戦艦 大和
タミヤ 1/350 徹底ディティールアップ決定版






↑大和型戦艦のディティールアップで最も楽しいのは、この中央構造物のディティールアップです。たくさん
のパーツを取り付けて生活感を出していく作業は、時が経つのも忘れさせるくらい魅力的です。



中央構造物のディティールアップ

1/350戦艦大和徹底ディティールアップ決定版の製作記は、いよいよ最もディティールアップしが
いのある中央構造物にきました。

この部分は、大和型戦艦のあらゆる機能が集中し、その構造美を支える中心部分でもあるのです
が、その反面、キットでは型抜きの都合上、どうしても細部のディティールを省略しなくてはならない
ため、補うべき部分が多く、腕とセンスが問われる大きな見せ所となります。

この、中央構造物へのHIGH-GEARed個人の解釈は、映画「男たちの大和」のロケセット見学を期
に、大きく変わりました。 

ロケセットを見るまでは、いくら精密な模型や図面があるとはいえ、実際の人間の大きさと比べて
みたりする事はできませんし、また甲板にいる人間の視線からは、構造物がどのように映るかは、
想像するしかないわけですが、原寸大のセットに乗艦することで、「最上甲板に立った時、高角砲
甲板はどれくらいの高さに見えるのか?」「缶室吸気口の大きさはどれくらいか?」「手摺を取り付け
るとしたら、どれくらいの高さが実感的か?」といった、これまで蓄積していた疑問に対する答えを
肌で感じることが出来ました。

このような体験は、原寸大のセットが作られ、一般公開されることがなければ永遠に知ることができ
ないもので、今回はこうした体験を元に、1/350戦艦三笠製作の時と同じように、「実艦に乗艦して
いる気持ち」で製作を進めることができました。 その結果、原寸大セットに乗艦することがなかった
場合には、恐らく再現していなかったと思われる部分にも多く手を入れることが出来、「男たちの大
和製作委員会」には足を向けて寝ることができない思いです。(笑)

ネットで情報収集をしていると、「男たちの大和」を見て、重箱のスミをつつくような事を言ってケチ
をつけている大和ファンの方を見かけることも多いですが、あれほどまでに素晴らしい映像の製作
と、素晴らしいセットの一般公開を行ってくださったスタッフの方々には、もっと感謝する気持ちを
持っても良いのではないか?という気がします。



↑中央構造物のディティールアップは、まずサフ段階で滑り止め鋼板を貼り付けるところから
始まります。グレーの部分にはエデュアルド製、ゴールドの部分にはライオンロア製のパーツ
を使用しています。 今回は、できるだけ滑り止め鋼板をエデュアルド製の物に統一していく
予定でしたが、同社のパーツの設定のない部分にのみ、やむなくライオンロア製を使用しま
した。なお、同じエデュアルド製のエッチングパーツでも、高角砲甲板には大和用を使用し、
探照灯甲板および電探室甲板、後部艦橋基部甲板は武蔵用にしか設定がないため、武蔵
用を使用しています。 



↑この時点で、構造物側面の丸窓をピンバイス加工であけ、扉類を接着します。



↑水密扉は今回はライオンロア製のパーツを使用しました。本当は右開きと扉と左開
きの扉を区別したかったのですが、ライオンロアの水密扉は全て右開きに設定されていた
ため、構造物基部の扉は全て右開きになりました。(艦橋に設置された扉は区別してあり
ます)扉の左脇にみえるソケットケースは、「男たちの大和」ロケセットを参考にしたもので、
このスケールになりますと少々オーバースケール気味ですが、プラバンで自作して、各部
に張りつけておきました。



↑「D字」形状の通風孔は、革細工用の丸ポンチで抜き出したプラバンをデザイ
ンナイフで加工して自作しました。これも若干オーバースケールですが、直径
1、5ミリのサイズでの再現になります。



↑高角砲座を繋ぐ張り出し部分にある吸気口は、「男たちの大和」ロケセットを参考に
したもので、この部分のパーツはエデュアルドの大和用のみの設定です。映画では、
破れた吸気口の柵の中から兵士が上半身を乗り出す場面がありましたが、大和ミュー
ジアムの1/10戦艦大和では、この吸気口は再現されていません。



↑今回は機銃位置だけでなく、機銃射撃指揮所の位置関係も、最新考証にあわせ
ました。特に、左上に指定している増設指揮所の位置関係は、近年明らかになった
ばかりのもので、大和ミュージアム1/10戦艦大和にも採用されている配置です。

この指揮所の位置は、従来は探照灯の撤去跡に増設されていたという説が有力で
したが、その後探照灯は実は撤去されていないことが判明し、この増設指揮所の場
所は写真解析によって明らかになったものです。

ちなみに、映画「男たちの大和」では、この増設指揮所の位置関係がなかなか興味
深い事になっています。

実物大ロケセットでは、この増設指揮所の配置は従来考証のまま、探照灯撤去跡
に設置されているにも関わらず、1/35スケールの特撮ミニチュア模型では大和ミュ
ージアムと同じ場所に増設スポンソンを新設した上で取り付けられています。

