1/350スケール 戦艦 大和 新考証9回目
田宮模型製インジェクションキット 17回目
航空作業甲板ディティールアップ













タミヤ  1/350 戦艦大和17回目 (新考証9回目)

おなじみの1/350戦艦大和。 17回目の今回は、これまでやってこなかった航空作業甲板
のディティールアップに挑戦しました。

このディティールアップというのが、またやってみるとなかなか効果の大きく、「もっと
早くやっておけばよかった」と痛感するもので、これまでの完成度でそれなりに満足していた
自分は、大和モデラーとしてはまだまだだな〜と思い知らされました。

ところ最近、1/350大和の製作についての質問メールを数多く頂くようになりました。

質問の内容は同じことが多いこともあって、返信も同じ内容になりがちですので、特に多い
質問につきましては、このレポートの最後の「総括」の部分にQ&Aを掲載しておくことに
しました。

そのうち、コンテンツとしてまとめる可能性もありますが、よろしければご参照ください。


***戦艦大和 実艦について***

日本の造艦技術の高さを世界に示した巨大戦艦大和は昭和12年11月に呉海軍工廠
にて起工、昭和16年12月に竣工しました。

水線長256メートル、最大幅は38、9メートル、排水量約7万トンの巨体に46センチ主砲と
いう巨砲を9門搭載。その大きさ、武装は当時世界最大、最強を誇りました。主砲の46セ
ンチ砲は最大射程41キロにも達し、距離30キロにて厚さ43センチの鋼鉄板を貫通させる
威力を持っていました。

一方、防御力の面でも基準排水量の3割になる21266トンの装甲板を使用。艦の全長をで
きるだけ短くし、艦橋や砲塔、機関部などの重要部分を中央に集めた集中防御方式を採
用して高い防御力を実現しました。さらに、水面下の形状ででもっとも特徴的なバルパス
バウ。3メートルも前方に張り出した球状の船首は、その他の工夫と相まって造波抵抗を
軽減、推進効率に優れた艦形を実現しています。

こうした技術が戦後日本の造船界に遺産として受け継がれました。 大戦中はミッドウェ
ー海戦やレイテ沖海戦に参加し、太平洋に君臨した大和でしたが、昭和20年4月7日、
菊水作戦による海上特攻部隊として沖縄に向かう途中、300機からなるアメリカ海軍機の
猛攻を受け、ついにその姿を海中に没しました。


***キットとディティールアップについて***

模型の大きさは全長はおよそ77cmです。

タミヤの1/350戦艦大和はそのまま組むだけでも充分精密で存在感のあるモデルですが、
設計が古いため、現在の目でみるといろいろと考証の誤りが多いキットでもあります。

そこで、機銃配置を中心に最新の考証に合わせるべく、市販ディティールアップパーツ
と自作パーツをふんだんに使用して現在の考証に近づけました。

市販のディティールアップパーツにはゴールドメダルモデルズの1/350戦艦大和、武蔵用
およびエデュアルドの1/350大和用を主に使用し、今回それプラスはじめてゴールドメダル
モデルズの追加パーツセットを使用しました。

ゴールドメダルのパーツは電探や主砲、副砲、構造物上の手摺、タラップ、カタパルト、ク
レーン、煙突周りの通路に使用し、エデュアルドのパーツは構造物や航空作業甲板の滑
り止めモールドおよびメッシュ部分、缶室吸気口のフィンや甲板手摺などに使用しました。

追加パーツは主に船尾のパーツが中心で、航空作業甲板運搬軌条や支柱など。その他、
エデュアルドのパーツセットと重複している缶室吸気口フィンや、窓枠などです。 窓枠は
これまで他艦用パーツ流用が多かったのですが、この機会にゴールドメダル追加パーツ
セットのものを使用してみました。(エッチング板の厚みがレール関係に合わせてあったので
使いやすくはありませんでした)

キットで省略されている高角砲デッキの射界制限枠は真鍮線を現物あわせで切り揃え
て自作しました。

機銃ブルワークは角型形状のものはほぼ全てプラバンで自作したものです。


↑鋼板継ぎ目の再現をなくし、船尾のディティールアップを追加した以外のディティール
アップは、ここ数作の作例とほぼ同じです。


↑おなじみとなった機銃位置変更およびブルワーク自作。


↑主砲は最近真鍮砲身も次々リリースされてますが、今回は砲口の開口による再現です。


↑今回のディティールアップで煮詰めたのがこの航空作業甲板周りのディティールアップです。

この部分は艦載機を搭載しない模型の場合は何かと寂しくなりがちなのですが、この立体感は
大きなアクセントとなります。


↑再現方法は、航空作業甲板にモールドされているプラモールドをノミやナイフ、ヤスリを使って
完全に除去したあと、ピンバイスでレールの取り付け穴をあけ、エッチング製のレールを一本
一本ピンセットで取り付けていく方法です。 

