1/700スケール 高速戦艦 金剛 
HASEGAWA製インジェクションキット













ハセガワ 1/700

金剛級戦艦は日露戦争直前に計画されましたが、1906年に就役した
英巨大戦艦ドレッドノートの影響を受けたこともあって、金剛級1番艦に
あたる金剛をイギリスのヴィッカース造船所に発注し、残りの3艦を国産
で造艦するという珍しい策がとられました。

そうして金剛は1913年に無事竣工しました。しかし、その後英独艦隊が
激突したジュトランド沖海戦において、巡洋戦艦特有の上面防御力不
足が明らかとなり、金剛はこの戦訓を取り入れて防御力の強化を計るべ
く第一次改装に着手、1931年に改装が完了しました。しかし改装によ
り速度が低下し、巡洋戦艦から戦艦へと艦種も変更されました。

その後数年で第二次改装に着手し、金剛本来の高速性能を取り戻し、
また航空機の発達に伴う航空兵装及び対航空兵装も強化され、結果
30ノットという優速の高速戦艦に生まれ変わりました。

開戦後は近藤中将指揮下のマレー攻略部隊に配備され、同型艦榛名
と共に第1艦隊第3戦隊を形成していました。その後南雲機動部隊に編
入されインド洋作戦に参加、1942年6月のミッドウェー海戦時には三川
中将の指揮下にあってミッドウェー攻略部隊に加わりました。

ミッドウェーでの敗戦のあとにはトラック島に進出し、ガダルカナル島ヘ
ンダーソン飛行場砲撃作戦に投入され、僚艦榛名と共に合計918発の
36cm砲弾を叩き込みヘンダーソン飛行場を火の海とするなどの大戦
果をあげました。

その後、マリアナ沖海戦では小沢中将指揮の空母部隊前衛として出
撃して奮戦、レイテ湾突入作戦では栗田艦隊の中核として参加、レイ
テ湾頭サマール沖海戦で米空母ガンビアベイを砲撃により撃沈、さら
に駆逐艦群にも大きな損害を与えました。しかし、その戦闘の際に至近
弾5発を受けて損傷、修理のため根拠地のブルネイ泊地から日本本土
に回航される途中、米潜水艦シーライオンの雷撃を受け沈没しました。

太平洋戦役に置いては日本海軍戦艦郡の中にあって最古参の艦と
いわれた金剛ですが、実際の戦闘ではその機動性を生かし、最も武勲
をあげた戦艦として有名です。


模型の全長はおよそ32cm


今回も国内最大の1/700洋上モデルブランドのウォーターラインシリー
ズの高速戦艦金剛のHASEGAWAキットをベースに使用しました。


船体鳥瞰、前方から


船体鳥瞰、後方から

まず、船体側面の舷窓をすべてピンバイスでさらいなおしてモールドのめ
りはりを強調し、成型の都合で省略されている舷窓や構造物側面の丸窓
などを追加しました。

砲塔はピットロードのGB-03日本海軍戦艦用36cm砲塔セットのレジン砲塔
を使用しました。この砲塔はキットに付属の砲塔では省略されている砲身
基部の防水布や測距儀付の砲塔と測距儀無砲塔とで位置の違うタラップ
の形状がシャープに再現され、鋼板の重なり具合などもより実感的に表現
されています。 

また、砲塔の砲身には同じくピットロ−ドの真鍮挽物砲身を使用。真鍮製
ですのでバリもなく、砲口も確かなスケール感で再現されています。

甲板周りや艦橋、中央構造物などに配置した手摺はゴールドメダルモデルス
のPE-12日本海軍戦艦用エッチングパーツによるもので、このパーツ郡から手
摺やタラップなどといった基本的なものを中心に、21号電探、測距台ヤグラ、
カタパルトやクレーンを使用。実物に準じたトラス構造にて再現しました。

