大和ミュージアム見学 2006/5/04



↑GW中とあって、館内は大混雑でした。。




2006年のゴールデンウィーク真っ只中の5月4日、広島県呉市の大和ミュージアムを見学に訪れ
た際のレポートです。

HIGH-GEARed HOBBY WORKS!!では、これまで戦艦大和に関するあらゆる話題を扱って
きており、模型も1/1000、1/700、1/350、1/250、1/200と、全てあわせると数十隻の作例を掲載
しておりますし、尾道の実物大ロケセットにも2回訪れ、船の科学館の1/20および1/50スケール
モデルも取材しに行っています。(これらはPHOTO GALLERYおよびMODEL ARTのコンテンツ
でご覧いただけます)

そうした中、「大和ミュージアム」を訪れるのは、実は同ミュージアム開館1周年の今回がはじめて
ことでして、当サイトを訪れている方は意外に思われるかもしれませんが、自分的にはまさに
「待ちに待った見学」となりました。 

(画像は全てムービーよりキャプチャーしたものですので、多少鮮明でないものもあります。また、
ミュージアムの壁面がガラス張りになっている部分では逆行補正をかけていますが、画像によっては
見づらい場合もございます。ご了承ください。)


***現地までの道のり***

HIGH-GEARedはワケあって福山を訪れることが多く、福山近辺の尾道(実物大大和ロケセット)
までは比較的行きやすい環境があったのですが、呉となると鉄道で更に1一時間以上の旅を続
ける必要があり、見学時間が長くなることが明白なため、これまでなかなか適当な機会を見つけることが
できませんでした。

今回は、広島グリーンアリーナにライブを見にいく(聴きにいく)予定ができたこともあって、ちょうど良
いタイミングと考え、ライブの後に広島で一泊し、翌日朝からミュージアムに出かけ、ゆっくり見学
して夜に帰宅というコースで、大和ミュージアムを心行くまで楽しめる機会ができました。

旅は3日の朝7時頃自宅を出発し、近鉄で大阪へ向かい、大阪環状線から大阪駅で新快速播州
赤穂行きに乗り換え、東海道本線、山陽本線を経由して相生で普通三原行きに連絡、福山を
少し越えた東尾道で広島行きに乗り換えて現地に到着という、合計7時間あまりの道程となりました。


↑今回も鈍行の旅ということで、長距離当日券を購入して行きました。



↑大和ミュージアムとは直接とは関係ないのですが、最近導入したMP3プレーヤーです。1/200大和と比較
したこの大きさで1GBの大容量なので、1曲4分換算として、約240曲収録可能で、7時間音楽を聴きっぱなしで
も曲ネタが尽きることがなく、長旅には最適です。これまでは旅に出るときはたくさんのMDを持ち歩いていたの
で、入れ替えの必要がないのも嬉しいところです。


↑三原行きから広島行きに乗り換えた東尾道駅。ホームのお客は完全に自分ひとりで、20分程度の連絡
待ちは、晴れ渡った天気のおかげもあって、実にのどかでした。乗り換え待ちをしているときには、対向側
に大和ミュージアムのラッピングをした電車を見ることもできて、呉に向かっていることを実感することができ
ました。

↑これはライブを見終わった翌日4日に呉線で撮影した車窓風景です。海と山と道路と線路が陽光に映えて
とても美しかったです。


↑呉駅を出て、最初にみえたのは海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」です。 列車の中の車窓からは、
おおすみ型輸送艦と思われる艦を見ることもできました。


↑駅から大和ミュージアムまでは通路も用意されていて、簡単にアクセスできました。広島ではこの時期、
フラワーフェスティバルが行われ、周辺に観光客が多いのか?大和ミュージアムも午前10時台にも関わらず、
この行列です。(実際は画像の長さの5倍程度続いてました) 入り口脇に見える砲身およびスクリュー、舵
は戦艦陸奥から引き揚げられたもので、砲身は船の科学館見学レポートに載せられているものとは、別の
砲身です。


↑行列待ちしているときに見つけた休憩所の屋根です。大和の15メートル測距儀と電探をかたどった形状に
仕上げられてました。


***1/10戦艦大和との対面***

長い行列を越え、ついに念願かなって大和ミュージアムの中に足を踏み入れることができました。1/10大和は
館外からはその姿は見えず、チケットを買って奥に進むと突然姿を現します。

