1/350スケール 戦艦 三笠 日本海海戦
長谷川製作所製インジェクションキット















ハセガワ 1/350 日本海海戦時

6月16日夕刻入荷のキットを17日の夜までに完成させたものです。

比較的早い掲載ではないかと思われますので、これから製作予定の方は参考にして
みてください。

ディティールアップはエデュアルドとゴールドメダルの汎用パーツから流用し、空中
線はフラグシップのテグスによるものです。

HIGH-GEARedは個人的に戦艦三笠のファンで、横須賀の同記念艦を複数回訪れ
たのはもちろん、これまで同艦のレジンキットやメタルキットなどを数多く製作して参
りましたが、今回の新製品は間違いなく今後の決定品となるべきものと思います。

左右分割式の船体による舷側の繊細なモールドや、ジャッキステー、防雷桁の1本1
本まで別パーツとした繊細な再現は驚異的なもので、レジンでは再現が難しかった
副砲デッキはもちろん、内壁、果ては天井の骨組みまでモールドされていてまさに
驚くほどの完成度といわずにはおれません。

明治艦艇ファンには待望のキットと言えると思います。

***実艦について***

戦艦三笠は明治29年にはじめられた海軍拡張計画による敷島型戦艦の4番艦とし
て、明治35年(1902年)3月1日、英国ヴィッカース・ソンズ・アンド・マキシム社で竣工。

武装は30、5センチ主砲4門、15、2センチ副砲14門、7、6センチ補助砲16門、4、7
速射砲4門、45、7センチ魚雷発射管を4基装備し、最大船速18ノット、船体にクル
ップ鋼材による装甲を施されました。

この時期の造艦技術は日進月歩で進展しており、建造時期の違いによって敷島型4艦の
特徴は微妙に違いがあり、同型艦の敷島、朝日、初瀬の3艦が舷側に9インチのハ
ーベイ滲炭竣鋼材を使用していたのに対し、三笠は当時最新のクルップ鋼材を
使用していたことなどから、竣工当時、世界最強の戦艦と言えました。

竣工後、連合艦隊旗艦に就役した戦艦三笠は、東郷平八郎連合艦隊司令長官
指揮のもとに、日露戦争を戦い、日本海海戦においては艦列の先頭に立ち、有名
な「東郷ターン」を駆使してバルチック艦隊への完全勝利を牽引する役割を果たし
ました。

日露戦争後は、事故により一時佐世保港内に着底しますが1年後に浮揚され、海
防艦として活躍したものの、浦塩にて座礁し、再び沈没の危機に見舞われますが
なんとか離礁に成功し、なんとか帰港しました。 

その後には解体されることが決まりましたが、保存運動が広まり、横須賀に永久保
存が決まりました。 太平洋戦争後には接収ののち、一部を解体されて別用途に
使用されることもあったのですが、保存会の皆様のご尽力により、現在は復元され
て横須賀にてその姿を見ることができます。



***キット、パーツについて***

今回の完成品は先に紹介しましたように、ハセガワからリリースされたキットをいち
早く完成させたもので、汎用の1/350エッチングパーツを使用してディティールア
ップを施しました。


他スケールの三笠との大きさ比較。手前から1/700、1/500、そして今回の1/350です。
(これらの1/700、1/500モデルもギャラリーに掲載しています。また、1/300の作例もあります)

これまで大型のインジェクションキットでは三笠登場はなく、レジンキットやメタル
キットに頼るのが普通でしたが、今回のキット登場により、インジェクションの強み
を生かした造形で実物を精密に再現してあります。

キットは船体が左右に分割された構成で、キャンバーを的確に再現できるように
補強剤が組まれて合いもよく、舷側のモールドも大変繊細に表現され、その完成
度はまさに驚くほどのものです。 

また、中央構造物の側面や副砲デッキなどはレジンキットなどの場合は型抜き
の都合で再現されることはほとんどなかったのですが、このキットでは完璧に再現
され、内部の壁面や副砲の砲尾なども実物どおり再現されています。


↑舷側のディティールの繊細さはアップに耐えるものです。

ディティールアップはエッチングパーツによる手摺やタラップの追加、そしてテグ
スによる空中線の追加で、日本海海戦時に準じて製作してますが、フライングデッ
キ上などは模型映えを優先してエッチングパーツによる手摺の再現としました。


***船首と船尾***


船首にはキットの指示通り吃水ゲージをスライドマークで貼り付け、錨鎖も実物の
鎖を貼り付けて表現しました。


↑船首の様子。アンカーチェーンのガイドや防雷桁はそれぞれ別パーツで
繊細に再現され、艦首副砲ハッチも再現されています。


↑船尾側面も同様に繊細にモールドされています。


***船体のディティールアップ***

船体はサフで簡単に下地処理したあと、GSIクレオスの32番を吹き付け、舷窓は
全てスミ入れによってモールドのメリハリを強調しました。 

手摺はそのほとんどをエッチングパーツに交換または追加してありますが、船尾
デッキは菱形のモールドを生かす方向でキットパーツにスミ入れを追加して装備
し、マスト上はキャンバス張りとしてあります。

