1/700スケール 航空母艦 赤城
HASEGAWA製インジェクションキット













長谷川製作所 1/700

瑞鳳に引き続いて航空母艦の製作、今回は名艦ではあるものの、
1/700にキット関しては少し時代を感じる作りになってしまった
赤城、1枚甲板時代です。

しかし、この赤城もギ装品のディティールではいささか不足がある
ものの、船体の形状は実艦の写真の雰囲気をとても良く再現してい
るので、細かい部分のディティールアップでかなり見栄えのするも
のとなりました。


パールハーバー真珠湾攻撃やミッドウェー海戦などで大変有名な
航空母艦赤城は、当初巡洋戦艦として建造されていたのですが、
大正10年に締結されたワシントン海軍軍縮会議において、主力艦
の建造が中止され、また空母・巡洋艦にも制限が課せられたこと
などの理由から、呉海軍工廠において航空母艦への改装が行われ
ました。



巡洋戦艦→航空母艦改装直後の飛行甲板は世界中の空母史上例の
ない3段式のものでしたが、1935年〜1938年に佐世保工廠で行われ
た近代化改装において、高性能機の発艦が可能な1段甲板に改装さ
れ、性能を一新して第一線級戦列空母に生まれ変わりました。

昭和16年12月8日の日米開戦の日、赤城はハワイ作戦における機
動部隊旗艦として、南雲提督指揮のもと真珠湾攻撃に参加、赤城
を含む6隻の航空母艦から発艦した淵田少佐以下の艦上機はハワイ
真珠湾パールハーバー軍港の奇襲に成功、有名な映画『パールハ
ーバー』や『トラ・トラ・トラ』でも描かれた奇襲攻撃によって
戦艦「オクラホマ」「アリゾナ」「カリフォルニア」「ウエスト
・バージニア」を撃沈、航空機248機に損害を与えるなどの大戦果
を上げました。

引き続き、ラバウル、ポートダーウィン、チャラチャップなどの
港湾空襲などの攻撃に従事し、インド洋における英艦隊攻撃など
初戦で大活躍、空母ハーミス、重巡ドーセットシャー、コーンウ
ォールなどを撃沈しました。

その後、赤城は空母加賀、蒼龍、飛龍とともに連合艦隊史上最大級
の作戦と言われるミッドウェー島攻略作戦に参加。

しかし作戦中、甲板上での艦載機の兵装の換装作業のさなか、暗号
無電を解読した米機動部隊からの待ち伏せ攻撃に遭い、急降下爆撃
機からの爆弾を3発命中し、甲板上に配置された爆弾や魚雷が誘爆、
さらにそのうちのエレベーターを直撃して格納庫内で爆発、火災は
艦内にまで広がり被害復旧不可能と判断され、味方駆逐艦の魚雷に
よって撃沈処分されました。



ベースにしたキットはハセガワから空母モデルの定番といえるおな
じみのもので、静岡の有名模型会社3社協同開発で国内艦船模型の
最大のブランド、ウォーターラインシリーズ初期の傑作といわれた
ものです。

このキットをベースに、ピンバイスによる舷窓のさらいなおし等の
基本的な作業を行い、トムズモデルワークスとピットロードの空母
用エッチングパーツやフラグシップの極細模型用チェーンでディテ
ィールアップを施しました。

まず、船首ですが、飛行甲板下の巡洋戦艦としての船体の面影を残
す部分に手摺を配し、アンカーチェーンをフラグシップの極細の鎖
におきかえて本物の立体感を表現しました。


↑船首の様子。精密チェーンに置き換えた錨鎖の他に、飛行甲板サ
イドに設けられた転落防止ネットの様子もご覧頂けます。

舷側のモールドにはピットロード製のエッチング手摺を多数配置、
対空攻撃用の25mm2連装機銃は全てピットロード艦船装備セットの
2ps構造のものに交換し、立体的に表現しました。

真珠湾作戦時ということで艦橋は防弾マントレットを貼りつけた状
態を再現しました。このマントレットは弾片避けの目的でハンモッ
クを丸めて取りつけたものと言われており、フォーサイト、シール
ズモデルの武装パーツから赤城の戦時中の写真を参考に貼りつけました。