しかも、最初にみるアングルでは喫水線下は床にかくれて見えず、まさに水上に浮かんでいるかのような
雰囲気を見せてくれます。 この演出、なかなか心憎いですね。

大和ミュージアムについては、様々な書籍や写真集が出版されているため、ここに来る以前から詳細はよく知ってい
ましたが、やはり平面的な写真でみる大和と、実際にふたつの目で立体的に見る大和とはかなりの差がある
もので、しばしその迫力に圧倒されるようでした。

(1/10戦艦大和については書籍などで詳しく紹介されておりますので、今回は詳しいことは抜きにして、
見たものを見た順番に感想付きで掲載しました)



↑館内に入って最初にみえるアングルです。1/10大和の建造を知って以来、およそ7年になるのですが、
こうして目の前にしてみると、「よくぞ1/10大和建造を実現してくれた」という思いに、改めて胸がつまる思いです。


↑主砲はGW中は日替わりで主砲の角度が変わるそうです。この日はまさに入館者を狙う角度に調整されて
いて、大和の勇壮な雰囲気を盛り立てていました。


↑精密かつ大胆に再現された艦橋。この艦橋の製作は東宝特撮で有名なマーベリングの皆様の手によるものです。


↑夜戦艦橋。この複雑な面構造がカッチリと造型されていて、実艦の構造美を見事に再現しています。


↑副砲および副砲バーペッド。最上型重巡洋艦から流用された際に追加された外板とフィンも精密に
再現されています。側面にはジャッキステーとリベットも再現されていました。


↑バーペッド後部の中央構造物基部。水密扉、ジャッキステー、ラッタルなどを見れば、乗組員がどのように
各部署を移動したのかが良く分かります。


↑12、7cm連装高角砲。HIGH-GEARedだけでなく、日本海軍艦艇が好きな方には、この砲が好きな方は
多いのではないでしょうか? ほとんどの艦船に装備されていたものでもありますし、模型においてもディテ
ィールアップのしがいのある部分です。


↑舷灯もライトと反射鏡が実物どおりの形状で再現されていました。


↑煙突。蒸気捨て管の形状がとても立体的で実感的です。基部も2重構造が再現されているのが良く分かり
ます。


↑映画「男たちの大和」で主人公達の戦いの舞台となった艦橋基部の25mm3連装機銃。対空戦闘において、
艦橋は集中攻撃を受ける場所ですから、もしかしたらこの機銃は最も集中的に攻撃された機銃かもしれません。


↑これは内火艇搬入口を下からみたところです。HIGH-GEARed HOBBY WORKS!!の大和模型作例でも、
最近はこのあたりを意識的にディティールアップするようにしています。 このような完成度の高い模型を見る
ことは、HIGH-GEARedのような一製作者にとっても、より大和の構造の理解が深めるのに役立つことで、大変
ありがたい思いをしています。


↑主舵およびスクリューブラケット周り。この再現を見る限り、スピンナーはブラケットから少し離れた状態が正
しいようです。


↑舷側左舷中央部付近を下から見上げた図です。大和に乗艦する水兵および士官達がみたであろう光景の
再現です。 1/10戦艦大和船体は、山本造船で仕上げられたもので、正真正銘金属製でしっかりと作られて
います。鋼板継ぎ目は再現されていませんが、これは美しい船体のラインを崩さないように配慮してあえてやって
いないそうです。


↑測距儀および電探を下から見上げた様子。この表現には一生かかっても追いつけそうにありません。(当たり前ですが・・・)


↑菊花紋章。実艦と同じように、この1/10紋章は竣工式の時に取り付けられたそうです。


↑船尾はハインマットの取り付けが検討された説を取り入れ、平らに仕上げられていました。船尾機銃座の形
状は、最近1/350戦艦大和のディティールアップの際に参考にさせていただいているものです。


↑甲板には部分的に1/10スケールの人形が置かれ、実艦の大きさを表してくれます。こうしてみると、水密
扉などは思っていたより大きく、背を伸ばしたまま出入りできるくらいの大きさがあったことがわかります。


