1/700スケール 航空母艦 飛龍
AOSHIMA製インジェクションキット













青島文化教材社 1/700

実はHIGH-GEARedが小学生の時にはじめて製作した艦船模型が1/700スケ
ールのアオシマの飛龍でした。まだ右も左もわからない時代に製作し、
色も水性カラーで筆塗りしただけの地味なものでしたが、やはりはじめ
ての製作した作品は現在でも良い思い出として記憶の中に輝いています。

しかし、幾ら記憶の中で光り輝いているとはいえ、当時 飛龍のキット
はウォーターラインシリーズの初期の作品であり、開発4社の中でも最
も評価が低かったアオシマのキットということもあって、ディティールや
再現度の点で、とてもじゃないですが、現在の目を納得させてくれるもの
ではありませんでした。

日本海軍艦艇の中にあって特に活躍がめざましかった名艦だけあり、
長年リニューアルが待たれていたのですが、この度ようやくニューアオ
シマスタダードとして完全新金型としてリニューアルが施されること
になり、およそ半年にもおよぶ発売延期の末に登場しました。

今回製作したキットはアオシマの空母飛龍のリニューアルによってラ
インナップに加わった1942年当時の姿を再現したものとはべつに九六艦戦
九六艦爆九六艦攻をセットした限定生産のものです。


それでは、実艦の航空母艦飛龍について解説しましょう。

昭和5年のロンドン軍縮条約下において建造された空母が『蒼龍』『飛龍』
であり、昭和9年度軍縮拡充計画によるものでした。

設計は飛龍に先駆けて昭和12年度に完成した蒼龍の運用実績を踏まえ
た上で各種改良が施され、発艦する艦載機の邪魔にならないようにと
艦橋を船体中央部に配置することになり、右舷側だと煙突の排煙の影響
を受けるという理由から左舷側に配置されました。

この改良は操艦性を左右する重量配分という点では好ましい配置ではあ
ったのですが、これは着艦する艦載機に艦橋が起こす気流の影響が働い
て結果的には艦載機の搭乗員には評価されませんでした。(この教訓か
ら以降の空母では右舷側の配置となります)

しかしこうした問題は指摘されたものの飛龍の設計は世界的にも極めて
優秀なもので、34ノットを越える超高速性能、強靭な防御力、57機とい
う搭載機数など、当時最新鋭の近代型空母として活躍が期待されました。

連合艦隊史において知勇兼備の名将として知られる山口多聞提督指揮の
もと、その戦歴も華々しいもので昭和16年12月8日の真珠湾攻撃をはじ
めとして、ウェーキ攻略、ジャワ、ニューギニア方面掃討戦、インド
洋作戦においては飛龍発艦の艦爆隊が脅威的な命中率で英国空母「ハ
ーミス」重巡洋艦「コンウォール」を撃沈する成果を上げました。

ミッドウェー海戦においては、情報が錯綜する中での兵装転換作業の最
中、飛来した米国艦爆隊急降下爆撃によって寮艦『赤城』『加賀』『蒼龍』
の3大空母が大損害を被る中、唯一無傷で生き残り、米空母への攻撃を
続行、米空母「ヨークタウン」を航行不能に陥れました。しかし、残り
2隻の米空母を発艦した攻撃隊からの空襲で直撃4発、至近弾2発を被弾し、
航行不能に陥りました。

その後、飛龍は駆逐艦「嵐」「野分」によって雷撃撃沈処分がなされまし
たが沈没せず、後に味方空母鳳翔の偵察機によって漂流するすがたを発見
されたものの、その後2度とその姿を見られることはありませんでした。



今回、ベースにしたキットは日本中空母モデルファンからリニューアルが
待望され、今年5月に遂にニューアオシマスタンダードとして登場した最新
キットの限定版です。

これは近年のアオシマが自慢とする繊細なモールドや行き届いた考証など、
昨年末からの大幅な発売日延期も納得させる素晴らしい仕上がりのキット
で、機銃スポンソン支柱なども近年登場の最新キットと同様に三角片から
支柱としてのモールドに変更され、より実感的な仕上がりとなっています。。


