戦艦 大和
タミヤ 1/350 徹底ディティールアップ決定版






↑船体と甲板が揃えば、いよいよ大和完成へ向けてのスパート開始です。


甲板の塗装

実艦の大和型戦艦では、最上甲板は従来までの船尾付近で一段下げる方法ではなく、全通式
の甲板が採用されました。

これは、本来なら段差を設けるべき部分に角度を持って対応させ、強度材の重量を軽減する目的
で行われたもので、特に第一主砲塔の後部のきつめに勾配がつけられた区間は「大和坂」と呼ば
れて大和型戦艦の美しい艦容を形作る大きな要素になっています。(この坂、武蔵では何と呼ば
れていたのでしょうか?)

また、最上甲板の木甲板には、従来艦艇の甲板材としてよく使用されていたチーク材ではなく、
檜材が使用されたと言われていますが、これは国産できないチーク材などを大量に発注するこ
とによって、機密が海外に漏洩する可能性を警戒した結果と言われています。

大和の最終時の甲板色は、2006年現在では、従来良く話題に上っていた黒塗装ではなく、木甲
板色のまま(黒塗装が剥がれた結果)であったという考証が有力になってきました。 しかし、開戦
当時の日本海軍艦艇のような、手入れの行き届いたデッキタン色ではなく、褪色が進んだグレー
に近い色合いになっていたと言います。

黒にしても、グレーにしても、大和を愛する人間としては、あまりに華やかさに欠けて寂しく感じる
ものですし、考証とイメージのバランスを上手く融合させてこそ、自分のための模型製作になるわけ
ですから、今回はイメージに合わせて自分で調合した木甲板色の塗料を使用しました。

実はこの塗料は、2006年1月に1/350戦艦三笠ファインディティールを製作した時に作って残して
あったもので、外舷色も統一されているため、2隻を並べて見る際にも丁度いいと考えました。


↑これまでの1/350戦艦大和の作例では、作業性を考えて先に船体色を塗装、その後にバーベ
ッドや中央構造物をマスキングして木甲板を塗装することが多かったのですが、今回は新兵器を
導入したため、これまでとは逆に甲板から塗装を開始します。 HIGH-GEARed HOBBY WORK
S!!の作例では御馴染みになった方法ですが、今回もサフ吹きの後、黄橙色を吹き付けるとこ
ろから塗装を開始します。 この黄色下地を施すことで、塗装後に船体部分との発色の差が歴然
となり、また隠ぺい力に乏しい木甲板色の隠ぺい力を支えてくれる働きもあるので、結果的に厚
塗りを防止することも出来るため、今では欠かせない作業になりました。


↑続いて、自家調合の木甲板色を吹き付けます。黄色下地の効果が良く効いていて、厚塗りし
なくてもしっかりと明るく発色してくれました。 調色には、GSIクレオスMrカラーのNo43ウッドブ
ラウン、No44タン、No58黄橙色、No55カーキを使用、フラットベースをかなり多めに調合して
強めの艶消しとしました。


↑ここで、バーベッドや中央構造物その他を塗り分けるための秘密兵器がいよいよ登場します。近年、飛
行機モデルのキャノピー用などとして急速に普及してきているカット済マスキングシート、いよい
よ大和用が登場したので早速採用してみました。 この製品は「モデルファクトリーハイギヤード」
製のマスキングシートで、webショップ『CHERRY&ANCHOR http://www.cherry-anchor.com/ 』にて全国通販受付中です。

●『モデルファクトリーハイギヤード 艦船模型甲板塗装用マスキングシート』掲載ページ
http://www.cherry-anchor.com/shopbrand/ct14/


↑早速、甲板塗装の終わった甲板パーツに、モデルファクトリーハイギヤードのマスキングシートを貼り付けてみま
した。シートはこのような黒いビニールシートですので、エッジが目立って良好な作業性を実現して
います。また、かなりの伸縮性があるので、位置決めに少しくらい失敗しても修正しなおすことは
比較的容易です。上手く貼りつける自信のない方は、切り取り線以外にも多数の切れ目を作って
細かく分けて貼り付けていけば、失敗の可能性も少なくなると思います。


↑とはいえ、多少の失敗が起こってしまうのは仕方のないことですので、2mm幅程度のマス
キングテープを使用して細部を修正しました。(修正用のテープは、このマスキングシート
のセットにも含まれています) シートの切れ目はテープで塞いでおけば、塗料が吹き込む
可能性も少なくなるので安心です。


↑切削した丸型機銃座の部分は塞いでしまってもいいのですが、この部分は後に八角機銃座を
取り付ける際のガイドとして使用できますので、塞がずにこのまま塗装します。


↑マスキングが終われば、すぐに船体色を塗装したくなってしまいますが、ここは焦らずに、もう
一度甲板色を吹付けます。これにより、シートの端にできた隙間部分など甲板色の塗料が入り
込み、後から船体色等を吹き付ける際に、塗料の吹き込みを防いでくれると同時に、シートの
めくれ防止にも役立ちます。 この方法は、超精密塗装が必要なNゲージ鉄道模型の組み立
てキット(板キット)の塗装などに良く使われる「滲み止め」と呼ばれる方法で、艦船模型の塗
装の際にも、非常に役に立つ便利なものです。


↑そして、今回順番に仕上げてきた各兵装、艤装パーツの例に漏れず、船体色の下地には船底
色を吹き付けます。しかし、甲板パーツの赤茶下地は、マスキングを剥がしたときに階層となって
出てくる危険があるため、木甲板と構造物の境目付近は薄めに吹くようにします。 

この赤茶下地が乾燥すれば、あとは呉海軍工廠色をエアブラシで吹き付けて仕上がりです。

HIGH-GEARedの悪いクセなのですが、最後の仕上げを終えると、つい安心してしまうのか?塗装
状況の写真を取り忘れてしまいました。今回は 船体の仕上げの部分でも同様の失敗をしてしまい、
一番肝心な部分の画像をアップできず、反省しています。(笑)


↑よって、船体と甲板パーツを接着し、主砲塔も塔載したところまで、いっきに飛んでしまい
ます。波避板や、その背後の通風塔周りの塗り分けの美しさを見れば、モデルファクトリーハイギヤードの
マスキングシートの威力が良く分かります。バーベッドや舷側部分との発色の違いも明らか
で、地味な作業をここまで続けてきた苦労が報われた思いです。


↑中央構造物の塗り分けも、まるで別パーツを取り付けたようにシャープに決まりました。従来ま
での、構造物をマスキングする方法だと、木甲板色を綺麗に発色させるために黄色下地の下に
ベースホワイトを塗装する必要があり、塗膜がこれより大幅に厚くなってしまうのですが、今回は新
兵器の効力により、木甲板色の塗膜をかなり薄めに仕上げることができ、大いに満足しています。


↑このような木甲板と構造物の境目の塗りわけも完璧です。右上の構造物のスキマは、大和改装
の際に、吸気口の配管に困った結果開けられたもののようですが、このような目立たない部分もデ
ィティールアップの良いアピールポイントになるのではと考え、後の中央構造物のディティール
アップの際に、自分なりのイメージで各パーツを配置してみました。



next


左側にメニューページが表示されない場合はここをクリック

艦船模型製作代行 モデルファクトリー ハイギヤードはこちら

スケールモデル完成品販売ネットショップ CHERRY&ANCHORはこちら







inserted by FC2 system