1/24 三菱ギャラン VR-4 1991アイボリーコーストラリー優勝車 篠塚建次郎







三菱ギャランWRC 篠塚建次郎

WRCで三菱といえばランサーエボリューションの活躍が有名ですが、ギャランはランサー
のデビューシーズンとなる93年の前の92年まで三菱がWRCに投入していた市販車ベースの
マシンで、まだHパターンシフトだった時代のグループAラリーカーです。

当時はトヨタとランチアの選手権争いが熾烈だった時代ですが、ギャランも狭いコース
では苦労しそうな大型の車体ながら、1000湖ラリーやスウェーデンラリーで優勝するな
ど、活躍を広げました。

そんな中、ギャランの活躍の中で特筆すべきは、当時、三菱ワークス外でサファリラリー
等で年に数回助っ人的にWRCにスポット参戦していた、篠塚建次郎選手のアイボリーコー
ストラリー(ラリーコートジボアール)での二連覇です。

のちにダカールラリーでも優勝することになる篠塚選手の、当時の特に砂漠での速さは
現在の感覚では考えられないほど凄まじく、『ライトニング・ケンジロー』の異名を誇りました。

日本人ドライバーのWRCでの総合優勝は、あとにもさきにも篠塚選手の二回のみなので、
昨年製作したパジェロ(篠塚選手はパジェロで当時ダカールラリー3位)とともに、この
ギャランもいつかは製作したいと長年(中学生の頃から)考えてました。

キットはシートベルトやファスナー関係にエッチングパーツが含まれた、91年当時として
は豪華なキット内容(その割にはワイパーはごついプラパーツ)ではあるのですが、パー
ツの合いは、いいとか悪いとか、そういうレベルを超越していて東欧キット並、またボデ
ィの造形もシャープさがなく、市販車バージョンとラリーカーバージョンのパーツを供用
しすぎていて、埋めたり穴をあけたりの指定が多く、非常に苦労させられました。

アイボリーコーストラリー仕様のギャランは、見た目がワークス仕様そっくりに作られて
いるので、一見ワークス仕様のように思ってしまいがちですが、製作したのは実は日本の
タスカエンジニアリングで、ワークスのサポートのみを受けたセミワークスカー(アイボ
リーコーストラリーはドライバーズタイトルのみが掛けられたラリーだったため)で、WRC
ラリーカーとしては大変珍しい、右ハンドル仕様に仕上げられています。

ハセガワとしては、右ハンドル用のダッシュボードさえ新規開発してキットに組み込めば、
セミワークスカーのギャランができると思ったのでしょうが、残念ながら室内パーツに思
わぬ見落としがありました。



↑室内の様子を見れば、競技車両やチューンドカーに詳しい方なら
お分かりになると思うのですが、いかがでしょうか?

そうなんです、ロールケージのダイヤゴナルバー(斜行バー)の向きが逆なんです。

ダイヤゴナルバーはドライバーの頭部を保護するためのものですから、ドライバー側が上を
向いていなくてはいけません。(コ・ドライバー側は、着座位置が低いこともあってか?当時
はクロスバーの装置義務はなかったみたいです)

早くに気づけば直していたのでしょうが、組み立てたあとに気づいたので、今回はこのままです。
(サファリでの篠塚車の車載映像を見れば、ダイヤゴナルバーは確かに右側が上になっていたの
がわかります)

ボディの色は、ホワイトとインディブルー、窓と天井のモールのみが塗装で、それ以外は
デカール再現です。

純正デカールは経年劣化で使い物にならなかったので、今回はシュンコーデカールという
サードパーティのデカールを取り寄せました。

シュンコーデカールは表面が平滑でそこそこの光沢がありますが、少々厚みがあるのと、固
くて凸凹になじみにくいこと、クリアー層が剥がれやすいこともあって、ギャランのような
車体下部に凹凸の多い車には、少々使いにくかったです。

ボディの製作工程は、バリとパーティングラインを処理したのち、パテで給油口等を埋め、
グレーサーフェーサー→ホワイトサーフェーサー→ホワイト→インディブルー→デカールを
貼って乾燥→クリアー→研ぎだし→モール塗装という順番です。

ウインドウのクリアーパーツも、透明感に乏しかったので研ぎだしをしました。

ボンネットピンとアンテナは、純正パーツの出来がいまひとつだったので『さかつう』のパ
ーツに変えました。

シートベルトやマッドガードは、シート状の四角いフィルムを自分で切って自作するように
との指定があったので、指定どおりに切り出して組み立てました。

ボディの造形は正直、シャープさがあるとは言い難く、実車の検証ミスや(説明書の色指定
の間違い)、シートベルトやマッドガードの自作など、全体的にめんどくさい作業が非常に
多いキットですが、出来上がった雰囲気はさほどは悪くはありません。

とは言え、前回に製作した同世代の絶版キットである、タミヤのプロトタイプパジェロがあ
まりに素晴らしすぎるキットだっただけに、まだカーモデルに慣れていない頃の、ハセガワ
キットの欠点の少々目につきました。

**総括**

タミヤのパジェロにひきつづき、20年越しの願いでもあったギャランが完成しました。思えば、
パジェロやギャランが活躍していたころが、HIGH-GEARedにとって最もラリー熱の高かった頃で、
特に篠塚選手のような有力選手がピークを迎えていた時期だけに、大いに盛り上がったものです。

WRCでは当時、ギャラン以外ではランチアデルタ、セリカ(ST165→185)、323GT-R(ファミリア)
パルサーGTiR、240SX、レガシィなど、個性豊で、かつスポーツカーというよりも一般大衆車に近
い姿をした車が大いに活躍していて面白い時代でした。 ランチア037ラリーに代表される、
グループBのようなプロトタイプモンスターも好きですが、自然が作り出した難コースを走り抜ける
ラリーカーはいつの時代もカッコいいなと思わされます。

この時代のラリーカーのキットは現在でも現役のものが多いので、展示会等の機会にまた何台か 製作したいと思いました。


WRCおよびラリーレイドでそれぞれ一時代を築いた三菱の二台のツーショットです。





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