1/700 ウォーターラインシリーズ等におすすめな
走航波ジオラマの作り方











走航波を作ろう

ウォーターラインシリーズをはじめとする1/700洋上模型のジオラマといえば、
軍港ジオラマ、停泊中のジオラマもありますが、真っ先に思いつくのは、白
波を蹴立てて疾走する走航波を再現したジオラマが基本になると思います。

航行中のジオラマにしても戦闘中のジオラマにしても、まずはこの走航波
が再現されているのが基本になりますが、この走航波の再現方法は、意外
にも、「コレ!」といった定番の方法が確立されておらず、作者のセンスや
技法によって、実にさまざまです。

海を作る方法も千差万別で、シワを作ったアルミホイルを塗装する方法、
ポリエステルパテ等を使う方法、セロハンを使う方法、石膏やレジンを使う
方法など、様々なものがありますが、方法ごとにそれぞれに違った味わい
があり、どれが一番良いとは簡単に決め付けられないものがあります。

HIGH-GEARedは、これまで雑誌資料の内容、ネット上の艦船模型製作者
からの情報など、様々な情報を取得しつつ、自分なりの方法を模索していま
したが、2006年現在、カスミモールドの入ったアクリルボードと鉄道模型用
シーナリー素材を使用することで、自分なりの走航波表現を行うようになり
ました。

この方法の利点は、他の方法と比べて比較的透明感を重視できることです
が、その反面、乾燥時間が比較的長い素材のため、手早く作業を進めるの
には向きません。

ここでは2006年10月に製作した1/700戦艦三笠の例を挙げて紹介します。
(1/700三笠はシールズモデル製で、WLシリーズではありませんがご愛嬌ということで)


↑まずはカスミモールドの入ったアクリルボード(ホームセンターなどで
入手可能)にクリアーブルーを塗装し、台座の大きさに合わせてPカッ
ターで切断、そして船体を固定するための穴を開けます。

船底裏側には画像のようにナットを接着し、裏側からボルトで固定できるよう
にしておきます。 もちろん、台座にも同じピッチの穴あけを行っておきます。


↑今回使用するのは、このウォーターエフェクトという
素材です。知る人ぞ知る情景素材の有名ブランド、米国
ウッドランドシーニックス社製のもので、鉄道模型のKATO
が輸入しています。 木工用ボンドに似たエマルジョン系
のメディウムですが、ぶっちゃけ、リキテックス(アクリル絵
の具のブランド名)のジェルメディウムなどとほとんど同じ使
用感ですので、好みでリキテックスを使用されても同じ効果
が得られます。(ウォーターエフェクトはボトルが使いやすく
工夫されている点にメリットがあります)


↑船体にマスキングテープを巻きつけ、ボードと船体舷側の間にウォーター
エフェクトを注入します。最初はあまり多く使いすぎないようにするのがコツ
です。 マスキングテープを貼り付けることで、船体を汚さずに作業すること
が可能ですが、船体を接着してしまう場合は、テープを使用しないやり方も
あると思います。(ウォーターエフェクト自体が接着剤のようなものですので、
これを利用して接着する方法もアリです)


↑舷側とボードの間に注入したウォーターエフェクトを、このように
ペンティングナイフで広げつつ、波を造型していきます。ナイフを
外側に寝かせて後から前に向かって滑らせていくと、実感的に仕
上がります。


↑波の形は、実艦の写真やプラモデルパッケージのボックスアート(箱絵)
などが参考になります。


↑艦船が走航時に発生する波には主に二種類あり、ひとつは船首が
かきわける艦首波、もうひとつはスクリュープロペラから発生する艦尾
航跡(呼び方は様々)です。 艦尾の航跡は、ウォーターエフェクトを
叩くようにして波立った様子を再現します。


↑ワンポイントとして盛り上げたい部分があれば、このようにウォータ
ーエフェクトを継ぎ足し、再びナイフで成型していきます。メリハリの
ある表現を求めるなら、乾燥後に重ねて処理すれば、より立体的に
仕上がります。


↑細かく泡立っている部分は、絵筆で叩くようにしてやれば上手く再現
することが可能です。更に細かい泡立ちを再現するには、歯ブラシを
使うと便利です。


↑波の成型が一段落した状態。このまま乾燥させるわけですが、乾燥には
晴れた日でも最低24時間はかかりますので、作業を急ぐことはできません。
この方法は、透明感を重視できるのが利点ですが、作業性においては、
パテを使用した方法などと比較した場合、デメリットとなります。


↑乾燥前に船体を剥がしておけば、後々船体の取り外しが可能です。
マスキングテープを剥がせば、船体も汚さずに、その後の作業に集中
できます。


↑乾燥させた翌日の様子。エマルジョン系ですので、木工用ボンドと同じく、
厚塗りした部分のみ、白い色が残っていますが、その他の部分は大体にお
いて透明になっているのがお分かりいただけると思います。


↑ウォーターエフェクトが乾燥すれば、あとは波頭を塗装して仕上げに
なります。 塗料はプラカラーよりもアクリルメディウムのほうが馴染みが
よさそうですので、リキテックスを使用しています。まず、船体外周を白く
着色して、船体舷側周りの泡立ち感を再現します。


↑艦首波の再現。ここはセンスの見せ所になります。実艦の波の
写真などと見比べながら、不自然にならない程度に波頭を着色
していく作業になります。 ウォーターエフェクトで作った波が実
感的に仕上がっていればいるほど、この塗装作業もやりがいが
でてきます。


↑およそ、波の再現と塗装が終わった三笠の船体。下地が明るいグレーで
すので、全体的に明るく見えすぎていますが、下地を暗い色にすれば、丁
度良いバランスに整えてあります。


↑完成した三笠。いかがでしょう?腕とセンスがあれば、船体を加工し、船体
が傾くほどに全速を出している姿や、荒天の中での航行シーン、前甲板まで
覆いかぶさる波しぶき等も再現できることでしょう。


↑アクリルボードとウォーターエフェクトを使用した場合のメリットとなる透明感が
お分かりいただけますでしょうか?波の表現方法はこの方法ひとつではありま
せんし、それぞれの方法にメリットやデメリットが存在すると思いますので、波を
再現してみたくてこのレポートをご覧になった方は、数ある方法の中のひとつ
として、参考にしてみてください。








SCALE MODELSに戻る


左側にメニューページが表示されない場合はここをクリック

艦船模型製作代行 モデルファクトリー ハイギヤードはこちら

スケールモデル完成品販売ネットショップ CHERRY&ANCHORはこちら





inserted by FC2 system