↑第二主砲塔背面。出入り口の形状は諸説ありますが、正方形の枠の中に長方形の扉があるという説が
採り入れられてました。


↑波除板の後部にある爆風避け付きの吸気口。ここまで精密な再現は初めてみました。


↑錨鎖甲板を左舷後方から見た様子。この実感的な距離感は大型モデルでしか考えられません。


↑左舷舷灯付近。プラモデルの世界では再現されることの少ない機銃射撃指揮装置の数を合わせた仕様に
なっています。


↑第三主砲塔。例えば、1/700モデルの主砲を同じ角度で撮影してみるとわかるのですが、どんなに精密に
作りこんでも、この独特の距離感と塊感は再現できません。 尾道のセットで実物大を見た後でも、この大きさ
から放たれる独特のオーラには、ただ感動するばかりです。


↑映画「男たちの大和」にも、同じようなアングルのシーンがありました。 下から砲身を見上げたとき、3本の
砲身が扇型に広がる様子は、大型モデルでしかありえない迫力あるアングルです。


↑少し拡大して撮ってみると、望遠効果がでて、より巨大感が増します。実物の大和はいったいどれほどの
威容を放っていたことでしょう?


↑1/10大和は船底から上空まで、様々な角度から見学できるよう、ミュージアム自体が工夫されているので、
ひとつの模型を何倍も楽しむことができました。 これは中二階から撮影した画像で、低空を飛行する飛行機
からみえたであろうアングルです。


↑最上階から撮影した大和の前甲板。沖縄での米攻撃隊が撮影した写真を思わせます。 甲板には実際に
木が貼ってあるため、塗装とは比較にならないほど実感的な仕上がりになっています。 HIGH-GEARedも、
模型の甲板にインテル(模型用木材)を張る再現方法に大変興味をもっているので、近い将来必ず挑戦
します。(宣言)


↑よく「針山」とか「ハリネズミ」と表現される艦橋周りの対空兵装。「大艦巨砲の終焉を感じさせて寂しい」という
方も多く、好みがわかれますが、個人的はこの姿は結構好きです。


↑高角砲はやはり上空に仰角をつけている姿が魅力的ですね。当サイトで06年5月現在製作中の1/200戦艦
大和も、この辺りのディティールアップはかなり重点的に行う予定です。


↑防空指揮所後部には、伝令室が増設された再現となっていました。観測室前のキャットウォーク側面の
手摺は、このように現在では再現されない考証が多くなってきていますが、個人的には精密感と模型映え優
先で取り付けることが多いです。


***その他の展示物***

大和ミュージアムは別名(?)を「呉市海事歴史科学館」というだけあって、1/10大和以外にも、数々の展示物
が所蔵されています。

複数のフロアに展示されたその数はあまりにも膨大なため、一部しか紹介できませんが、ここでいくつか紹介
したいと思います。


↑零式艦上戦闘機六三型、通称「ゼロ戦」です。HIGH-GEARed HOBBY WORKS!!では五二型のタミヤ製
リアルサウンドアクションのレポートをこれまで2回掲載しましたが、外形的にはほぼ同じものです。

この機体は昭和45年8月6日に吾妻常雄中尉が訓練中にエンジントラブルのために琵琶湖に不時着したもの
で、昭和53年に引き揚げられ修復されました。
 

↑実機の零戦を見ることは初めてなので、細部まで丹念に見たのですが、見れば見るほどタミヤのキットの
出来のよさが良く分かりました。 引込脚や、収納部分の細部にいたるまで、ほぼ100パーセント同じといえる
もので、本当に驚かされました。 実物そっくりの模型を作ってから、その模型とほぼ同じ実機を見るというのは
なんとも不思議な感覚です。


↑零戦の機銃などの装備品やパイロットの装備も展示されていました。(全て実物) 貴重な展示品の多さを
考えれば、\500の観覧料は本当に安いですね。


↑12、7cm高角砲弾。 弾薬装填は人力で行っていたようですが、いったいどれほどの重さがあるのでしょう?
映画「男たちの大和」では、この砲弾を落として上官にしかられるシーンが描かれてましたね。 高角砲弾の
他にも、46cm主砲弾をはじめとして、大和で使用された各種弾薬が展示されていました。


