ローラT89/50 89全日本F3000 チームノバ 中谷明彦










モデラーズ 1/24 

奈良模型愛好会第三回展示会におきましては、小テーマ「英国の名車」に合わせてカーモデルを3台を製作したのですが、今回ご紹介するのは、前回に製作したフォーミュラカーである、インディーカーのT88と同じローラのフォーミュラカーで1989年仕様のF3000用のシャシー、T89/50です。

当時、全日本F3000においてはローラの他に、レイナードやマーチのシャシーも参加していましたが、ローラシャシーは多数派を占めていたため、キット(モデラーズ製1/24)も星野選手のキャビンインパル(キャビンローラ)や、小河等選手のオートビューレックモータースポーツ(ステラーローラ)などのバリエーションが、デカールや細部のパーツを換えたキットとしてリリースされていました。

今回製作したのは、当時F-3からのステップアップで注目を集めていた中谷明彦選手の乗る、ノバ・エンジニアリングの「マルボロローラ」です。 

中谷選手といえば、若いころから理論派ドライバーとして知られており、その知識と長いレース経験を生かして現在はモータージャーナリストとしても活動中です(ちなみに当時、ノバのF3000チームを率いていたのは、F-1解説でお馴染みの森脇基恭氏でした)が、F-1行きをあと少しのところで逃したこともあって「幻のF-1ドライバー」とも言われています。 

ちなみにマルボロカラーといえば、当時のモータスポーツ界ではマクラーレンやペンスキーのような、「そのカテゴリー最強チーム」が纏う定番カラーというイメージがあったので、初めて見るカテゴリーのレースでも、マルボロカラーのマシンがいると「なるほど、このカテゴリーではこのチームが速いのか」と納得させる力があったのですが、模型の世界ではモデラーによって解釈や塗装方法で使う色が大きく違ったりして、なかなか難しい素材です。

私はマルボロカラーは今回が初めてなので、クレオスの蛍光レッドとソリッドのレッドを調合するなどして好みの色を出したのですが、デカールのマルボロのロゴマークとの色調が全く合わなくなってしまったので、やむなくロゴマークも調合した色で塗装再現することになりました。(そのため、浅田飴のロゴのみ色が合わなくなりました・・・)

キットの完成度は良好で、サスペンションのアーム類は非常に細く、精度も良いので、リアセクションがむき出しになっている当時のローラシャシーの特徴も相まって、なかなかに模型映えするマシンに仕上がりました。





当時、国際F3000で大勢を占めていたレイナード製のシャシーは既にフルカウルでしたが、ローラ製シャシーは依然として、カムカバーとエキマニの一部が露出し、後付け感満点のインダクションポッドを持つ、メカニカルなスタイリングをしていました。 ちなみに、前年型のT88とT89では塗り分けの違う部分がいくつかあり、たとえばサイドミラーがT88が白なのに対し、T89はレッドだったりするので注意が必要です。

また、意外と知られていませんが、ローラT89は実はティレル019に先んじてハイノーズを採用したマシンで、フロントウイングの形状こそ従来型ではあるのですが、ノーズ下面がアンダーパネルより一段上がったところにセットされている点が興味深いです。シートベルトは、アクステオンのものを使用しました(当時の映像を見たのですが、ベルトの色は赤か黒か判断が付かず、結局黒にしました)。



これまで完成させてきた1/24のフォーミュラカーを並べた様子です。 右から89年仕様のF3000(全日本F3000ノバエンジニアリング中谷明彦)、88年仕様のインディーカー(STPグラナテリローラ Rゲレーロ)、90年仕様のF-1(ティレル019中嶋悟)です。

同じ1/24フォーミュラカーでも、活躍する舞台がバラバラ(日本、ヨーロッパ、アメリカ)で、なかなか興味深いスリーショットという気がしますが、3台ともイギリス製のマシンという点では共通です。(キットが3台とも絶版という点でも共通です)


**総括**


これはあくまで私個人の好みなのですが、フォーミュラカーはフルカウルよりも、ある程度メカニズムが露出したハーフカウル の方に昔から心をひかれています。

1989年といえば、F-1ではもちろん、F3000でもレイナードシャシーのようにフルカウルを導入するマシンが増え、「ハーフカウル=昔のマシン」というイメージが出来上がってきていたので、ローラのT89は見た目にかなりクラシカルなイメージを持つマシンでした。

しかし、前述のようにローラT89はいちはやくハイノーズを導入するなど、新たな技術にも挑戦しており、けして保守的な設計ではありません。

  このような「ハイテクとクラシカルなイメージ」の融合が好きで、昔からこのローラT89はいつか必ず作りたいな〜と思いつつ、なかなか製作どころかキットの入手にすら恵まれませんでした。 

きっかけは、2010年の静岡ホビーショーにてフリーマーケット購入を果たしたのが理由ですが、初めてのマルボロカラー挑戦、初めてのF3000挑戦など、展示会のテーマである「新たなる挑戦、新たなる旅立ち」にふさわしい作品に仕上がり、大変満足しています。




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