特撮に使用されたミニチュア模型は、大和ミュージアム1/10大和のスタッフが手がけ
られた作品ということですので、1/10戦艦大和と同様の配置になったものと思われます
が、機銃シールドの形状や、高角砲射界制限枠の省略などの点を、ちゃんと実物大
セットに合わせているにも関わらず、機銃射撃指揮所の位置関係が違っているところ
を見ると、ロケセット班と特撮班との間にわずかな連携ミスがあったのかもしれません。 

なお、右下の高角砲甲板上の機銃射撃指揮所の配置は、左上の指揮所とは逆に、
ロケセットでは採用されているものの、大和ミュージアムでは採用されていません。

大和ミュージアム、実物大セットともに、お互い最新考証を参考に作られているもの
ですが、それぞれに解釈の違いがあるところが興味深いです。

前置きが長くなりましたが、今回の1/350決定版大和の機銃射撃指揮所は、片舷
二箇所の形4箇所を増設するため、タミヤにアフターパーツを請求しました。



↑この後、甲板塗装の頁でも紹介しましたマジックアートのマスキングシートによる中央構
造物の塗り分けを行うのですが、缶室吸気口などの色の周りの良くない部分は、先にキット
パーツとエッチングメッシュパーツとの接着を済ませ、エアブラシで縦横から塗料を吹きか
けて塗装をムラなく仕上げ、取り付けを待ちます。



↑そして、塗装が終わった中央構造物に接着していきます。それまでのっぺりして
いた構造物に、徐々に立体感が出てくるようで、楽しい作業です。いつか腕をあげ
て吸気口の背面も抜き、メッシュ裏に空間が続いていくような再現にも挑戦して
みたいです。



↑第八缶室吸気口側面のラッタルは、機銃射撃指揮所の位置変更の影響を受けて、この
ようなアクロバティックな移動を求められる形状となりました。このラッタル構成も、大和ミュ
ージアム1/10戦艦大和を参考に採用しました。



↑探照灯甲板の艦橋取り付け前の様子です。各指揮所背面にはハッチとラッタルを装備
しています。右端の5番、6番(?)機銃指揮所の中間には橋が架けられていたという説もあ
り、これはエデュアルドのパーツを使用して再現することが可能なのですが、今回は左右
それぞれが独立した再現としています。



↑吸気配管のやり場に困って空けられたと思われる9番、10番高角砲背面の空間
には、移動の際に必要と考えられるラッタルと、中央構造物への出入りを可能とす
る扉を設置してみました。この部分の再現に関しては、資料の類は全くないと言っ
ても過言ではないため、乗組員の移動の利便性を考えて検討した結果、HIGH-
GEARedの脳内から生まれた完全オリジナル考証を採用しています。



↑電探室甲板と後部艦橋の背面部分の中間点にあたる壁面部分には、大和ミュージア
ム1/10戦艦大和での再現を参考に、ベンチレータをプラバンで自作してみました。



↑円形状の機銃座は、ランナー状態でエデュアルドの滑り止め鋼板を先に張りつけてから
塗装すると作業性がアップします。



↑塗装を終えて接着を待つ円形状機銃座。このような塗装方法の場合は、ニッパーでゲートを切
り取った後に、しっかりゲート部分をペーパーで整え、タッチアップすることを忘れてはいけません。



↑複数のパーツを組み付け、完成させた状態で塗装する際に
は、このように接着面に穴をあけて爪楊枝などを刺し、持ち手に
して塗装すると便利です。



同様に、後部艦橋両脇の機銃射撃指揮所の設置台後部にもラッ
タルを再現します。今回は1/200ファインディティールのような四角
柱形状への修正は施しておりません。



↑これは電探室左右の機銃スポンソン直下にある見張り所のパーツです。
ラッタルのパーツを貼り付けて観測窓の窓枠を簡易再現してみました。



↑続いて、高角砲および高角砲座を取り付けます。シールド無しの高角砲座は、その後ホワイト
エンサインの機銃座滑り止め鋼板を流用し、ターンテーブル上の滑り止めモールドを付け足しま
した。今回の製作記では、各パートで構造物ごとの製作状況を詳しく説明していますが、取り付
けまでに気が変わって、結果的には作業を追加したり、修正したりした箇所が多々あります。
これらの詳細は、「その他の艤装」の頁で後に詳しく解説予定です。



↑各種ディティールアップを終えた後部電探室および高射指揮所
近辺の様子。マストはまだ取り付けておりませんが、この部分も各種
艤装の運用形態を想定し、ラッタルや扉を数多く再現しました。
我ながら、なかなか生活感溢れる区画に仕上がった気がします。



↑シールド無し高角砲と探照灯を接着。探照灯につきましては、後ほど紹介し
ます。



↑艦橋、煙突、マスト、後部艦橋などを取り付ければ、いよいよ威風堂々たる大和の威容が姿を見せ始めました。



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