1/700スケール 戦艦 長門 1942年
AOSHIMA製 インジェクションキット













アオシマ インジェクションキット1/700

HIGH-GEARed's HOBBY WORKS!!の1/700洋上艦船模型のギャラリーは、2009年
からはここ2〜3年の間にリリースされたリニューアルキットをメインに製作
し、前回は気分を変えて(?)旧製品の空母赤城を手直しし、リニューアル
キット並みに仕上げるという製作記事を掲載しました。

そして今回の作品は、リニューアル製品群の中では比較的ベテランキットに
なりつつある、アオシマの戦艦長門です。

このキットは、HIGH-GEARedがウォーターラインシリーズに出戻るきっかけ
となったアオシマの傑作キットで、それまでの旧製品のイメージを覆した
素晴らしいディティールを誇る名キットです。

今回はこのキットをベースに、各種ディティールアップパーツを組み込み、

舷側鋼板継ぎ目や舷外消磁電路、バーペッド補強板などのモールド
追加、航空作業甲板リノリウム抑え金具や考証間違いのあるマストヤード
を真鍮線で自作するなどのディティールアップを行い、キットの完成度に
更に磨きをかけました。


今回、ディティールアップに使用したパーツは下記のとおりです


***使用ディティールアップパーツ一覧***

クリッパーモデルズ 1103 日本海軍40cm/45口径砲身
ライオンロア LE7002 日本海軍 手すりセット
MK1 DESIGN MD-70004 戦艦 長門用 木製甲板
ジョーワールド JPE54G IJN運搬軌条&旋回板(汎用)
アオシマ スーパーディティール戦艦山城 付属エッチングパーツ
  ジョーワールド JPE16r  IJN 9mカッター
ハセガワ72754 1/700 汎用窓枠セットA
ファインモールド WA5 汎用探照灯セット
ファインモールド WA1 九六式25mm三連装/連装機銃
波型アクリル板
ウェーブ OP165 TケースWM
フラグシップ製精密チェーン

がメインです。

あと、自作箇所は以下の通りです。


***自作箇所一覧***

舷側鋼板継ぎ目モールドを自作
舷外消磁電路自作(0.4ミリプラ板)
航空作業甲板リノリウム抑え金具自作(0.2ミリ真鍮線)
主砲塔バーペッド補強板追加(0.4ミリプラ板)
高角砲パーツを一部切削、形状変更(観測室基部)
木製甲板使用によるキャプスタンの位置変更
旗竿自作(真鍮線)
副錨追加
舷灯追加(プラ板)
信号旗追加
菊花紋章を薄く成型
海面航行波自作


艦載機はキット説明書では九五式水上偵察機の搭載が指示されてますが、
1939年に零式水上観測機に置き換えられたとの資料から、零式水上観測
機を二機搭載しました。また、航空作業甲板は軌条モールド切削した上で
エッチングパーツを取り付け、リノリウムの抑え金具を自作するなどの
ディティールアップを施しました。


↑アオシマ1/700長門 全景

**実艦について**

戦艦長門は日本海軍が列強の海軍力に負けない海上戦力を保有する目的
で計画された八八艦隊整備計画の第一艦として建造され、竣工当時から
太平洋戦争開戦時にかけて、40cm主砲を8門備えた世界最強艦のうちの
1隻として日本海軍のシンボル的存在として、開戦時にも山本五十六連
合艦隊司令長官座乗のもと、連合艦隊旗艦を勤めました。

後に大和型戦艦の一番艦大和が就役すると同時に旗艦の座を譲りました
が、国内でも最高機密として扱われていた大和の存在は国民にはあまり
知られず、戦時中も国民達のアイドル的戦艦は以前この戦艦長門と姉妹
艦の陸奥のままでした。

太平洋戦争では真珠湾攻撃時の内地での司令塔の役目をはじめとして、
ミッドウェー海戦、マリアナ沖海戦と、常に海軍の主力として働き、
レイテ沖海戦にも参加しました。

やがて、戦局が悪化し、大和をはじめとした日本の主力戦艦郡が次々と
壮絶な最期を遂げていくなかで、この戦艦長門は終戦までを戦い抜き、
戦後唯一の作戦行動可能な戦艦として沈没を免れ、生き残ります。

しかし、太平洋戦争のすさまじい戦禍を潜り抜けたこの戦艦長門は、戦
後連合軍に接収され、1946年7月のビキニ環礁での水爆実験の標的艦と
して使用されることになりました。

この時、長門は水爆のほとんど直撃に近い場所で核兵器の猛烈な爆風
と灼熱に晒されつつも、被爆後数日間に渡って洋上に浮かんだまま沈
まず、その強靭な防御力を証明しました。

この時、戦艦長門は乗組員が乗りこんでいれば沈没を防げたことであ
ろうということを証明し、日本の造艦技術の高さを世界に知らしめる
という、最期の役割を果たして一生をおえました。