無数に搭載された短艇は全て細かく塗り分け、精密なモールドを生かしました。


↑無数にある短艇は全て塗装しました。

また、完成後にはこれらの短艇に隠れてしまう中央甲板も、製作時には細かく塗
りわけました。


↑完成後は見えなくなる中央甲板は、構造物や明り取りの天窓まで細かく
塗り分けました。(製作中の画像)。


↑副砲をデッキ側からみた様子。実艦をご覧になった方にはお馴染みの光景です。


↑完成後、真上から中央を覗いた図です

***主砲***

主砲はそのままでも良い出来ですが、ピンバイスで砲身を開口し、より繊細に
仕上げました。


↑ピンバイスによって開口した砲口と砲塔の全容です。


***手摺とタラップ***

手摺はエデュアルドの1/350エッチングパーツ、タラップはゴールドメダル製を使
用しました。

艦橋および艦橋背面はこれらの小物がよく映える部分ですので、特に集中的に
配置してあります。 


↑艦橋の周りはプラ製のキャンバスパーツで再現するよう指定されていた
のですが、繊細さを出したかったのでエッチングパーツに交換しました。


↑艦橋背面。司令塔やデッキ下の支えフレームも繊細に表現されていま
す。タラップは2種類を使い分けました。


***空中線について***

空中線の再現には今回はフラグシップの着色された模型用テグスを使用しました。

取りつけは全て瞬間接着剤によるものです。

この空中線は糸のようにメンテナンスの必用がないことがメリットです。


***塗装について***

塗装はスケール性を考慮した上で船体やパーツの本塗装の前には塗装後の塗
膜の発色を良くするために、船体外舷色部分にはホワイトサーフェーサーで下地
を作りGSIクレオスの32番を吹きつけました。

木甲板色の再現には、これも発色を考えてまず黄橙色を全体に吹いて黄下地とし、
その上からタミヤの木甲板色を塗装、更にマホガニーと黄橙色をコートし、最後に
もう一度木甲板色を吹き付けて色調に立体感を出しました。


↑左舷からの全体像

船底はセオリーどおり、艦底色を塗装し、最期に艶消しのクリアーを全体に吹いて
色調を落ち着かせました。


***台座について***

今回はオールナットの着色ニスにて着色した木製飾り台と真鍮製の高級飾り脚を
組み合わせて模型映えを追求し、台座には三笠のデカールを貼り付けて高級感
を演出しました。


↑台座も予算と手間をかけて高級感のある仕上げとしました。

***おまけ***

初回限定の東郷平八郎元帥のフィギュアです。 日本海海戦はもとより、当時の連合
艦隊のの主役とも言うべき人物で、海戦においては常に陣頭に立ち、秋山真之
(さねゆき)中佐の発案した丁字先方を駆使して日本海海戦の大勝利の立役者とな
りました。

余談ですが、HIGH-GEARedが誕生する頃、父が当時流行していた司馬遼太郎氏の
日露戦争を扱った某有名小説を読んでいた影響で、HIGH-GEARedは秋山参謀の名
を一文字頂いて生まれてきました。

(注:父もHIGH-GEARedも軍国主義者ではありませんのでお間違いなく)

フィギュアはメタル製のもので、HIGH-GEARedはサイトを初めて以来3回目のフィギ
ュア塗装に挑戦しました。

老獪な雰囲気を出したかったので、肌の部分などはエナメル塗料数色で重ねぬって
みたのですが、フィギュアの達人にはまだまだとても及ばない雰囲気ですね。


↑東郷平八郎連合艦隊司令長官、前から


↑東郷平八郎連合艦隊司令長官、後ろから

***総括***

戦艦三笠が好き!なんていうといかにもミーハーっぽいかもしれませんが、幼いころに
「海ゆかば 日本海大海戦」という映画をビデオで見て以来、現在でも記念艦として存
在するこの戦艦に心を魅かれていました。

当時、三笠のキットで有名なものは、小西製作所がリリースしていた1/300金属モデル
のみで、そのキット価格の高額さから、当時小学生だったHIGH-GEARedにはとても
手の出るものではありませんでした。(仮に手が出ても完成できなかったでしょうけど)

ですので、大型プラキットでの三笠のリリースというのは、まさに20年間願い続けた結果
ということでHIGH-GEARedの人生の中でも忘れられない感激と言えました。

成人してからは、実物の戦艦三笠を横須賀まで見に行ったり、シールズモデルからリ
リースされた1/700キットを、小さいなと思いながらもキット化に喜びつつ製作したり、
土産物の1/500レジンキットを組んでみたり、2004年には待望の小西製作所1/300
キットを組む機会に恵まれたりと、それなりに三笠を楽しんでこれましたが、このような
完成度の高いキットを素晴らしい初回限定品と供に手にすることができて、三笠ファン
の自分にとってはまさしく感無量というほかはありません。

レジンキットなどでは再現できなかった副砲デッキが実物どおり再現されている他に、
モールドが繊細であることはもちろん、左右に分割された船体をつなぎ合わせるフレー
ムが用意されていることと、木甲板も継ぎ目が、これまでの艦船模型に多かった「凸
モールド」ではなく「凹モールド」に変更されるなど、各部に画期的な技術が光ります。

先に述べたように、今後の三笠の決定版ともいえるキットで、これから多くのモデラーの
方々に、三笠の魅力を伝えて行ってくれるかと思うと、同じファンとして実に嬉しい気分
になります。

近いうちにもう一度組み、イースタンエクスプレスから発売されているバルチック艦隊
旗艦、1/350クニャージ・スワロフ(スウォーロフ)と一緒に並べて展示したいと考えて
います。 

初回限定の付属品や、プラッツからリリースの1/700三笠に付属している三笠甲板材
なども並べて日本海海戦100周年記念に相応しい展示品にしたいです。


1/350戦艦三笠 2回目ファインディティール(ハセガワ)の製作記はこちら

1/300戦艦三笠メタルキット(小西製作所)の製作記はこちら

1/500戦艦三笠レジンキット(三笠保存会製、ベルグ抜き)の製作記はこちら

1/700戦艦三笠インジェクションキット(シールズモデル)はこちら

2005年の戦艦三笠実艦の見学レポートはこちら

2001年の戦艦三笠実艦の見学レポートはこちら






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