TAMIYA F-1 1/12 タイレル(ティレル・Tyrell)フォード






1971年 西ドイツGP ジャッキー・スチュワート仕様

1946年、英国陸軍から退役したのち材木会社を経営していたケン・タイレル(ティ
レル)は趣味としてレースをはじめ、若い頃はレーシングドライバーとして活躍、
アストン・マーチンのテストでは50年代の名レーサーとして最も有名なスターリン
グ・モス(F-1グランプリでは優勝16回、年間ランキング2位4回、3位3回)のタイム
を破るという快挙まで見せ、注目を浴びる選手でした。

しかしF-2を戦っていた時代、ドライバーとしての自分の才能に限界を感じた彼は、
1960年にケン・タイレルレーシングチームを発足し、まだ無名新人だったあの大天
才、ジャッキー・スチュワートを発掘し、1964年に16戦14勝でF-3タイトルを獲得、
1968年にF-1グランプリに参戦、1971年にはタイレルオリジナルマシンを得たF-3時代
の相棒スチュワートと彼の愛弟子フランソワ・セベールのドライブで見事にタイレル
の積年の夢だったF-1コンストラクターズチャンピオンを獲得しました。

大メーカーが中心のF-1チームの中にあってプライベートチームとして参戦し、コ
ンストラクターズチャンピオンを獲得したケン・タイレルの功績は今でもF-1史上
に輝く偉業と言われています。その後、タイレルレーシングチームは1998年までF
-1レース活動を続け、創始者ケン・タイレル亡き現在はクレイグ・ボロックに権利
が譲られ、BAR(ブリティッシュ・アメリカンレーシング)としてF-1グランプリに
参戦を続けています。

タイレルチームには中嶋悟、片山右京、高木虎之助なども在籍、HONDAエンジンを
搭載したこともあって日本でもおなじみのチームでした。

キットは71年度のチャンピオンマシンをTAMIYAが1/12スケールでモデル化したもの
で、各種カウリング、ウイング、シートは完成後も取り外しが可能。スチュワート
がドイツGPでドライブしたカーナンバー2番のマシンを選んで製作してあります。

コスワースDFVフォードエンジンはプラグコード、フューエルホース、オイルホー
ス、ラジエーターホース、メーターケーブル、アクセルワイヤー、ブレーキライン
などをビニールパイプ、ゴムホースで再現し、ステアリングはラック&ピニオン、
足回りはコイルスプリングを使用して実車と同じ仕組みで実際に稼動できるよう
になっています。ブレーキもディスクローターがキャリパーと独立して回転、ベン
チレーテッドローターのクーリングホールまで再現されてます。

これが71年製作のキットとは思えません。つくづくTAMIYAの技術には頭がさがります。



↑これがフルオープン状態。F-1もまだフロントラジエーターの時代です。サイド
ポンツーンが膨らんでいるのは左右に分割した四個のガソリンタンクが収まって
いるからです。シートベルト、ロールバーなどの安全装備は装着されてますが、無
数のリベットで剛性を高めてるとはいえ、アルミモノコックにこのガソリンタン
クの位置ですから高速クラッシュ時の安全性は基本的に無視した時代の設計とい
えるでしょう。実際、セベールはスチュワート引退レースの予選中、ワトキンス
グレンにて・・・。



リアビュー、ミッション後部に付いているポリタンクはオイルキャッチタンクで
す。実車の走行後はおそらくめちゃくちゃ汚くなると思うんですが、ボディカラ
ーに合わせて青みのある白で塗りました。その上にあるふたつのコアは2連オイル
クーラーです。今回は塗装はボディのトップコート以外はすべてエナメル系塗料
のエアブラシ吹きで仕上ました。以前に製作したP34と同じくエンジンパーツには
金属地を作ってあります。ボディにエナメル塗装を行うのははじめてでしたが、
意外にも塗装後の研磨がラッカーに比べて楽なメリットを発見してしまいました
(笑)。塗装しては研磨、塗装しては研磨の連続で美しいボディカラーが出来上
がりました。



F-1史上に残る名機と言われるフォード製コスワースDFVエンジンのアップです。
プラグコード、フューエルホースはこのようにビニールパイプで再現されます。
アクセルワイヤーも同様に再現され、アクセルペダルから8連スロットルまでし
っかりとに繋がってます。コイルやエアファンネルの彫刻も実にもリアル。
フレームのスキマを這うように通っているのはオイルホースです。もちろん、シ
ートを外せばオイルタンクが、1本1本分割されたエキマニの下にはオイルポンプ
がしっかりと再現されてます。




フロントラジエーターサポートとサス周りです。コイルスプリングを仕込んだシ
ョックともどもダブルウイッシュボーンの各アームが実車通りに稼動します。も
ちろんステアリングもラック&ピニオンの実車そのままのメカニズムで稼動しま
す。フロントスタビとステアリングラックが同じところで固定されていたり、実
車独特のメカニズムが良くわかります。模型を制作しながら実車のメカニズムを
学べるのがTAMIYA製1/12スケールF-1モデルならではの楽しみですね♪



リヤサス周りです。リヤサスは不等長トランスバーズリンクというフォーミュラ
ならではの特殊なレイアウトで、ダブルラジアルロッドと2本のアッパーIアーム
ロワーパラレルアームという構成で作られてます。スタビリンクはレイアウトの
都合上、ミッション上を通っています。エンジンには各種配管が這い回っており
水やオイルの流れもよくわかります。ディスクブレーキはナックル側ではなくミ
ッション側にマウントされたソリッドディスクです。



おなじみのドライバー視点です。ステアリングの上にペダルの頂部が見えます。
この時代はまだ無線の使用も許可されてなかった時代なのでドライバー達はこの
狭い空間でひとりで苦労したことでしょう。メーターケーブルはアセテートテー
プを使って固定しました。対候性と粘着性に優れているので模型制作にも役立ち
ます。ちなみにこのキットはドライバーフィギュアを乗せるように作られている
のでシートベルトの部品が付属しません。社外品を探して近々取りつけてあげた
いと思ってます。







今回、はじめて1/12スケールのF-1を製作したのですが、実車のメカニズムがとて
も精密に再現されていて驚きました。特に稼動する各パーツを組み上げる作業は
実車さながらでフォーミュラカーならではの機能美を存分に堪能する事ができま
した。 しかしキットに同梱されている各種ホースはしなやかさに欠けて組みたて
辛かったので、次に製作するときには社外品を使用してみたいです。





後のドラム缶etcは東急ハ●ズで買ったものでキットとは関係ないです。(笑)

実車の写真はこちら






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