↑特攻兵器 回天十型。 いわゆる人間魚雷として有名な回天です。 実物を見るのは初めてですが、潜水
艇というよりは、まさに魚雷という雰囲気のもので、とても細くて小さくて、改めて驚かされました。 実戦ではこの
回天による作戦行動で100名近い戦没者が出たそうですが、それら乗組員は皆二十歳前後の若者だったと
言います。この狭い中に閉じ込められて、死にに行く心境は察するに余りあるとしか言えません・・・。


↑特殊潜航艇 海龍。水中を飛行機のように操縦できる有翼潜水艇で、回天とおなじく特攻に使用される予定
でした。特攻兵器は、実際に使用する人間が犠牲になり、遺族を悲しませたことは事実ですが、それが特攻兵器
であることを知らされずに、製造に携わった当時の工員達にも深い心の傷を残したようです。

大和ミュージアムには、大和をはじめとして、戦争で犠牲になられた方の遺品の数々も展示されていました
が、ここでの公開は、犠牲になられた方々とご遺族の皆様のお気持ちを配慮して自粛させて頂きます。


***1/10戦艦大和以外の精密艦船模型郡***


↑1/100の戦艦長門。 艦船模型は1/10戦艦大和以外にも本当にたくさんの大型モデルが展示されていて、
模型好きのHIGH-GEARedには参考になることばかりで実に充実した時間を過ごすことができました。


↑ミッドウェー海戦時の日の丸表示をつけた航空母艦赤城。この赤城も1/100モデルです。 船の科学館
見学レポートの際にも書きましたが、博物館モデルの船は、艦船モデラーからみて本当に素晴らしいもの
ばかりで、何時間見ていても飽きない珠玉の名作が揃っています。


↑航空巡洋艦最上。航空作業甲板の形状は近年の考証に基づいて作られており、この模型が比較的新
しい作品であることがわかります。 また、模型とは関係ないですが、金色に輝く飾り脚は小西製作所のもの
のようで、現在製作中の1/200戦艦大和ファインディティールに使用予定のものと同じでした。(一番大きい
サイズのものです)


↑ひとだかりができていたのは、現在の海底の大和の姿を再現したこの模型。1999年の深海調査のテレビ
番組放映のために作られたもので、タミヤ1/350プラキットがベースになっています。 当時から雑誌などに多く
掲載されていたもので、艦船モデラーの間では大変有名です。 映画「男たちの大和」でも冒頭の鈴木
京香さんの大和ミュージアム訪問のシーンで映っていました。 船体がねじ切られたような無残な姿は、大和
ファンとしては見れば見るほど痛々しく、辛くなるような姿ですね。


↑精密に再現された重巡洋艦高雄。艦船模型はたくさんあったのですが、それらの1隻1隻が、全て「この
1隻で本が何冊も出版できそう」なレベルのもので、もう感激するばかりです。 今回は時間に余裕があったと
はいえ、帰宅のことも考えなくてはならなかったので、全てをじっくり見ることができなかったのですが、次
回は丸一日を費やすつもりで1隻1隻をじっくり見てみたいです。


↑重巡洋艦青葉。 これら艦船模型郡には、HIGH-GEARedが影響を受けた河井登喜夫先生の作をはじめとして、
日本海軍艦艇模型保存会の作品も多く含まれていました。


↑白黒で撮影すれば本物に見えてしまいそうな精密な戦艦金剛の艦橋です。多層艦橋の各フロアを実物
どおりに再現した模型は一生の憧れです。


↑条約型巡洋艦の那智。美しい流線型の船体が見事に再現されていました。


↑航空母艦大鳳の大型精密モデル。飛行甲板の再現は暗いグレー、明るいグレー、木甲板など、いろいろな
説がある同艦ですが、この模型ではリノリウムに近い色で再現されていました。 後期型の空母はラテックス
コーティングの飛行甲板が多かったそうですが、これらの飛行甲板はほとんどが迷彩塗装を施されていますの
で、実際の色がどのようなものであったか分かりません。 ひょっとしてこの色彩がその再現なのでしょうか?


