1/700スケール 航空母艦 隼鷹 
TAMIYA製インジェクションキット













タミヤ 1/700

今回のレポートは2004年の5月に製作した1/700航空母艦隼鷹です。1/200戦艦大和
製作レポートなどに時間を取られて半年以上後の掲載となってしまったのですが、この
完成品は実は2004年の5月〜9月まで奈良押熊にある上新電機系列の大手ホビーシ
ョップ、「ジョーシンPIT ONE キッズランド押熊店」の入り口ショーウインドウに展示させ
て頂いていたものです。

展示に際して引き取りの際に店員さんに教えて頂いたお話だとなかなか評判もよかった
みたいで「売って欲しい」というお引き合いも複数あったということです。

HIGH-GEARedはこれまでホビーショーやクラブの展示会などに模型を出品する機会が
なかったため、こうした機会に自分の作品を多くの人に見ていただける喜びを実感するこ
とができました。

1/700の隼鷹はこれまで名キットという噂は耳にタコができるほど聞いていたにもかかわ
らず、なかなか製作の機会がなかったため、迷彩塗装も含めてなかなかやりがいのある
製作となりました。


***実艦について***

それまで海戦の主力と言われ続けた戦艦に代わり、航空戦力が勝敗のカギを握ることに
なった太平洋戦争戦時下において、日本海軍連合艦隊は客船や商船などを改造し、多
くの航空母艦を建造しましたが、航空母艦隼鷹もその中の1隻で、豪華客船橿原丸を海
軍が買収し、昭和17年7月に三菱重工長崎造船所にて竣工しました。

隼鷹は日本海軍の商船改造空母の中では最も大型で、53機をも搭載する空母としての
能力は正規空母の飛龍などの主力艦にも匹敵するものでした。

また、艦橋構造物と煙突を一体化した大型艦橋はこの艦で初めて試験採用され、その
使用実績により、後の大鳳、信濃などの主力空母の設計にも生かされるなど、日本海軍
艦艇建造技術に尽くした役割も大きい艦です。

竣工後、隼鷹はミッドウェー作戦と呼応してアリューシャン作戦に出撃し、ダッチハーバー
攻撃で初陣を飾りました。そのご唱和17年10月の南太平洋海戦では翔鶴、瑞鶴と寮艦
飛鷹と協力して米空母ホーネットの撃沈に成功するなど、機動部隊の中核として活躍し
ました。

しかし、昭和19年のマリアナ沖海戦にて直撃弾を受けて損傷。その後修復されましたが
搭載する艦載機が不足していたため大戦終盤には輸送任務に従事し、撃沈されることな
く、佐世保で終戦を迎えました。

連合艦隊の艦艇はほぼ全てが大戦によって失われましたが、隼鷹は撃沈されることなく
最期まで生き抜いた非常に少ない主力艦の中の一隻でした。


↑航空母艦巡洋完成品の全景です。


***キットについて***

キットは1/700ウォータ−ラインシリーズのタミヤキットをベースに製作しました。このキット
は最新のものではありませんが、同シリーズの空母キットの中でも傑作と誉れ高いもので、
客船特有の船首と船尾の柔らかなラインや外側へ26度傾斜した艦橋と一体の煙突など、
この空母独特の姿をリアルにモデル化し、舷側の電路や吸気口なども実に精密に再現さ
れています。

