母のディティールアップにいろいろ使えるエデュアルドの信濃用を採用しました。遮
風柵や角材で作られた高角砲足場などが隼鷹に合ったサイズですので使い道豊富です。
また、高角砲は観測室下部を切り取って実物に似せた形状に加工し、真鍮線で射界制
限枠を自作しました。


飛行機救助網は汎用メッシュエッチングパーツによるものです。当サイトの1/700空母の
中では、かなりディティールを煮詰めたものになりました。素材がいいだけに、ディティー
ルアップ映えするキットです。


ご覧のように、噴進砲は撤去しました。飛行甲板と一体でモールドされているため、切り
取ってヤスリで仕上げました。高角砲の足場のディティールは大戦後期の空母の写真
で確認されているもので、最近では1/350大和でもプラ材を使って自作することが多くな
りました。

***総括***

今回は資料の全くない年代の製作とあって、推測も交えながらの製作になりました。以前
には夕張の5500トン案(球磨キット流用)や、ドイツH級戦艦など架空艦の製作(WWS片面取り
レジンキット使用)も数回あり、資料のない船を作ることも初めてではないのですが、やはり
資料優先の艦船模型界にあっては「ホントにこれでいいの???」という不安もないといえ
ばうそになります。

しかし、そんなことを言ったら大和の姿なんて未だに推測の域を出ていないものですし、
資料にこだわりすぎるのも逆に模型の楽しみを損なうものですから、本人の思ったバランス
でやれればそれでいいのかもしれません。

しかし今回は、実際に隼鷹に乗艦され、戦死された方のご親戚からの御依頼を受けて製作
したものでしたので、自分が思うようにというわけにはいきませんでした。しかし製作の際、
こちらの推測した姿で納得していただけて幸いでした。

最近は実際に海軍軍艦に乗艦されていた方、または乗艦されていた方のご子息など、いろ
いろな方からメールを頂くようになり、たくさんの貴重なお話を聞かせていただく機会が増え
ました。

戦争は過去のことではありますが、HIGH-GEARedのように戦争を知らない世代の人間に
は、こうした話を聞くことで、戦争が過去のものとはいえ、まだまだ人々の記憶の中に生生
しく残る、ごく最近のことであることを実感させられます。





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