1/720スケール 航空母艦 グラーフ・ツェッペリン
Revell製インジェクションキット













ドイツレベル 1/700

ドイツ海軍といえば、英国海軍を震え上がらせ、鉄でできた大聖堂と言われたビスマルク級戦艦
や通商破壊で大きな戦果を上げたドイッチュラント級戦艦などが有名で、航空母艦が建造されて
いたことを知る人は意外に少ないようです。

グラーフ・ツェッペリンは1936年にドイチュベルケにて起工され1938年12月に進水、アドルフ・ヒッ
トラーが参列する盛大な進水式も行われたのですが、1940年4月には建造が中止されてしまいました。

その後は1945年まで未完成のまま様々な港に曳航、物置同然の扱いにて繋留放置され、ソビエト
軍の進行の影響で自沈しました。しかし、完全に沈没することはできず、終戦後ソビエト軍によって
引き上げが行われ、レニングラードへ曳航の後、完成させて使用する計画を行ったものの、曳航中
に触雷して破損。

最終的な運命は歴史の謎のひとつですが(雷撃処分されたとも解体されたとも言われているそう
です)、起工から10年もの間を経て完成されることなく、2度にわたって所有国自らの手で艦命を
終わらせられた薄幸の空母と言えます。

ちなみにこのグラフ・ツェッペリンの建造に際しては、日本海軍から航空母艦『赤城』の図面
提供を受け、エレベーター周りにその技術が使われたそうです。

キットはドイツレベル製のものでスケールは1/720。これにドイツ巡洋艦プリンツ・オイゲンと共用
になっているゴールドメダルモデルズの1/700エッチングパーツを流用しました。



↑艦橋周りのディティール。未完成艦ということもあって考証にこだわることなく、自由な発想で
組み立てていきました。



↑艦首のハーケンクロイツ。

このハーケンクロイツの再現は塗装によるもので、塗料の隠ぺい力を考え、

白(クレオス灰色9号)

赤(同RLM23)

黒(同カウリング色)

の順番で塗装しました。

まず、赤帯の下地として灰色9号を帯状に吹きつけ、ラウンドカッターで切り抜いたマスキングテ
ープで白丸をマスキングし、赤帯を吹きます。これで赤帯の発色もよくなると同時に白丸も完
成して一石二鳥というわけです。そしてカギ十字は一本一本の直線をマスキングして手書きしました。

この艦首のハーケンクロイツ再現のための資料なのですが、キットカタログやドイツ艦を扱った洋
書などを見ると、再現は白丸のみで終わらせてあり、カギ十字の形状が正確に表記されていませ
んでした。ひょっとしたら欧米では表現禁止の法律でもあるのかもしれませんね。(教育上の問題でしょうか?)



↑艦橋の形状はキットそのままです。手摺はドイツ艦用3段レールを船首および船尾上に使い、
構造物上は2段手摺を使い分けました。2段手摺は日本海軍用の流用です。レーダーはグラーフ・
ツェッペリン専用のエッチングパーツを使用。



↑艦載機はキットに付属していたBf109T6機、Ju87C6機の合計12機です。塗装なども詳しいことは
わからないのでボックスアートやその他の完成例を参考にしました。エッチングパーツでプロペラ
を追加してあります。写真は付属のBf109T。



↑そしてこちらはJu87Cです。個人的にとても好きなフォルムの爆撃機です。国籍マークはデカール
を使わずに手書きで再現しました。



↑全体像。マストは倒した状態を再現しました。日本空母よりも複雑なパターンの空中線が張られて
いたようです。ビスマルク同様の迷彩もなかなか似合っていてドイツ艦らしい堅牢な中にも気品のある
雰囲気がありますね。




**総括**

1/720スケールは日本の1/700スケールに対してドイツレベルやイタレリなどのヨーロッ
パの模型メーカー各社が統一スケールとしているもので、コレクションサイズとして一般
的なものです。

このギャラリーには初登場のドイツ艦ですが、個人的には幼少の頃よりドイツ艦は日本
艦と同じくらい好きなもので、ビスマルク級、シャルンホルスト級、ドイッチュラント級など
1/700や1/350スケールのものを数多く製作しました。

資料の少ない艦とあって、キットの信憑性などはあまり問題にせず、いかにドイツらしさ
を出すかという観点から、『鉄板張の飛行甲板』、『船首飛行甲板上にハーケンクロイツ
塗装を施す』『ビスマルク同様の艦種識別困難を目的とした2色ストライプ迷彩を施す』
の3点の特徴を推測して製作しました。

キットの合いやモールディングはほどほどに良くできていたので、こうしたポイントをひとつ
ひとつ集中して作業できました。苦労したのは日本艦艇でもいつも行っている舷窓のさら
い直しで、舷窓が左右に合計800個ちかくあるこの艦の場合、ピンバイスで穴をあける作
業だけでも4時間近くを消費しました。

せっかく完成したこの艦ですが、不幸にも完成直後の輸送中の事故で現在は存在しま
せん。(とことんまで薄幸な艦命を背負っているのでしょうか?)以前1/350戦艦大和でも
あったことですが、1年に一回くらいのペースで事故による模型喪失が起こってしまうみた
いです。よって、改めて第二段の製作を4月に予定しています。





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