戦艦 大和
タミヤ 1/350 徹底ディティールアップ決定版






↑アピールポイントとしては意外に大きい航空作業甲板。今回は膨大な物量を生かして徹底
したディティールアップを行いました


航空作業甲板のディティールアップ

航空艤装の頁にも記載しましたが、大和型戦艦は7機の水上機を運用できる設備を持っていま
した。 しかも、これらの水上機は従来の艦船のような露天収納ではなく、7機全機を艦内の格納
庫に収納できることが可能な大規模なもので、主砲発射時のブラストから、艦載機を守るために
施された設備でした。 

ちなみに、大和型戦艦のような大規模な格納庫を持っていない従来型の戦艦などでは、砲戦の
際には水上機を海中投棄し、機密保持のために機銃掃射処分をするなど、物資の乏しい日本
海軍にとっては非常に苦しい決断を迫られることがあったと言われています。

なお、大和型戦艦の航空作業甲板の床材は、従来はコンクリート張りと言われてました。終戦時
の伊勢型航空戦艦の航空作業甲板の写真などを見ると、爆弾を受けた破孔周りの破片が確かに
コンクリートに見えるので、そうした解釈が広がっていたようですが、現在では元乗組員の証言な
どから、どうも鉄板であったのではないか?という考え方が出てきました。

この部分の再現に関してはいろいろ検討してみたのですが、結局今回の1/350徹底ディティール
アップ決定版の作例では、見慣れたコンクリート張り考証で各部を再現してみることにしました。

また、鉄板は航空機運搬軌条直下の床面にのみ、滑り止めモールド入りで部分的に張られていた
という説もあり、ライオンロアの運搬軌条エッチングパーツはその考証を取り入れているのですが、
武蔵公試中の写真を確認するかぎり、そのような状況は確認できないため、今回は運搬軌条に
ゴールドメダルの追加エッチングパーツを使用しています。



↑航空機運搬軌条をエッチングパーツに交換するため、今回はまずキットパーツの運搬軌条モ
ールドを切削するところから作業を開始します。1/200の時と違って、表面にはザラ目モールドなど
は施されていないため、安心してノミやサンドペーパーをかけることが可能です。



↑軽くノミで削り取った運搬軌条。このモールドは、この後エッチングパーツの取り付け穴をあける
ガイドとして利用するため、この時点では完全に削ってしまわずにある程度残しておきます。



↑続いて、航空作業甲板側面の張りだし甲板のスノコ状の部分を抜きます。まずは、このように
抜きたいモールドの端をなぞる様にしてピンバイスで穴をあけてから・・・。



↑デザインナイフで穴と穴を繋ぐように切り繋ぎつつ、内部を切り取ります。




↑あとはヤスリやサンドペーパーで表面を滑らかに整えて、無事モールド抜き完了です。



↑右舷側も同じように処理してやります。なお、左舷側の張り出し機銃座は、坊ノ岬沖海戦
の際、左舷後部に被雷した時に猛烈な水柱を受けて、兵員を乗せたまま弾き飛ばされ、
海面に落ちたと言われています。ちなみに坊ノ岬沖海戦で艦橋に配属され、生還された
山森直清氏の大和乗艦当時の配置は、この航空作業甲板脇の25mm三連装機銃だった
そうです。



↑続いて、完全に消してしまう前の航空機運搬軌条モールドをガイドに、エッチングパーツ
の運搬軌条を取り付けるガイドのラインをマーカーで記しました。この画像では、キットの運
搬軌条モールドに合わせたラインをマーキングしていますが、後に図面で確認できる省略
された箇所も追加しておきました。



↑続いて、コンクリート甲板の継ぎ目もマーキングしていきます。この継ぎ目に関しては、一次資料
がないので、見た目にバランスが良いと思われる配置にしました。なお、大和ミュージアムの1/10
戦艦大和では、横方向の継ぎ目のラインが交互にくるように配置されています。 今回の決定版
大和では縦横一直線に線を引き、左右対称の配列としています。

雑誌などの有名な大和作例を見ると、この継ぎ目をプラバン貼り付けなどを施して凸モールド
で再現している例が多いのですが、今回の決定版大和では、スジ彫りを入れた凹モールドで再現
してみました。定規を当ててPカッターで彫りこんでいくのですが、失敗が許されない作業ですので、
大変な緊張を強いられます。



↑スジ彫りを入れ、エッチング運搬軌条の取り付け穴を開けおわった状態です。取り付け穴は、
0、3ミリのピンバイスで500箇所くらい開けました。 作業の途中でドリル歯が折れる事態を想定し
て、同じ径の歯を3本買い込んであったのですが、結果的には歯が折れることは一度もなく、幸
いにも一本の歯のみで間に合わせることができました。