↑航空母艦飛龍。飛龍は比較的資料的に充実しているのか?プラモデルでもミュージアムモデルでも割と
似通った艦型に仕上がっています。 この空母はHIGH-GEARedに少し縁がある空母で、最近特に親近感を
持つようになりました。


↑これら精密艦船模型郡はアップにすればここまで作りこまれています。1隻1隻を丹念に見て回る時間がな
いのは嬉しい悲鳴という気もします。船の科学館同様、ここもリベンジが必要ですね。 近くで何泊もしたいく
らいです。(笑)


↑駆逐艦冬月の1/200モデル。


↑非常に良く作りこまれたもので、一見原型を感じさせないのですが、後部構造物をアップにしてみると、
モールドや継ぎ目の位置から、どうやらHIGH-GEARed HOBBY WORKS!!でも幾度か紹介しているニ
チモの1/200秋月型駆逐艦キットがベースになっていることがわかります。 正確に箱型に組むのが難しい
部分なので、製作の様子を思い出しながら見ていました。 艦船模型はこれらのほかにもたくさんあったの
ですが、プラモデルがベースのものはこの冬月と、雪風(陽炎型駆逐艦ベース)、そして先ほど紹介した
現在の大和を再現したものの3隻だけでした。

また、ここでは紹介しきれていませんが、他には摩耶、扶桑、瑞鶴、筑波、イ号400型などの大型精密模型が展示されて
いたので、大和ミュージアムを訪れられる際には、ぜひともこれらの模型もご覧になることをオススメします。


↑その他の潜水艦モデルは1/200戦艦大和ファインディティール製作記でもおなじみの、小西製作所の完成品が展示
されていました。 このメーカーのパーツや飾り脚は大型艦船模型のディティールアップにかかせません。


↑同じく小西製作所の1/1250スケールダイキャスト洋上艦船模型の完成品も多数展示されていました。 たく
さん集めてコレクションするには最適のシリーズで、以前社長さんにキットで売ってもらえないかとたずねてみ
たところ、「説明書なしならええでぇ」とおっしゃっておられました。(笑)


***企画展***

今回は、大和ミュージアム開館1周年記念ということで、プラス\200の観覧料で企画展を見ることができました。

そこには嬉しいことに、完成度の高い大和の模型が数多く展示されており、1/200大和製作中のHIGH-GEARed
にとって大変参考なることが多く、この時期にここに来れたことに縁を感じることができました。



↑1/100で精密に再現された戦艦大和の前甲板。艦船模型界では大変有名な作品で、実艦の大和もご覧にな
ったという坂上隆氏が12年の歳月をかけて完成させたものです。大和ファンの間では伝説の作品とも言われ、
これ以降の大和製作者の目標となったモデルでもあり、まさかここで実物に出会えるとはなんとも不思議な縁を感じず
にはいられません。


↑1/100となると、フルスクラッチが基本となりますが、以前、日本海軍艦艇模型保存会から限定で1/100キット
が販売されたことがあり、そうした機会に1/100の大作に挑戦された方も増えたのではないかと考えています。
この大和も1/100スケールで、1/10大和と比べると小型ではあるのですが、その作りこみの素晴らしさは
1/10大和と比べても全く遜色のないレベルで本当に驚かされます。


↑この大和は1/200スケールです。HIGH-GEARedが製作中のものは捷一号作戦時ですが、これは天一号
作戦時を再現してあります。今作っているものと同じ縮尺だけに、参考になる部分が多く見れて、良い機会
でした。 同じ大和でも、それぞれ作者によって解釈はことなり、別のものに仕上がるのが常ではありますが、
たとえ考証が古いものになってしまっても、作者の魂のこもった、見る人の心を打ちます。


↑これは1/200で再現された戦艦武蔵です。大和が最終時でモデル化されることが多いのと比べて、武蔵は
竣工時の左右に副砲を塔載したスタイルがモデル化されることが多いですね。 1/200くらいの大型スケール
ともなると、大和との相違点もたくさん目に付いて実に興味深いです。


↑1/100クラスの大型艦船モデルでは、やはり甲板を木材で再現すると実感がまるで違いますね。これだけは
HIGH-GEARed HOBBY WORKS!!でも近年中に必ずやります。(再宣言)