探照灯はファインモールドのクリアーパーツを使用し、レンズ部分を残して
塗装、反射鏡をシルバーに塗装することによって透明レンズを再現しました。


↑甲板側面の手摺や測距儀台トラス、クリアーパーツを使用して実感を増した
探照灯(画像中央)の様子。高角砲も観測室床面を切り取って実感的に加工しました。

機銃は25ミリ2連装および3連装機銃を全てピットロードの艦船装備セットの
2ps構造の立体的なパーツに交換し、高角砲は静岡模型協同組合のリニュ
ーアルパーツに交換(金剛キットにはリニューアルパーツが付属していない
ので)し、観測室の足の部分を切除して床面から浮き上がった実物に準じた
形状に加工しました。


↑煙突甲板につながるタラップの様子です。

錨鎖はフラグシップの超精密チェーンを使用し、プラのモールドと置き換えま
した。これで本物の鎖独特の立体感が表現できました。


↑精密チェーンに置き換えた錨鎖とレジン&真鍮製のピットロードパーツに
交換された36cm主砲の様子です。


↑ピットロード製に交換した25mm機銃

艦載機は愛知零式三座水偵をエッチングカタパルトの上に一機と移動
レール上に一機の合計2機配置しました。 プロペラはエッチングパーツ
を貼り付けて再現しました。 

マーキングはデカールではなく、全て塗装によるもので、耐久性も考慮し
ました。


↑航空作業甲板と愛知零式三座水上偵察機


空中線の再現には今回は0、6号釣り糸(太さ0、128mm)を着色して使用
しました。取りつけは全て瞬間接着剤によるものです。

空中線基部はガイシを模して白色塗料を塗装してあります。


↑空中線の様子、艦橋付近

塗装はスケール性を考慮した上で船体やパーツの本塗装の前には塗装後
の塗膜の発色を良くするために、ホワイトサーフェーサーで下地を作った白
たちあげにて塗装しています。

船体色の再現にはエアブラシを使い、白下地の上からGSIクレオスの32番を吹
きつけました。


↑艦橋を下から見上げた様子

木甲板色の再現にはGSIクレオスのタンをベースに吹き付けた後、
ウッドブラウン、黄燈色等を薄めたものをコートして木甲板独特の立体的な
色調を表現しました。

艦橋床面のリノリウム再現は一層ずつ筆塗りによる手作業で塗りワケました。

窓枠は開口してはいませんが、スミ入れによって立体感を強調してあります。

台座の海面を模した塗装はクリアー系を含め、ホワイトとブルー系の塗料を
まだらに重ねて吹き付けて再現したものです。画像で見るより実際には色ムラは
多めです。




**総括**

ウォーターラインシリーズにフジミのキットしかなかった時代から金剛型高速
戦艦はお気に入りの艦で、リニューアル前後あわせると5〜6作目になるの
ですが、リニューアル後のキットは組めば組むほどにその独特の味が分かっ
てきました。

航空作業甲板の形状やスポンソンの大きさ、防空指揮所の形状の問題など、
考証派の方々からはあまりウケの良くない部分もありますが、パーツのまとめ
方や細部の彫刻再現と省略のバランスが良いので、組み立てやすく、誰にでも
スタイリッシュな艦容が再現しやすく作られているという点で、ディティール重視
でパーツ構成が難解化してきた最新のハセガワキットと比較して、今見れば
高く評価できる点が多いと思います。

エッジもそれなりにシャープに仕上がっているので、金剛型独特のウエッジの
効いたメカニカルな魅力も充分に再現されています。船体パーツは分割式
ではありませんが、その分カッチリと塊感のある造形で乾舷の低さも相まって
どっしりと落ち着いた造形になっています。

この点は、ウォーターラインシリーズの中の全戦艦キットの中で最もキレイにま
とめられた造形ではないか?と考えています。美しく組む際の注意点としては、
船首のヒケが大きいので、これから組む方にはそのあたりの処理をしっかりや
っておかれることをオススメしたいです。






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