↑航空作業甲板を取り付ける前に、船尾の格納庫および錨甲板を先に取り付けます。
この部分は、格納庫扉を開けた状態に設定しました。内部に運搬軌条を敷設した他、
扉の下面のガイドレールをプラバンで自作して貼り付けました。また、純正でモールド
されている、航空作業甲板へ上がるための階段モールドも、エッチングタラップに交換
するため、切削しました。



↑そして航空作業甲板(というか甲板パーツ)を船体に接着。これは張り出し部
分を船底方向から眺めた様子です。本来なら、この部分には張り出し部分を支
える支柱があるのですが、「船体の下地処理」の頁で切削してしまったため、支
柱はありません。綺麗にあけたスノコ部分の穴は、クレーンレールで少しばかり隠
れてしまいました。



↑切削した支柱は、エッチングパーツで付け足します。この部分のパーツは、
ゴールドメダル追加パーツ、ライオンロア「真実の大和」セット、そしてホワイト
エンサインのパーツに設定があるのですが、スノコ部分を抜いてしまった関係で、
サイズの合うものはホワイトエンサイン製のものだけになりました。ということで、
今回はホワイトエンサインの支柱を使用したのですが、使用部位が部位だけに
(お互いに変形のある船体と甲板どうしの継ぎ目)、支柱パーツを切り詰めるな
どの、若干のサイズ修正が必要になりました。



↑支柱取り付け部分のスノコ部分を上から見ると、このような横棒に見えます。航空作
業甲板のコンクリート部分の塗装には、GSIクレオスMrカラーNo31軍艦色1を使用。 
Pカッターで入れたスジ彫り部分には、タミヤエナメルのダークグレイでスミ入れを施し、
メリハリを強調しました。



↑スノコ部分の下処理が完成したので、いよいよスノコパーツ(?)をはめ込みます。今回使用した
のは、ライオンロアのパーツで、その周りに使う滑り止め鋼板はエデュアルド製です。



↑メーカーが違うため、スノコ部分の解釈が異なり、エデュアルドパーツは内火艇格納庫から伸
びるラッタルを差し込む穴が使えない形状になっている関係で、邪魔になっている滑り止め鋼板
部分は切り取ってから組み合わせました。



↑組み合わせて貼り付ければ、スノコ部分のディティールアップも無事終了です。



↑船底方向からみたスノコ部分の様子。「船は精密に作られたマシンである」ことを実感させ
られるショットです。内火艇搬入口周りのラッタルや踊り場の再現をどうするかは、、この時点
ではまだ検討中です。 ホワイトエンサインの支柱構成が思った以上に複雑なので、少し考
える必要がありそうです。



↑リノリウム張りであったことが近年明らかになった夜間歩行帯は、押さえ金具にライオンロアのエ
ッチングパーツを使用、歩行帯本体は、プラバンで自作しました。 塗装は、歩行帯本体にはタミヤ
スプレーからビンに移してあったリノリウム甲板色を、押さえ金具はちょっとワザとらしく見えてしまい
ますが、GSIクレオス スーパーメタリックカラーのスーパーゴールドをそれぞれエアブラシ塗装しました。
パーツ自体が真鍮製ですので、メタルプライマーだけでも良いかと思ったのですが、長期保存に
よる経年変化と表面保護を考え、塗装しました。



↑リノリウム歩行帯も、無事に接着完了。明るいグレーの甲板色に、ブラウンとゴールド
の歩行帯が随分鮮やかに見えます。



↑最後の仕上げは、運搬軌条の貼り付けです。ゴールドメダル製のパーツは、均等な長さ
のレールが用意されているだけですので、適材適所の現物合わせで切り合わせ、貼り付けて
いきます。 運搬軌条のエッチングパーツは、他にライオンロアと、ホワイトエンサインに設定が
ありますが、いずれも手摺パーツ同様の取り付け台座の付いたイモ付け式のもので、穴を開
けて取り付ける仕組みのものは、ゴールドメダル製のパーツのみです。取り付ける際の難易
度は他メーカーのパーツより若干高いですが、レールが支柱によって持ち上げられてい
る様子が最も実感的に再現できるのは、この方法ですので、大いに気に入っています。



↑運搬軌条をアップにすると、このような立体感が見て取れます。5〜6年前に、このようなメカ
メカしいディティール再現が施された大和を本で見て、それ以来 艦船模型が大好きになりました。



↑カタパルト取り付け部の近くにある階段部分は、キットのモールドを削ってライ
オンロア製のタラップに交換しました。



↑機銃および指揮所の取り付けや、第三主砲塔の砲身の下にある吸気口などの再現はまだ行っ
ておりませんが、航空作業甲板の大改装は、ほぼこれで終了です。



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