1/350スケール 原子力航空母艦 エンタープライズ CVN-65
田宮模型製インジェクションキット














タミヤ 1/350 ゴールドメダルパーツによるディティールアップ

大和、三笠、雪風に続く、HIGH-GEARed HOBBY WORKS!!の1/350艦船模型作品は、
この縮尺のインジェクションキットでは、トランペッターのニミッツ級空母と並ん
で最大級のキットになり、全長は1メートルをわずかに上回るサイズです。

キットは安全&安心のタミヤキットとあって、また比較的新しい製品ですので、解
説書の指示に従い、ゴールドメダルの専用パーツを追加していくだけで、ストレス
なく丁寧に組み上げていくことが可能でした。

まずは、実艦の解説からです。


***実艦について***

アメリカ海軍が誇るCVN-65エンタープライズは、世界初の原子力推進航空母艦として
知られています。

空母建造の名門、ニューポート・ニューズ造船所に発注され、1961年11月25日に竣工。

新造時の満載排水量は89600トン、全長約341m、全幅約78m、出力28万馬力、速力36ノ
ット、艦載機94機、乗員数5500名。まさに史上空前といえる大型空母として完成し
ました。

冒険心、創意、大胆を意味するエンタープライズの艦名は、独立戦争で活躍した初代
の帆船から数えて8代目にあたります。 7代目のエンタープライズは太平洋戦争で
日本海軍と激しく渡り合い、群を抜く活躍ぶりから「ビッグE」のニックネームを
与えられた輝かしい戦歴を持つ空母でした。

その7代目のCV-8は1958年に解体されましたが、ニックネームは原子力空母として
誕生したCVN-65にそのまま受け継がれることになりました。

1967年、エンタープライズは、原子力ミサイル巡洋艦ロングビーチと原子力ミサイル
フリゲート艦部員ブリッジと共に第一原子力任務部隊を編成し、海上軌道作戦を
実行。 世界一周無補給航海を達成しました。

その後、1979年1月には第三回目のオーバーホールを実施。オーバーホールは改装工
事を含む大規模なもので、1982年3月にかけて行われました。艦橋部の改装および、
性能向上型レーダーへの換装。 艦防御システムの強化などが行われた結果、全天候
作戦能力を備えた空母としては、申し分のない性能を持つに至りました。

着艦誘導用レーダー、低空警戒用レーダー、衛星通信用アンテナをはじめ、各種通信
アンテナを備え、新しくSPS-48三次元レーダーとSPS-49対空捜索レーダー、そして
WL-8レーダー警報システムを装備。

兵装はNATOシースパロー対空ミサイル発射機Mk.29が3基と、20mmバルカンファランク
スCIWS三基です。 搭載機は戦闘機、攻撃機、給油機、対潜哨戒機、電子戦機、早期
警戒機、対潜ヘリコプターなどで構成されています。



***製作とディティールアップ***



↑タミヤの1/350エンタープライズの船体は、あまりに巨大なためか?または変形
防止のためか?はたまた箱のサイズをコンパクトに収めるためか?(目的が複
数あるのかもしれませんが)このように船首部分で二分割されているため、隙
間ができてしまうので、この隙間はパテで目立たないように修正しておきました。



↑製作順序は、組み立て前にある程度の塗装を済ませてから組み立てる方法で行い
ました。飛行甲板のマーキングは一部の書き込み不可能なマーキングを除いて大方
塗装表現しました。



↑もちろん、バウデッキの識別番号も塗装による
再現です。2ミリ幅のマスキングテープを細かく
貼って文字を作り、ベースホワイトをエアブラシ
塗装しました。



エンタープライズに限らず、大型艦船模型においては、甲板
と船体の接着を隙間なく接着するのはなかなか大変です。今
回は、甲板上の設備が少ない船ですので、マスキングテープ
でしっかり仮止めを行ってから船体を裏返しにし、流し込み
接着剤をまんべんなく流し込んで丸一日乾燥させました。
(手前の1/700氷川丸と比較すれば、その大きさが理解できますね)



艦橋はただ精密に再現されているというだけでなく、この
ように内部のフロアも際限されている所が魅力的です。艦
橋窓も開いて中が覗けるようになっているので、床面には
デッキブルーを塗装しました。レーダー類もゴールドメダ
ルのエッチングパーツに交換し、シャープな仕上げとしました。



これが今回使用したエッチングパーツ。いずれもゴールドメダルモデルズの製品
で、『GM-3502現用米海軍 エンタープライズ用』『GM3502A現用米海軍エンター
プライズ用エレベータ』『GM-3529用米海軍空母ニミッツ.エンタープライズ用
追加パーツ』です。基本パーツとなるGM-3502はもちろんですが、厚めのエッチ
ング板で再現されたエレベーターのパーツは意外と効果が高く、気に入りました。
逆にGM3529は、ニミッツ用のパーツがほとんどで、エンタープライズに活用でき
るパーツは少なめでした。