戦後、日本の復興が造船業からはじまったのはこの長門の最期の働き
があったことも大きな要因と言えます。

生まれながらにして日本国民に愛され、その最期まで日本のために働
いた戦艦長門。

その美しい艦容とともに名艦としていつまでも語り継がれていくこと
でしょう。


今回の作品は、長門の1942年当時の姿を再現したものです。


***各部のディティール*


↑1/700戦艦長門 右舷前部の様子。木甲板は今回はMK1デザイン製の木製甲板を使用しました。



↑1/700戦艦長門 右舷後部の様子。舷外消磁電路はプラ板による自作です。



↑1/700戦艦長門 左舷前部の様子。艦橋後部のカッターダビッドはキット
には長門にあう形状のものが付属しないので、なぜかアオシマの山城用エッ
チングパーツにあった、同形状のダビッドを使用しました。



↑1/700戦艦長門 左舷前部の様子。航空作業甲板は軌条をエッチング、リノ
リウム抑え金具を真鍮線で再現しました。また、マストのヤードも一部を自作
しました。



↑錨鎖導板はMK1デザインのエッチング、錨鎖本体はフラグシップの極細チェ
ーンです。主砲身はクリッパーモデルの真鍮挽き物砲身を使用し、バーペッド
の補強板はプラ板で自作しました。舷側の鋼板の継ぎ目もご覧いただけます。



↑塗装前の主砲身。砲身は真鍮製で防水キャンバスはホワイトメタル製です。
鋼板継ぎ目再現はサーフェーサーの塗膜による段差で表現しました。



↑探照灯はファインモールドのナノドレッドシリーズのものを使用しています。
反射鏡をシルバーに塗装し、レンズ部分を塗り残すことで透明のレンズを再現
しました。機銃も同じくナノドレッドシリーズのものを使用しています。また、
探照灯台のトラス部分は内部が抜けていないことが判明しておりますので、あ
えてエッチングパーツは使用しておりません。9mカッターはジョーワールドの
エッチングでディティールアップし、オールを配置しました。



↑航空作業甲板は純正の軌条(レール)のモールドを削り取り、ジョーワールド
のエッチングパーツに置き換えました。また、リノリウム抑え金具は0.2ミリの
真鍮線で再現してあります。



↑後部マストのヤードはキットのままでは形状がまったく異なるため、真鍮線
で作り直しました。



↑製作途中の画像です。金色の部分が真鍮線で自作した部分になります。



↑完成品は今回もクリアケース(WAVE ケースWM)に納めました。ケースの寸法は
長さ約37p×奥行約10p×高さ約10pの省スペース設計です。


**塗装について**

タッチアップ部分を除いて、塗装はほぼ全てエアブラシ塗装です。 

サーフェーサーで下地を整えた後、船体外舷色はGSIクレオス艦艇色セットの「SC01呉
海軍工廠標準色」を塗装し、考証に基づいた塗色を再現しました。


リノリウム塗装は同じくGSIクレオス艦艇色セットの「SC06リノリウム色」を使用しています。


汚し塗装は主にエナメル塗料によるウォッシングとドライブラシ、ウェザリングマスター
の筆塗りと擦り付けによるものです。 その後、オリーブドラブをベースにブラックを追加
して調色した色を全体に吹き付け、最後に艶消しクリアーを何度も薄く吹き重ねて落ち着い
た艶消し仕様としました。


**総括**

戦艦長門の製作は2006年10月以来で三年余りぶりとなります。アオシマのリニューアルキット
を最初に手にした時の驚きは今でも忘れることができません。

HIGH-GEARedが最初に艦船模型をはじめた小学生のころ、長門の模型といえば、ニチモ製を
除けばアオシマの1/700旧製品が入手可能な唯一のものでした。

当時から記録映画などの映像で実物の長門の姿を見る機会は多かったのですが、どうしても
実物の長門のイメージに近づくことができなかった旧製品の完成品に慣れていた目には、リ
ニューアルキットの完成度は素晴らしく、当時の感覚では、これがそのまま拡大コピーさ
れて1/350キットでリリースされても充分鑑賞に耐えるだろうと思ったことを覚えています。

そして現在、実際に1/350戦艦長門を見るようになった目で見るようになると、手を加える
べき場所がいくつか見つかったので、1/350戦艦陸奥の製作経験を生かし、舷外電路やヤー
ドを自作し、1/350レベルに近づけるべく手を入れました。

MK1デザインの木製甲板は1/700では初めて使用したのですが、第一主砲塔バーペッドより
前方の精度が悪く、錨鎖導板やキャプスタンの位置が合わなかったので、モールドを切り取
ってもう一度貼り直すという修正が必要になりました。 

レーザーカットパーツは、NC加工されたパーツとは異なり、材料をベッドに固定しない場
合が多いので、ひょっとしたら加工中になんらかの要因で材料がズレてしまった可能性も
あり(HIGH-GEARedが以前職場で使用していたレーザーは加工中にかなりの振動が発生し
ました)、全部の製品にこのような問題があるのかどうかはわかりませんが、これから導入
予定の皆様はご注意ください。

最近、HIGH-GEARedの1/700作品は汚し塗装が強めのものが多くなってきましたが、最近の
作品は海面ベース付きのジオラマ仕立てになっていることが、汚し塗装を行うように
なった理由です。

しかし個人的には博物館展示模型のような美しく丁寧に仕上げられた模型が好きですので、
今後も特別な場合を除いては1/350に関しては汚しなしの丁寧仕上げを貫いていこうと
思います。

丁寧仕上げもウェザリングされた艦船も、ジャンルに合わせて両方作り分けられるようにな
れば、これから表現の幅もより広がっていきそうです

 




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