1/700スケール 航空戦艦 日向 十八改装後
HASEGAWA製インジェクションキット











ハセガワ 1/700

伊勢型戦艦の伊勢は純戦艦状態、航空戦艦状態と、これまで3回の製作履歴がありま
すが、今回はこのギャラリー初登場の日向です。

以前、リニューアル前のキットを2回ほど製作したことがったのですが、リニューアル後
の日向は初めての製作となりました。

とはいえ、キットは完全な航空戦艦伊勢の箱換えキットとあって、異なる点といえば箱
と説明書の実艦解説のみ(実艦ではマストに若干の違いアリ)。 以前に製作した伊勢
での経験を生かして丁寧に組み立てました。


ディティールアップにはゴールドメダルモデルズの日本海軍線慣用エッチングパーツ
を中心に使用し、25mm三連装機銃はピットロード製、主砲身および防水キャンバスに
はクリッパーモデルの真鍮パーツを使用しました。 また、無数に塔載されている艦載
機のプロペラパーツもゴールドメダル製です。

それでは、せっかくの日向の初登場ですので、実艦の解説を掲載しておきます。

戦艦日向は大正7年、三菱長崎造船所にて竣工しました。当初、扶桑型戦艦の4番艦
として着工の予定でしたが、財政事情から着工時期が遅れたため、扶桑型の欠点を
改善すべく、主砲の配置などの設計が大幅に改善されて完成し、竣工後たたちに第一
艦隊第一戦隊に編入されました。

その後、度重なる小改装によって性能向上がはかられましたが、昭和9年から11年に
にかけて、呉海軍工廠にて近代化の大改装が行われ、性能、外観ともに一新しました。

太平洋戦争が始まり、日向は伊勢と共に第一艦隊第二戦隊に編入され、主に内地
で訓練に使用され、待機しました。

昭和17年5月、射撃訓練中に第五主砲塔にて爆発事故が発生し、使用不能となったた
めに撤去されました。 日向は伊勢と共にミッドウェー海戦に出撃しましたが、主力空
母4隻を失ったため、これを補強する目的で空母の急造が必要になり、帰還した伊勢
と日向も改造されることになりました。

昭和18年、佐世保工廠で改造が行われ、同年11月に完了、後部の砲塔を撤去して
格納庫を設け、その上に航空作業甲板として水上機を搭載する航空戦艦となりました。

昭和19年5月付けで第三艦隊第四航空戦隊に編入され、レイテ沖開戦に出動、帰還
後は呉に繋留されていましたが昭和20年7月24日の空襲で大破、着底し、終戦を迎え
ました。


↑キットは、純戦艦時代のキットと航空戦艦時代のキットの2種類がハセガワより発売
されていますが、船体を共用している関係で、航空作業甲板と格納庫を取り付ける
ために、穴あけやモールド撤去、各部のスリ合わせなどが必要になり、いろいろと手
間のかかるキットではありますが、各パーツの精密さはWL戦艦キットの中でも最高
と言えるものです。


↑航空作業甲板全景。航空戦艦への改造は、俗に一八改装と呼ばれます。その後、
機銃増備と噴進砲の装備が追加されました。航空作業甲板の塗装は、戦後撮影され
た伊勢および日向の被弾後の写真の破片の様子を見るに、コンクリート製と考え、
船体色より少し明るめのグレーとしました。艦載機は瑞雲および彗星を塔載。瑞雲は
水上機ですので着水可能ですが、フロートを持たない彗星艦爆は、信濃を代表とす
る装甲空母に着艦させる案があったと言われています。



**総括**

これまで、幾度か「ハセガワのキットは組みにくい時期がある」と記載しましたが、妙高
型巡洋艦と、この伊勢型航空戦艦が、その極端な時期にあたるもので、格納庫を塔載
するために甲板上のモールドを切削したり、追加パーツを取り付けるために無数の穴
あけを行わなければいけない作業は、さながら「伊勢型ハセガワキット用航空戦艦化
コンバージョンキット」を組むような状況となります。(苦笑)  

ハセガワのそれまでのWL戦艦キットと言えば、極めて組みやすく、最小限のパーツ数で
美しい艦容を再現した金剛型高速戦艦のイメージがありましたが、同じ気持ちで取り組
むと本当にビックリさせられます。 

また、作業数が金剛型などと比べると3倍〜という状況にも関わらず、それら多数の作
業がわずか1ページの解説書にすし詰め状態で記載されていて、どういう順番に作業
を進めて行ったらいいか?初心者にはさぞ分かりづらいのではないか?という懸念が残ります。

しかし、パーツの合いの良さでもトップクラスにあたるのがこのキットの特徴で、特に複
雑な面構成となっている格納庫と航空作業甲板が、左右分割式の船体&甲板パーツ
にピタリと合う様子には、感動すら覚えてしまいます。

仕上がりが美しく、また初心者ウケする航空戦艦という特殊な形状の艦だけに、WL
初心者の心をつかむには、せめて説明書だけでも分かりやすく記載してくれたら良
いのにと願ってやみません。 

特に、格納庫の位置決めに必要な、船体後部の取り付け穴は、船体パーツ内側か
らピンバイスで開ける仕組みになっているため、先に船体を接着してしまうとリカバリ
ーができず、完成することのないプラモデルとなってしまいますので、ここだけでも
なんとか修正してもらえないものか?と考えるしだいです

(何故か、穴あけ指示の図面が、その他の組み立て指示の実線より薄く掲載されて
いるため、見逃してしまう人が多いのではないか?と心配しています)

AFVや飛行機モデルと比較すると、たしかに艦船模型はあまり一般的でないマニア
向けの世界かもしれませんが、キット自体があまりにもマニア向けに特化して行って
しまえば、新しいファン層を開拓することができず、将来的な業界の活性化に繋が
ってはいきません。

最近ではハセガワさんもそのあたりを良く理解されておられるようで、近年発売の
三笠、雪風のように、組み立てやすさと繊細な表現を両立した、素晴らしいキット
をリリースしてくださるようになりました。 

あとは、この伊勢型戦艦のような従来キットを、より取り組みやすく改良(説明書だ
けでも)していただければ、これほど嬉しいことはないのですが、それは所詮ユー
ザー側の贅沢な要求なのかもしれません。(笑)





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