また、艦橋窓も開口作業を行い、ジョーワールドの製密窓枠のエッ
チングパーツで窓枠も再現しています。

飛行甲板は、立てた状態でセットされた前部遮風柵をトムズモデル
ワークスのエッチングパーツで再現し、前部および後部に装備され
た転落防止ネットはピットロードのエッチングパーツで再現してあ
ります。


↑舷側および飛行甲板、艦橋まわりのディティール。無数にある
舷窓はピンバイスを使って全て地道に開口作業しました。

船尾の飛行甲板トラス支柱は全てピットロードの空母用エッチング
パーツに交換しました。これにより、内部のすけた実感的な仕上が
りになっています。艦載艇はすべて静岡模型共同組合のリニュアー
ルパーツに統一してのせかえ、資料に基づいた塗り分けを施してあ
ります。


↑船尾の飛行甲板支柱は全てピットロードのエッチングパーツに交
換し、トラス構造を再現してあります。

艦載機はキットに付属の零式艦上戦闘機5機と九九式艦上爆撃機4機、
九七式艦上攻撃機を4機の合計12機を塗装して搭載しました。 九七式
艦上攻撃機の中の1機は真珠湾第一時攻撃隊指揮官の淵田美津雄少佐
の搭乗機のカラーリングを再現しています。

空中線の再現には今回も0、6号釣り糸(太さ0、128mm)を着色し
て使用しました。取りつけは全て瞬間接着剤によるものです。

そして塗装ですが、スケール性を考慮した上で船体やパーツの本
塗装の前には塗装後の塗膜の発色を良くするために、ホワイトサ
ーフェーサーで下地を作った白たちあげにて塗装しています。

塗装は今回、赤城の近代化改装を行った佐世保工廠に合わせて
外舷色にピットロード艦船カラーの『佐世保工廠色』をエアブ
ラシで吹きつけました。この塗料は戦時中に実際に使用されて
いた塗料の配合率を資料に基づいて再現したもので、考証その
ものの色といえます。

飛行甲板の木甲板色の再現にはGSIクレオスのタンをベースにサ
ンディブラウン、ウッドブラウン、黄燈色を薄めたものをコート
して色調を立体的に表現しました。

飛行甲板のマーキングは艦名表記の『ア』のみをピットロードの
デカールによって再現、その他の白線はGSIクレオスMrカラーの
『灰色9号』の塗装によるもので、マーキングの際マスキングテ
ープの中に回り込んでしまった白線の色の一部を、甲板色にあわ
せた塗料で筆でタッチアップしてあります。甲板色は実感をだす
工夫として、全体的に不均等にコートしました。

船底はGSIクレオスの艦底色で、外舷色、船底色などはすべてエ
アブラシによる重ね塗りを3回施し、最期の仕上げに船体全体に
艶消しコートを施して質感を統一してまとめました。




**総括**

空母赤城はその複雑な構造の船体形状から、モデラーに愛される
人気艦です。 このギャラリーでも以前に1/500スケールのものを紹
介したのですが、艦というよりは、建造物というか基地というか、
そういう印象を受けるこの艦はなかなかつくり応えがあります。

艦載機に関しては今回は艦攻と艦爆を同じ飛行甲板に並べたのですが
実際には真珠湾攻撃部隊の赤城発艦の第1時攻撃隊には九九艦爆は含
まれていないので、模型映えとしては良いのですが、考証的には間違
いとなります。

艦のディティールでは瑞鳳の時にエッチング飛行甲板を使用すること
によって実感的な甲板を再現したものの、この赤城にはそういうデ
ィテールアップパーツは用意されておらず、立場上ハイスピードな
製作ペースが必要な自分にはモールドを掘りなおす時間などもない
ので少々物足りない甲板になってしまった気もします。しかしその分
艦橋周りマントレットを装着するなどの手をいれることで「真珠湾に
向かう赤城」という実艦の写真にあるイメージに近づけることができ
たと思います。






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