この辺りのディティールは従来の方法の5倍手間がかかりますが、見栄えは10倍以上良くなる
のでオススメです。


内火艇搬入口上部の支柱もエッチング化しました。 運搬軌条と同じくゴールドメダル追加パ
ーツを使用し、キットのモールドはレールと同じく全て切削除去してから貼り付けました。

手摺やタラップの再現には大和ミュージアムの1/10模型写真集を参考にしました。タラップ
本体は1/350ゴールドメダル大和用エッチングパーツから、踊り場部分は支柱をとりつける関
係で切削してしまっているので、プラバンにて自作しました。


**総括**

今回は初めて船尾周りのディティールを煮詰めてみたのですが、ゴールドメダルの追加パー
ツセットがここまで効果的だったことを初めて知りました。

HIGH-GEARedが1/350大和のディティールアップを始めたころはまだリリースされていなか
ったパーツとあって、発売時には内容を一度確かめたことがあるのですが、あまり使用するこ
とのない単装機銃関係のパーツや、エデュアルドと重複している吸気口フィンのパーツばか
りに目が行ってしまい、あまり必要性のないもののように感じていました。

しかし、今回はじめて使用してみたところ、大スケールだけにレールや支柱関係のディテ
ィールの充実は実に大きい効果があることがわかり、今回は大きな収穫を得ることができました。

1/350大和用パーツでまだ試していないのは、ホワイトエンサイン製のもので、こちらは高角
砲や機銃をディティールアップできるパーツが多く含まれているので、2006年中に試して
みる予定です。 また、1/350戦艦三笠2回目で使用してすっかり気に入ったライオンロアか
らも1/350大和用パーツのリリースが発表されているので、既に予約済みです。

1/350大和ファンとしてはまさに待っていた時代が来たという気がします。 ぜひ後世の残
せるような大和の素材に期待したいです。


ところで、上記しましたように、最近1/350大和に関する質問メールを数多く頂いています。

毎回同じ答えを返すことが多いので、特に多い質問に関してここに記載しておきます。
↓↓↓

>>>ハンモックか土嚢と思われる応急ブルワークの作り方

エポキシパテを使って粘土細工の要領で作ります。 当サイトの作例では伸ばしたパテ
に切り込みを入れて再現していますが、ひとつひとつを個別に作って積み上げればなお
実感的になるはずです。 

>>>副砲防水布の作り方

応急ブルワークと同じでエポキシパテを使います。方法についてよく聞かれるのですが、
詰め込んでだいたいの形を整え、固まったらナイフやヤスリで精度を出します。

>>>中央構造物のマスキング

一番多いのはこの質問です。 何か簡単にやる裏技でもあるのか?と思われる方が多い
ようですが、実際は6ミリ幅のマスキングテープをピンセットなどを使って地道に貼り付け
ていくだけの作業です。 この作業は本当に地味で時間のかかるもので、1/350大和の
製作を10回以上行ってきて慣れていても、かかりっきりで3〜4時間程度はかかってしま
います。 

また、どんなに隙間なくマスキングしたつもりでも、エアブラシの塗料の微粒子が入り込
むミクロなスキマというものを完全に消し去るのは難しいので、マスキングが終わった時
点ですぐに甲板塗装には移らず、まずは滲み止めに船体色を一度吹き付けています。

こうすることで、ミクロなスキマを塗膜で埋めることができます。もともと塗ってある色と同
じですから、塗料が入り込んでも問題なく、塗膜がスキマを埋めると同時にマスキングテ
ープの剥がれ防止にも役立ってくれます。

また、甲板塗装も船体色の上に直接塗装したのでは発色が悪いので、まずはベース
ホワイトで隠蔽し、続いてブラウン系の下地となるイエローを吹き付け、それから甲板色
を塗装します。 これをやるのとやらないのとでは発色が段違いですので、これだけは
絶対にオススメです。 

たくさんの塗料を重ね塗ることになるので塗膜が厚くなりすぎないように注意しましょう。
塗膜を厚くしないコツは、薄く吹いては乾かし、また吹いては乾かしを繰り返すことです。

>>>砲身の中心にうまく穴をあける方法

砲口をあける部分にデザインナイフやカッターで、できるだけ正確な十字のミゾを彫り、
その十字の交差した中心にピンバイスをあてると、ドリルが逃げにくくなって上手くいきます。

>>>1/350大和の滑り止め鋼板パーツについて

エデュアルドの1/350大和エッチングパーツセットから使用しています。武蔵用には大
和用にはない部分の滑り止め鋼板パーツが含まれているので両方使用すれば、この
あたりの再現には困ることがないと思います。 まだまだ情報量が少ないのと、取扱店
が少ないのがネックですが、エデュアルドのパーツは価格対効果の度合いが大きく、
オススメです。






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