↑船の科学館の見学レポートの際に紹介させて頂いた、日本海軍艦艇模型保存会の河井登喜夫先生です。
大和ミュージアムの建設にも多大に貢献されました。河井先生のご作品を掲載した本を見なければ、HIGH-
GEARedは艦船模型の製作はおろか、この大和ミュージアムにこうして訪れていたかどうかも分かりません。 
99年に惜しまれつつ他界され、もちろんご本人にはお会いしたことはありませんが、心の恩人と言える人です。

現在製作中の1/200戦艦大和にも、先生が牽引してこられた保存会のパーツを数多く使用させていただいて
おりますし、05年9月に船の科学館で取材した河井先生の最高傑作1/50戦艦大和も各部ディティールアップの
参考にしているところです。 もし現在もご存命だったとしたら、このミュージアムをどのような思いでご覧になら
れていたことでしょう?


↑企画展にはこのようなものも展示されていました。 1/10大和の木甲板のサンプル(?)です。山本造船の
ベテラン船大工である大下俊明棟梁が現物あわせで一枚一枚張っていった匠の技と呼べるもので、一枚一
枚が実物の木甲板とおなじブロック構造で作られていることはもちろん、構造物周りの仕上げも考証に基づい
た最高の仕上がりです。さらに、使用木材は大和に実際に使用されていた台湾ヒノキを参考に、木目の間隔
を1/10大和のスケール性に合わせたものを使用するなど、実物に似せるための徹底したこだわりが見て取れます。


↑1/10戦艦大和の構造物は樹脂製パーツで、まずは原型を作り、このようなシリコン型を作って量産されまし
た。これは探照灯管制機シールドのようですね。リベットなどもこの時点でモールドされているようです。


↑大和の模型は個人所有の精密モデルやミュージアムモデル以外にも、市販品の模型も展示されていまし
た。これはピットロードから限定発売された1/700戦艦大和完成品です。 タカラの食玩に協賛した際の最新
考証に合わせた仕様のもので、おそらく市販完成品では最も最新考証に忠実につくられているものと思います。
定価\20790をどう考えるかですが、完成度を考えると僕はとても安いと思いますよ。 (ピットロード製では、
他に1/144主砲塔も展示されていました)


↑ハセガワの1/450戦艦大和キットを組み立てたものです。考証面では今見ると少し辛いものがありますが、
安さで勝負ということで、この大きさで定価\2800はお買い得感がありますし、艦船模型入門にはうってつけ
と思います。(ちなみにHIGH-GEARedが生まれて初めて作った艦船プラモデルはハセガワ1/450戦艦ミズーリでした)


↑タミヤの1/350キットの純正完成品マスターワークシリーズの大和です。 定価は\75600ですが、最初から
手摺やタラップ、電探などがエッチングパーツでディティールアップされており、とてもお買い得な品だと思い
ます。しかし機銃位置の考証が古いのだけが少し残念です。


↑これは大変珍しい1959年発売の武蔵の1/200木製キットのパーツ郡です。 その名も「デラックス戦艦武蔵」
! 上手く仕上げるには相当な技術が必要ですが、原寸大の丁寧な図面も付属しているので、じっくり取り組んで
迫力のある武蔵に仕上げた方もおられることでしょう。 この武蔵の完成写真を「田宮模型の全仕事3」という
書籍で見たことがあるのですが、現在の目でみても素晴らしい迫力と精密さで驚かされました。


↑HIGH-GEARedもコレクションしているタカラの食玩シリーズの大和の1/144対空兵装。 塗装済みの組み立
てキットで、スケールモデラーも驚くほどの精密さで楽しませてもらいました。


↑おなじくタカラマイクロワールドシリーズの連斬模型戦艦大和。 大和の内部構造を再現した興味深いモデ
ルで、対空兵装と同じく、塗装済みで簡単な組み立て作業で完成できる魅力的な模型です。この商品は後に
最新考証に合わせてリニューアルされましたが、これはリニューアル前の天一号作戦時の黒甲板仕様です。


