1/200スケール 駆逐艦 陽炎
Nichimo製インジェクションキット













ニチモ 1/200

ここのところ、1/700スケールのモデルが製作の中心だったのですが、久々の
大型スケール艦船は太平洋戦争下においててルンガ沖夜戦などで大活躍した
1/200スケール日本海軍甲型駆逐艦『陽炎(かげろふ)』です。

Nichimoの1/200インジェクション組みたてキットをベースにエッチングパ
ーツや一部自作パーツや船体や構造物への大小の加工を行ってディティー
ルアップさせたものです。

駆逐艦と言えど、スケールは艦船模型の最大級スケールの1/200ですので、
その全長は60cmを越えるなかなか迫力のあるモデルです。こうして見ると
なかなか模型映えもしやすい大きさのように思います。

普段はあまり汚し塗装はしないほうなのですが、今回は小艦艇ということで
エイジド処理を施して使い古された感じの再現に力を入れています。

ベースキットとなったNichimoのキットは船体上構造物が2分割から4分割さ
れたパーツ構成になっているもので構造物側面のディティールの再現が本当
に素晴らしく仕上げられている隠れた名キットと言った感があってディティ
ールアップのしがいがありました。


↑全体像。全長はおよそ63cmほどです。


↑左舷から。『かげろう』の旧かな使い『フロゲカ』と艦名の表記があります。


↑写真では少しわかり辛いのですが、船体および構造物はかなり汚してあり
ます。エイジングは今回独自に考えだした方法を多数取り入れてみました。


船体の塗装は軍艦色の下字に船底色を使い、サビ止め塗料色の下地を作った
のですが、その下に更にそのサビ止め塗料色の発色を際立たせるためにベー
スホワイトによる白立ち上げを施した3層塗装です。

1/700などのスケールではモールドのメリハリが際立つような塗装をする必
要があるので下地は明るくするほうが映えるのですが、今回のような大型
モデルの場合はこのような重厚な下地のほうが重量感をだすのに向いています。

そしてエイジングですが、ウェザリングの上に船体色を塗り重ね、その上に
またウェザリングを繰り返し、汚れに立体感を出しました。また、舷外電路付
近はウォッシングを施してあります。

船体および船底はラッカー塗装で甲板にはピットロード艦船用塗料のリノリ
ウム専用色を使用して考証に近い色調で再現しました。最後の仕上げに船体
全体に質感統一のために艶消しのクリアーコートを施してあります。


↑艦橋は開口し、艦橋内部を再現しました。艦橋の窓枠は真鍮線による再現
です。内部のグレーチングも塗装し、実艦と同じように羅針儀や望遠鏡、海
図台など、艦橋内の装備が再現されています。内部を覗けば当時の航海の様
子を偲ぶことができるでしょう。(笑)

また、艦橋窓だけでなく全ての舷窓および、構造物側面の丸窓はピンバイス
による穴開け作業で開口し、モールドのメリハリを強調して実感をたかめて
います。


↑後部マストおよび魚雷発射管。マストや砲塔の廻りに張り巡らされた空中
線はフラグシップ製の模型用カラーテグスを使用しました。テグスですので
糸のようにメンテナンスの必要はありません。白く見える部分は空中線ガイ
シの再現です。


↑左舷前方からのディティール。中央部に見えるのは運搬レール上の台車に

置かれた魚雷です。マストや救命浮き輪の様子もわかるでしょう。


↑前部マストのアップ。2キロ信号灯や見張所に上がる梯子や手摺の様子。


↑手摺、梯子、タラップはエッチングパーツです。小西製作所とゴールドメ
ダルの汎用エッチングパーツを使い分けました。


↑左舷中央部。煙突、空中線、内火艇の様子です。この内火艇および前甲板
のカッター(ボート)は舵も再現してあります。


↑左舷後方。駆逐艦の特徴である爆雷投下台、爆雷装填代台や爆雷投射器、
パラベーン、装填演習砲などの設備が密集しています。


↑飾り台はブラス削りだしの金属製です。模型の重量感を更に増してくれ
ます。



*総括*

1/200という大型の艦船を製作したのは1/200大和以来のことで久しぶりでし
たが、この作品はキットのモールドが元来とてもしっかりしているものだけ
に最低限のディティールアップで済みました。

こうしてみるとNichimoの成形技術もなかなか捨てたものではなく、組みた
て説明書には全てのパーツの名前が記載されており、更には空中線の張り
方まで詳しく記載されているという気合の入りようです。

同じ気合で大和を作ってくれていたら世界に誇る名作になっていたかと思
うだけに同じメーカー、同じスケールの大和の出来の大味さが残念に思え
てなりませんでした。

ちなみにこの作品はこの後数奇な運命を辿り、一度僕の手から離れたので
すが、またしばらくして戻ってきました。(笑)あちこち手を加えたり、
補修したりして、近々また僕の手から離れていくかもしれません。





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