今回は、このキットを使い、設定年代となっている終戦間際の姿をモデル化し、それに伴
い、当時施されていたと考えられている対潜迷彩を施しました。

飛行甲板上の後部エレベーターは落としこんだ状態とし、格納庫に艦上機を配置するこ
とで立体感と動きのある姿に設定しました。


↑ケースのサイズは長さ約36cm、模型自体は約31cm程度の大きさです。


***船体のディティールアップ***

まず、船体のバリを落とし、ピンバイスで舷窓を開口してモールドのメリハリを強調し、艦首
錨甲板には精密チェーンを接着し、錨鎖を立体的に再現しました。

手摺やタラップなどの基本的艤装はゴールドメダルモデルズの1/700日本空母用のエッチ
ングパーツを使用しました。

船体側面の対潜迷彩は資料に従い、スポンソン周りにいたるまでマスキングによるエアブ
ラシ塗装で入念に書き入れました。

各部のディティールと塗装を下記に詳細に掲載しましたのでご覧ください。


↑対潜迷彩の様子。右舷側の全景。


↑対潜迷彩の様子。左舷側の全景。


右舷前方側面から


右舷後方側面から


左舷前方側面から


左舷後方側面から


***飛行甲板***

飛行甲板上の標示は今回も全て塗装で再現しました。遮風柵は信濃用のエディアルド製
エッチングパーツから流用し、人員救助網はゴールドメダル製のエッシングパーツを使用、
飛行機救助網は汎用のメッシュエッチングパーツを使用しました。


飛行甲板全景。上空から

後部エレベーターは落とし込んだ状態とし、内部格納庫内には艦上機を配置して動きのあ
る情景としました。


下がった状態を再現した後部エレベーターの様子。内部に艦上機を配置。


***艦橋***

艦橋の窓枠はモールドを削りとってジョーワールドのエッチングパーツに置き換え、窓枠を
再現しました。艦橋周りにも手摺とタラップを配置して精密に仕上げました。 また、電探も
ゴールドメダルのエッチングパーツに置き換えました。


↑窓枠や電探などをディティールアップした艦橋の見上げアングルです。


***兵装***

シールドなしの高角砲は観測室下面を削り取って実物どおり浮いた形状に修正し、スポン
ソンには射界制限枠を自作して取り付けました。また、高角砲砲座には一部木製の足場も
取りつけました。(エデュアルド信濃用パーツ流用)

機銃は全てピットロード製の2ps構造のパーツに交換し、立体的に再現しました。


右舷前方高角砲スポンソン周りの様子


***空中線について***

空中線の再現には今回は0、6号釣り糸(太さ0、128mm)を着色して使用しました。取りつけは
全て瞬間接着剤によるものです。

この空中線は着色してはいますが、もともとは極細のテグスですので糸のようにメンテナン
スの心配はいりません。


空中線の展開。艦橋付近。


空中線の展開。右舷中央部。

***塗装***

塗装はスケール性を考慮した上で船体やパーツの本塗装の前には塗装後の塗膜の発色
を良くするために、ホワイトサーフェーサーで下地を作った白たちあげにて塗装しています。

今回は対潜迷彩仕様ということで、GSIクレオスの日本海軍迷彩色セットから専用色を使用
し、エアブラシにて吹き付けました。船体舷側はもちろん、スポンソン周りも細かく塗り分けました。

木甲板はGSIクレオスのタンをベースにウッドブラウン、クリアーイエローの順番でコートして
立体感のある色彩としました。

仕上げには艶消しのクリアーをオーバーコートして質感を落ち着かせました。


***艦上機について***

艦上機は飛行甲板上に零式艦上戦闘機4機と艦上攻撃機天山が3機待機し、エレベータ
ー下部格納庫には艦上爆撃機彗星が控えています。

艦上機のマーキングも全て塗装によるもので、ゴールドメダルのエッチングパーツからプロペ
ラを使用し、再現しました。格納庫内の彗星ももちろんプロペラを再現しています。


飛行甲板上の艦上機の様子


***台座について***

海面のベースはタミヤモデラーズギャラリー特別販売のウェーブボードを使用し、クリアーブル
ーを吹き付けることで透明感のある海面を再現しました。
てみました。

船体とベースの固定は船底にナットを埋め込み、ボルトを底面から通すことで行いました。




**総括**

名キットという誉れ高い言葉は前述のように耳にタコができるくらい聞いていたのですが、いざ
組み立ててみると、その内容は噂以上でモールドの素晴らしさはもとより、組み立てやすさや
部品の構成の上手さなど、現在の目で見ても文句の付けようのない素晴らしいセンスを感じる
キットで楽しく製作できました。

迷彩塗装は今回は舷側メインということで、製作時間は比較的短かったのですが、4ヶ月もの
間お店に展示していただくなど、思い出の作となりました。 次にこの隼鷹キットを製作するとき
には、キットとしてリリースされていない姉妹艦飛鷹への改造なども視野に入れて、更なるディ
ティールの煮詰めなどを行っていけたらなと思います。





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