***思い出を胸に***

今回は大和ミュージアムに午前中から訪れ、かなり長い時間を観覧していたのですが、当日中に奈良まで
帰らなくてはいけないとあって、列車の少ない呉線のこと、2時半くらいには帰宅の準備をしなくてはなり
ませんでした。

しかし、長年待ち望んだ大和ミュージアム見学は長年の期待を裏切らないどころか、期待以上の素晴らしい
時間となり、HIGH-GEARedの人生の大きな思い出となりました。

このような施設を完成するまでには、数多くの人たちの情熱が燃やされてきたのだと思います。今回の見学
にあたり、そうした関係者の思いが痛いくらいに伝わってきて、HIGH-GEARedもひとりの大和ファンとして、
胸が熱くなる思いでした。

次回はまたいつになるかわかりませんが、その際にはぜひとも開館から閉館まで丸一日くらい観覧できるプラ
ンを練って来たいと思います。  ありがとう大和ミュージアム。


↑早めに準備したつもりとはいえ、呉線から山陽本線に乗り換えるプランは列車の待ち合わせ時間が思った
以上に長く、いつもの福山からの帰宅コースより1時間以上の遅れがでてしまっため、鈍行での帰宅は
諦めざるをえず、新幹線を選ぶことになりました。 とはいえ経費節減のため、岡山駅までは在来線普通電車
で移動し、岡山から新大阪までの新幹線特急券を買って700系レールスターで新大阪へ向かいました。 その
甲斐あって、奈良に帰宅したのはpm10:00頃と、それほど夜遅くに及ぶこともありませんでした。


***おまけ画像***

前回の船の科学館および記念艦みかさの旅行記において、お土産の画像を掲載ましたが、今回も大和
ミュージアム限定品のお土産をたくさん購入して帰ったため、その中からいくつかを紹介します。

これまでこうした旅は何度も行っていますが、お土産の額が1万円を越えたのは後にも先にもこれが初めて
のことで、7年越しの思いを後に伝える良い記念になりました。


↑まずは大和ミュージアム公式1/200ミニチュアモデルです。 


↑1/200と聞いて、大和模型ファンなどは耳を(目を)疑ったかもしれません。戦艦大和の1/200スケールとなる
と、1m30cm程度の大きさとなるのですが、驚かれるのも当然かもしれませんが、良く見ると「1/10戦艦大和の
1/200モデル」ということで、すなわち1/2000スケールということになります。


↑中はこのような感じで、大和ミュージアムの階段状の通路を模した台座に粋な演出を感じます。ケースの大きさ
が1/43ミニカーケースと同じ大きさといえば、この大和の大きさもお分かりいただけると思います。


どうせチャチなものだろうと思いきや、良く見ると高角砲やマスト、測距儀が別パーツとして取り付けられるなど、
このスケールでは驚くほど精巧に作られていました。 中央構造物の形状も正確ですし、機銃位置や兵員待機所
も比較的新しい考証に基づいたもので、こうした部分にも、大和ミュージアムのこだわりの深さが垣間見えます。



↑主舵の側面や内火艇搬入口周りの支柱の再現、副錨まで再現されるなど、妥協のない仕上がりに驚かさ
れます。


↑このヘアラインが美しい洋上模型再現の大和は、金属製のペーパーウエイトで、1/2000大和同様、細部まで
丁寧に作りこまれていました。(大きさも1/2000大和とほぼ同じです。)


↑このペーパーウェイトが入っていた箱(右)を見て「なんか見覚えのある箱だな〜」と思って、心当たりをみて
みると、いつも艦船模型製作でお世話になっている小西製作所の箱(左)とソックリでした。(笑) 金属加工の
得意な小西さんの協賛かもしれませんね。


↑缶ほしさに買ってしまった抹茶クッキー。大和には何の関係もなさそうな品物ですが、サブレや饅頭と同じく
こういう商品もお土産にはおなじみです。(笑)



↑大和ミュージアム公式DVDです。最近大和と名の付く本やDVDを
集めて回ってますが、以前はこうした資料もほとんど世に出回ること
がなかったことを思うと、大和ミュージアムや男たちの大和の貢献は
本当に大きいもので、実に良い時代になったものだと実感する今日この頃です。






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