1/700スケール 戦艦 陸奥
AOSHIMA製インジェクションキット













アオシマ 1/700

最近、HIGH-GEARed HOBBY WORKS!!の艦船模型ギャラリーにおいては、
自分用の模型コレクションになるものと、他人にお譲りしてしまう模型
があることについて記載することが多いのですが、これまでギャラリーに掲
載して来た模型の中で、現在手元に残っている模型といえば、1/350戦艦大和
決定版、1/350戦艦三笠ファインディティール、プラ帆船2隻と木製帆船が1隻、
そして1/500戦艦三笠(レジン)と、蒸気機関車C62のみで、日本海軍艦艇の
1/700洋上艦船模型は実は1隻もありません。(同シリーズ完成品では商船2隻のみ所有)

サイトに掲載してきたものだけでも、1/700洋上艦船模型は100隻あまり、実際
には120隻程度製作してきているのですが、自分でも良くこれだけの数の模型を
一人で作ってきたものだと思います。 

もともと艦種が充実したシリーズとあって、当ギャラリーにおいても、主力
艦のほとんどは勢ぞろいし、ネットをされる皆様にご覧頂くのと同時に、HIGH
-GEARedにとっても個人的なデータベースのような使い方をするようになって
きているのですが、そうなると、未だ埋まっていない主力艦の穴がどうしても
気になってしまい、この際、その穴を埋めてしまおうと、2006年後半から、まだ
作っていない戦艦、高速戦艦を順番に作り始めることにしました。

その結果、これまで埋まることのなかった榛名、霧島の穴を埋めることに成功
し、今回は最後の大きな穴となる戦艦陸奥でシメることになります。

こうして、ようやく当ギャラリーにおいて、WW2の日本海軍戦艦郡を揃えること
ができました。


今回の製作においては、手摺やラッタルなどにエッチングパーツを使用し、空中
線をテグスで再現する基本的なディティールアップの他に、探照灯台トラス部分
およびカタパルトのエッチングパーツ化、真鍮挽き物製主砲身の使用、艦橋窓枠
のエッチングパーツ化、錨鎖の精密チェーン化などの、ここしばらくの1/700戦艦
ディティールアップの定番となってきた各作業を行い、また、これも最近の定番
となった走航波再現を施したベースを用意しました。


↑戦艦陸奥全景。船体の全長は約31、5cm、台座の長さは37cm程度です。


今回行った、主なディティールアップおよび調整箇所は以下の通りです。

ゴールドメダルエッチングパーツ使用
(↑手摺、ラッタル、探照灯台ヤグラ部分等)
ハセガワエッチングパーツ使用
(↑カタパルト)
艦橋窓枠エッチング化(ジョーワールドパーツ)
クリッパーモデル製真鍮挽き物製主砲身を使用
主砲塔防水キャンバスをクリッパーモデル製ホワイトメタルキャンバスを使用
機銃パーツ交換(ピットロード製武装パーツ)
高角砲パーツ加工(WLリニューアルパーツを一部加工)
錨鎖精密チェーン化(フラグシップ超精密チェーン)
空中線再現(テグス)

それぞれのディティールアップについては、この後詳細に紹介していきます。

それでは、ディティールアップ作例初登場となる、戦艦陸奥の実艦の解説になります。


***戦艦 陸奥 実艦について***

戦艦陸奥は大正10年10月24日に完成しましたが、11月に開かれたワシントン軍
縮会議において「完成艦」として扱うか「未完成艦」として扱うかで問題とされたた
め、その名は大きく国民の間に広がりました。

保有が認められた後は、対空兵装の増加、小改装、航空兵装塔載などが行われ
ました。陸奥の改装においては、まず弾薬庫の船体内部の防御縦壁に装甲板を
追加し、また被雷対策として船体の両舷に大型バルジを取り付け、その中に水密
鋼管を充填しました。 

もうひとつの目立った改装は、船尾の延長によって有効水線長が増加し、推進
抵抗が減少しました。 バルジなどの重量増加によって吃水が増加したにもかか
わらず、機関出力の増加も相まって最大速力25ktを維持できました。

太平洋戦役における陸奥は、ミッドウェー海戦に出撃したものの、昭和18年6月
8日広島港にて第三主砲塔の爆発事故により、船体が切断され沈没しました。

陸奥の艤装品の一部は後に引き揚げられ、「船の科学館」や「大和ミュージアム」
など、全国各地で展示されています。(当サイトのPHOTO GALLERYでご覧になれます)


***キット、組み立て、ディティールアップについて***

キットは1/700洋上艦船モデルシリーズの決定版、ウォーターラインシリーズの戦
艦郡において、タミヤの大和に引き続いて長門と共に新金型に移行したアオシ
マ製のものです。

キットの出来は同シリーズの戦艦郡の中において最高水準といえるもので、これま
で行ってきた基本的なディティールアップに多少手心を加えることで、キットの良さ
をさらに引き立たせました。

使用パーツは主にゴールドメダルモデルズの日本海軍戦艦用エッチングパーツ、
クリッパーモデルの真鍮挽き物主砲身とメタルキャンバス、ハセガワの呉式カタ
パルトエッチングパーツおよび、ピットロード製の機銃などです。


***船体***

アオシマの1/700陸奥のキットは、最近になってフルハルモデルも発売されまし
たが、今回はWL仕様のキットを使用しています。

舷窓をピンバイスでさらいなおし、モールドのメリハリを強調しました。


***主砲および対空兵装***

主砲身にはクリッパーモデルの真鍮挽き物砲身を使用し、プラパーツに穴を
開けたものとは比較にならない精度の高いパーツを使用。

また、防水キャンバスもクリッパモデル製のホワイトメタル製のパーツを使用し、
アオシマキットの唯一の欠点として指摘されることの多い、角ばった形状とな
る問題も解消しています。


