戦艦 大和
タミヤ 1/350 徹底ディティールアップ決定版






砲身を取り付けて主砲塔完成。外筒砲操作台や照準演習機を再現した賑やかな砲身です。


1/350戦艦大和 主砲の組み立てとディティールアップ 後編


↑砲身は、ピットロードの改造パーツセットにも含まれているのですが、今回は副砲と同じく、
新撰組の砲身を使用します。右上の砲身は、キットパーツの砲身で、キットパーツでは外筒
砲(演習砲)と操作台が再現されています。 新撰組の砲身は、砲口部分の微妙なテーパー
が再現されていますが、プラパーツではこの再現は難しいようで、キットパーツでは段付きに
よって再現されています。キットパーツは砲身も比較的まっすぐで、素材と製法による、表現
の差がはっきり出ている印象です。


↑新撰組砲身の出口テーパー。角ばった再現に見えますが、塗装してみるとそうでもあり
ませんでした。しかし、この砲身のスゴイところは、このテーパー再現だけではありません。


↑なんと!?出口が2重に再現されているんです!本物の砲身は、砲身を内部を守る
外筒の内側に、実際に砲弾を発射する内筒を差し込む仕組みで、砲身交換のコストを
押さえ、精度を高める工夫がなされていたのですが、新撰組の真鍮砲身は、この砲身の
2重構造を見事に再現してくれています。 HIGH-GEARedはこれまでたくさんの種類
の真鍮砲身を見てきましたが、2重構造を再現したものを見るのは、これが初めてのこと
で、まさに衝撃的でした。 しかも、砲口付近のテーパーもしっかり再現し、この細いミゾ
を掘り込むのですから、本当に驚くべき技術といわざるをえません。 今回の製作に
おいて、真鍮砲身はライオンロアとピットロード製があるにも関わらず、新撰組砲身に
拘った理由はこれだったのです。


また、新撰組の真鍮砲身は、驚くべき技術で作られた素晴らしい品であることは間違いあり
ませんが、実艦の大和の主砲はそれこそとんでもない労力と技術の結晶と言えるもの
でした。

この46センチ砲を作るために、ドイツから輸入したワグナー社製超大型旋盤や1万5千
トン水圧プレスはドイツから輸入されたものですが、佐賀県の唐津製作所でも、ドイツ製
大型旋盤に匹敵する巨大なガンボーリングマシンが製造され、20メートルを越える砲
身をくりぬくために、長大なボーリングバーが載せられ、機械の全長は砲身の倍ほど
もあったそうです。

この長大なガンボーリングマシンは、呉への移動にも苦労があったようで、鉄道輸送
の際、分割しても既存の貨車には載せることができず、結果的に専用の貨車を新規に
製造して対応させることになったようです。 輸送計画も綿密に立てられ、何度も予行
演習を行うという万全の体制で行われました。

砲身製造の工程は、鋳造された鉄塊を室蘭の日本製鋼所で鍛錬し(1万トン水圧プ
レス)、ある程度砲身の形状に仕上げてから不純物のたまっている鉄塊の中心部分
をくりぬき、超大型旋盤で外周を切削加工します。 続いて、内部の荒削りを行い、
加熱炉にいれ、800度まで加熱し数時間保持、その後急速冷却します。 冷却が終
わると再び加熱され、再び急冷を行い、ガンボーリングマシンで内側、外側を仕上げ、
鋼筒を打ち込み、ガンワイヤーという鋼線を均一に巻きつけて引っ張り強度などを
強化します。

その後、外筒を挿入(焼きばめ)、外筒が被せられた砲身の外部を切削して砲身の
外観が完成、続いて、筒中を精密に仕上げ、施条機で施条を彫ります。 この施条
は、らせん状に彫られ、発射した砲弾に回転を加えて安定させる目的で彫られるも
のです。

この間、全長20メートル以上ある巨大な砲身をプレス、旋盤、加熱炉、油槽、巻線
機などに何度も移動させて、それぞれその道を極めた工員が次々とその作業を
進めていくのですから、なんともいえない大きなスケール感のある製造工程という
気がします。


↑砲身は、真鍮製ですのでそのままでは塗料のノリが悪く、メタルプライマー
での処理が必要になります。塗装の際には、このように割り箸に穴を開けた、
自作の塗装台に砲身を差し込んで行いました。


↑外筒砲操作台も、この状態で取り付けていきます。使用したパーツは、エデュアルドの
武蔵用です。 ライオンロアのパーツにも、外筒砲操作台は含まれていますが、サイズが
小さすぎるので、こちらを選びました。今回も外筒砲本体は再現していませんが、武蔵の
前甲板の兵員の体操中を撮影した写真を見るに、操作台だけの装備状況もあったよう
ですので、今回はこれでいいかと考え、こうした再現となりました。 砲身基部に斜めに
取り付けられたトラス状の照準演習装置は、この時点では適切な角度を出すのが難し
かったので、砲身を砲塔に取り付けた後に取り付けました。


↑砲口は、せっかく内筒が再現されているのですから、内部は真鍮の金色のまま残すことに
しました。 実際の大和の内筒は、金色ではなく銀色だったそうですが、金色再現は模型映
えを考えた時に、有効なアプローチです。 内部に塗料が吹き込まないように、このように
爪楊枝で作った栓をして、塗装しました。


↑防水キャンバスはひとつひとつバリを落として成型してから、両面
テープを巻きつけた割り箸に貼り付け、先に塗装を済ませました。
副砲の時のような失敗を防ぐため、今回の主砲では全ての作業を
終えてから塗装するという方法をやめ、砲身、砲塔、キャンバスと、別
々に塗装を行い、塗装済みのパーツどうしを組み合わせることで、キ
ャンバスと船体色の部位との色分けをシャープに行うことができました。


↑それぞれ塗装を終えてから接着した結果、塗り分け面がシャープに決まりました。中でも、
防水キャンバスとキャンバスガードの塗り分けは、完成後には不可能なもので、副砲製作の
失敗経験をうまく生かすことができました。(2番主砲塔砲身は1番主砲塔の手摺にかからない
ように、仰角を調整しました)照準演習装置を取り付けて、いよいよ念願の大和の主砲が完成です。


↑ピットロードのパーツをベースに、新撰組、エデュアルド、ライオンロア、ゴールドメダルの
各社パーツを組み合わせて完成した主砲。その完成度はもちろん、HIGH-GEARed HOBBY
WORKS!!史上のどの大和よりも精密かつ迫力のあるものです。 この主砲を船体に塔載
するそのときが、楽しみでたまりません!



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