今回はこのキットをベースに、ピンバイスによる舷窓のさらいなおし等の
基本的な作業を行い、トムズモデルワークスとゴールドメダルモデルズの
空母用エッチングパーツやジョーワールドの窓枠、フラグシップの極細模
型用チェーン、極細テグスによる空中線再現、そしてピットロードのディ
ティールアップインジェクションパーツなどをふんだんに使用してディティ
ールアップを施しました。

まず船首ですが、フェアリーダー以後に手摺を配し、アンカーチェーンを
フラグシップの極細の鎖におきかえて本物の立体感を表現しました。


↑船首転落防止ネットの様子。画像には映っていませんがアンカー
チェーンも実物の精密チェーンを使用しています。また、シールド
なしの機銃はすべてピットロード製に置き換えてあります。

舷側のモールドにはトムズモデルワークス製のエッチング手摺を多
数配置、艦橋脇の坂道状になった部分も再現しています。

スポンソンに備え付けられる対空攻撃用の25mm3連装機銃および船首
の2連装機銃は全てピットロード艦船装備セットの2ps構造のものに
交換し、立体的かつ精密に表現しました。また、シールドなし連装
高角砲は観測室の足の部分を削りとって実物に準じた形状に加工し
てあります。

艦橋窓もプラスチックの窓枠モールドを切削可能し、ジョーワール
ドの製密窓枠のエッチングパーツを使用して窓枠を立体的に再現し
ました。


↑艦橋周りのディティール。艦橋は窓枠再現の他にタラップの追加
丸窓のザグリ直し、黒板の塗装再現などを行っています。カッター
の上に置かれたオールは0、3ミリの真鍮線を加工した自作のものです。

マストは基部のみにエッチングパーツを使用し、実感的なトラス構
造を再現し、頂部は真鍮線で自作しました。


艦載機は1939年当時の飛龍の再現ということで、限定キットにセッ
トされた『九六式艦上戦闘機』と『九六艦上攻撃機』、『九六式艦
上爆撃機』を3機ずつ、合計9機搭載しました。

艦載機の塗装は昭和初期の機体銀色および尾部赤色塗装としていま
す。プロペラは四枚羽根のプロペラ用エッチングパーツを加工して
2枚羽根としています。またこの艦載機は1機あたり5個の精密なパ
ーツによって組みあがってますので強度が少ないため、今回は飛行
甲板に瞬間接着剤で固定してみました。


↑1939年当時の艦載機郡とエッチング使用によるマスト、空中線の再現。

空中線の再現には今回は0、6号釣り糸(太さ0、128mm)を着色し
て使用しました。取りつけは全て瞬間接着剤によるものです。

そして塗装ですが、スケール性を考慮した上で船体やパーツの本
塗装の前には塗装後の塗膜の発色を良くするために、ホワイトサ
ーフェーサーで下地を作った白たちあげにて塗装しています。

船体色の再現には白下地の上からGSIクレオスの32番を吹きつけ
ました。

飛行甲板の木甲板色の再現にはGSIクレオスのタンをベースにサ
ンディブラウン、ウッドブラウン、黄燈色を薄めたものをコート
して木甲板独特の立体的な色調を表現しました。

甲板のマーキングには全てキットに付属のデカールを使用し、
甲板上の各種モールドにはスミ入れを行ってモールドのメリハ
リを強調しています。

船底はGSIクレオスの艦底色で、外舷色、船底色などはすべてエ
アブラシによる重ね塗りを3回施し、最期の仕上げに船体全体に
艶消しコートを施して質感を統一するとともにデカールの保護を
行いました。


**総括**

長年リニューアルを楽しみにしていたキットだけあって、発売後
にはすぐに製作したいと考えていたのですが、当時はなにかと多
忙で少し製作が遅れてしまいました。

その分、完成を急ぎすぎてしまったみたいでディティールの省略
が多く、仕上がりは若干消化不良になってしまいました。 キット
のモールディングは以前のキットとは比べ物にならないほどに
精密化しているのですが、パーツ合わせの精度はタミヤキットと
比較すると若干合わせにくかったと思います。

機会があればもう一度挑戦してみたいです。飛龍は比較的資料が
多いので、こうした良い素材の登場で、より飛龍の魅力を引き出
せる完成品の仕上がりが期待できそうです。






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