↑真鍮挽き物砲身に交換した主砲身の様子。もちろん、砲塔は左右に旋回
させることが可能です。防水キャンバスもメタル製パーツとしました。船首の錨
鎖はフラグシップ製精密チェーンによる再現です。

高角砲は、キットに付属のWLリニューアルパーツを一部加工して使用しました。

観測室の下部を切削して床面より浮かせた状態とし、実物の高角砲の形状に
似せるようにしています。

艦橋や煙突回りに装備されている25mm連装機銃は、ピットロード製のパーツ
に鋼管しました。 この機銃は銃身と銃座に分かれた2個のパーツを組み立てる
もので、キットパーツと比較してより立体感に優れています。


***艦橋等の中央構造物***

艦橋は窓枠のプラモールドを切削し、ジョーワールドの窓枠エッチングパ
ーツに交換しました。 内部に空間があり、メリハリのある仕上げです。


↑艦橋のクローズアップ。今回、長門型戦艦の作例としては初めて窓枠を
エッチング化するディティールアップを行いました。

艦橋の各層は床面にリノリウムに模した塗装を施し、実艦のイメージとしました。

煙突側面の探照灯ヤグラのトラス部分はゴールドメダルの日本海軍戦艦用
エッチングパーツに交換し、精密化しました。


↑船体中央部のクローズアップ。探照灯ヤグラ、副砲上部の手摺の取り付け
状況など。


↑さらにズームしてみた様子。カッターや短艇類も細かく塗り分けました。

また、航空作業甲板上の艦載機に零観と水偵を1機ずつ合計2機配置しました。

もちろん、プロペラもエッチングパーツにて再現済みです。

カタパルトはハセガワ製のエッチングパーツに交換し、航空機運搬軌条は、
エナメル塗料にてリノリウム甲板塗装後に、一部塗料を剥がす方法でメリハリ
をつけました。


↑航空作業甲板および、水偵、零観の様子。

なお、艦載機のマーキングはデカールは使用せず、手書きで行いました。


***塗装について***

船体および甲板、また艤装のほとんどの塗装はエアブラシによって行いました。

艦橋の床面や防水キャンバス、短艇などの一部の色刺しは筆塗りによるものです

全てのパーツにはサフによる下地を作り、滑らかに仕上げました。

船体色はGSIクレオスMrカラーの軍艦色2、船底は艦底色、甲板の塗装は
発色を重視し、一旦黄色の下地を作った上で、自家調合の甲板色(タン、
ウッドブラウン、黄橙色等を調合)を吹き付けてあります。


↑全体の色調。

***空中線について***

空中線は、フラグシップの超極細テグスを着色して使用し、取り付けました。

要所要所にガイシを模した塗装を施してあります。

旗竿およびトップマスト&ヤードは真鍮線で自作し、強度を持たせました。


***展示台およびケース***

ケースはWLシリーズの完成品の定番でもあるWAVEのT-CASE WM(幅360
×奥行90×高さ100ミリ)を使用しています。

同ケースの台座には、タミヤから限定発売されたウェーブボードをクリアーブルー
に塗装したものを貼り、走航波を再現しました。

波再現は、最近製作レクチャとして紹介した鉄道模型用のシーナリー材料(ウォー
ターエフェクト)で行い、波頭の塗装にはリキテックスの「ジンクホワイト」を使
用しています。


↑ケースに収めた様子。


↑以前に、「銘板用デカールの発売に期待」と記載したばかりですが、
結局自分で作ることにしました。 今回は艶在りのゴールドラベルに
印刷したのですが、艶消しのものや、シルバーラベルを使用したり、
クリアーラベルをアクリル板等に貼って使ってみるのも面白そうです。




***総括***

HIGH-GEARed HOBBY WORKS!!の1/700洋上艦船模型ギャラリーの戦艦郡にあって、大き
な穴であった、戦艦陸奥を完成させ、ついに太平洋戦役における主力戦艦郡が全て揃い
ました。何か、やり残した事をようやく成し遂げたようで感慨深いものがあります(笑)。

これらの戦艦郡コンプリートは、2006年末までに終わらせることを目標にしていたので、
2006年12月の完成はギリギリのタイミングになりました。

冒頭に、「1/700洋上艦船模型の作例で、自分のコレクションになっているものは1隻
もない」と記載しましたが、2007年からは、ほぼ全ての作例を自分のコレクションと
して仕上げていく予定です。

予定としては、明治から年代順に日本海軍の主力艦を1隻ずつ揃えていくというもので、
日清、日露、(第一次大戦時の艦艇は難しそうですが)、太平洋戦争時と、主要な艦
艇をズラリと並べることを目標にしています。

何年かかるか分かりませんが、いつか必ず成し遂げて行きたいです。 今回の陸奥の
製作および、太平洋戦役の戦艦郡コンプリートは、その目標に向けてのひとつの区切
りの作品となりました。








SCALE MODELSに戻る


左側にメニューページが表示されない場合はここをクリック

艦船模型製作代行 モデルファクトリー ハイギヤードはこちら

スケールモデル完成品販売ネットショップ CHERRY&ANCHORはこちら

■管理人オススメ!本格海戦ゲームアプリ「蒼焔の艦隊」■


↑Android版のダウンロードはこちら↑

↑iOS版のダウンロードはこちら↑

フル3Dで作成された艦艇で迫力の大海戦を勝ち抜いていくゲーム。無料にて配信中!(一部有料アイテムあり)





inserted by FC2 system