***細部の画像***


バウデッキの様子。各種白線、斑線の表示および識別番号は塗装による再現です。
また、飛行甲板全体にビッシリと並べられた眼環もひとつひとつエナメル塗料で
書き入れました。船首には転落防止ネットをエッチングパーツで再現してあり、
キットパーツのままの状態と比較すると抜群の精密度に仕上がりました。



艦載機は航行状態の配置に固定し、翼は折り畳んだ状態を再現するべく、一旦
切り離して再接着しました。



飛行甲板後端部に並ぶF-14トムキャット。黄色と赤色のエレベーター警戒線も塗装
再現です。アレスティングワイヤーはテグスによる再現で、スケールに合わせた立
体感を演出しています。



艦橋の全景。1/350艦船キットパーツの限界に挑んだ感のある開口された艦橋窓枠
が魅力的です。エッチングパーツに交換したレーダーも含めた「透け感」が精密
感を演出してくれているようです。



艦橋を右舷後方からローアングルで見た様子。舷側の細かなデッキ類の手摺類は、
飛行甲板上に設備の少ない船だからこそ、しっかり再現しておきたいポイントと
言えます。



なんだかマクロスチックですね。(笑)そういえば、同アニメのメカデザインは、某
可変ロボも含めて、この世界のデザインが多く採り入れられている気がします。最新
の洗練されたデザインの空母と違って、角ばった無骨な造型に逆に魅力を感じます。
たとえばイージス艦のような洗練されたデザインの艦よりも、赤城や扶桑のような
複雑な造型の艦の方が人気が高かったりするのと同じ理由かもしれません。



これは一見するとレーダー関連の艤装品に見えますが、実は近距離防空用
のバルカン砲です。エンタープライズをはじめとした近代空母においては、
通常の防空戦闘ではイージス艦からの対空攻撃や自艦のシースパロー等の
ミサイル兵器で行いますが、それらを掻い潜って攻撃してきた敵機やミサ
イルに対してはこの全自動バルカン砲で対処することになります。



これはフレネルレンズ式着艦誘導装置。灯火による着艦
誘導を発案したのは、実は日本海軍機動部隊であると聞
いた事があります。たしかに、ミッドウェー海戦時の艦
載機の不時着フィルムなどを見ると、米空母においては
誘導員が手旗信号を送っている様子を見ることができます。



エンタープライズの右舷後部の様子。飛行甲板裏側の補強板表現も
タミヤならではです。大きな飛行甲板のパーツは三分割されている
のですが、精度が極めて高いため、隙間も小さくて接着、修正作業
は比較的スムーズに行えました。



船尾左舷側の様子。このあたりは少々複雑なデッキ構成になっています。タミヤ
の解説書の塗装指示は、エナメル塗料の指定になっているため、床面のデッキブ
ルーはGSIクレオスMrカラーを自家調合したものを使用しました。



雄大な飛行甲板を見ると、日本海軍艦艇とはまた違った近代空母の魅力が見
えてきます。大海原に浮かぶ巨大な飛行場のようで壮観ですね。キットの良さ
も相まって、HIGH-GEARed HOBBY WORKS!!内の作例の中においては、誇れる
仕上がりになったと思っています。



***総括***

タミヤの1/350エンタープライズといえば、ニチモの1/200戦艦大和と並んで、艦船
プラモデル界を代表する大物と言えるキットですが、半年前までは自分がこのキッ
トを実際に組<むことになるとは思いもしませんでした。 

現用艦の製作例といえば、2004年8月に製作したマイクロエース製1/400エンタープ
ライズ(改装前)になるわけで、その後も何度か現用艦製作のお話はあったのです
が、ご縁があって実際に手をつけたのは今回の1/350エンタープライズになっていた
ということで、つくづくこの艦には縁があるなぁと実感しました。

タミヤの1/350キットでは、当サイトでは大和ばかりを取り上げていますが、以前に
は1/350ティルピッツ、1/350ミズーリ、1/350プリンス・オブ・ウェールズを製作し
た経験があるので、このエンタープライズを製作することでほとんどのクラスを制覇
し、残るはフレッチャー級のみとなりました。

キットは非常に組みやすく、2006年現在においても、これまで製作してきた1/350
キットの中では随一といって良い名キットと言って良いと思います。

今となっては既に存在しない日本海軍連合艦隊に想いをはせて作る模型も良いもの
ですが、今でも世界のどこかの海で活動している艦を作るのもロマンがあっていい
ものですね。 

この完成品は、例によって依頼によって製作したものですが、今回製作してみて、
いつか自分用の1/350ギャラリーにもエンタープライズを並べてみたいと強く思うよ
うになりました。






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