1/700スケール 高速戦艦 比叡
HASEGAWA製インジェクションキット













ハセガワ 1/700

戦艦比叡は金剛型巡洋戦艦の2番艦として明治44年横須賀海軍工廠にて起工され、
大正3年に竣工しました。金剛型一番艦の金剛が英国に発注して建造されたのに対し、
比叡は同型艦でありながら日本国内で建造され、日本海軍史上初の国産ド級戦艦と
なりました。

『ド級』とは英国の巨大戦艦ドレッドノートと同等の装備を誇る巨艦のことを指し、『超ド級』
とは文字通りドレッドノートを超える戦力となる大型戦艦のことです。

同時期に完成したこの超ド級戦艦である金剛級4艦は当時、世界最強巡洋戦艦部隊
と目され世界の注目を集めたのですが、ジュットランド海戦において、上部から砲弾を
受けた際の防御力の不足が露わになったため、その戦訓を取り入れて防御力強化の
改装工事に入ったのですが、比叡は工事途中において締結されたロンドン軍縮条約
にともない練習戦艦とされることが決定し、改装工事を中断しました。

活躍が期待された比叡は一旦主戦力からは外れ、内地で寂しく練習戦艦としての時
代を送ることになるのですが、この時代には大観艦式に参加し、昭和天皇のお召し艦に
任命されるという日本海軍戦艦郡の中にあって最高の栄誉を得る事もありました。




その後、ロンドン条約は破棄され、改装が遅れていた比叡にも改装工事が施され、司
令塔や艦橋の一部が後の大和型戦艦の試験用とされたため最新式の九八式方位盤
照準装置と九八式射撃盤を装備、これにより前檣楼トップの形状が他の3艦と異なり、
昼戦艦橋回りの遮風板や司令塔の形状など、大和型戦艦にとてもよく似た形状にな
しました。工事は1940年に完了、第1艦隊第3戦隊に編入されて開戦を迎えます。

緒戦では真珠湾攻撃をはじめとして、赤城、加賀を中心とする南雲機動部隊に随伴し
て護衛を勤め、その後は南方作戦を展開、途上スターリング湾で米駆逐艦エドソール
を撃沈する戦果を上げました。

ミッドウェー海戦では機動部隊からは離れ、攻略部隊の1艦として出撃しましたが、ミッ
ドウェーでの敗戦の後は即座にソロモン海域に進出。阿部少将の指揮下、比叡、霧島
の2戦艦を旗艦としてガダルカナル島砲撃作戦を企画しました。

この作戦は以前にガ島ヘンダーソン飛行場へ艦砲射撃を行った金剛、榛名の大戦果の
後を受けて企画されたものですが、作戦海域は暗夜に加えスコール等の悪天候で視界
が遮られ、いきなり重巡洋艦サンフランシスコを旗艦とする米艦隊と鉢合わせして超至近
距離での砲撃戦を展開することになりました。

このとき比叡は暗夜の中、照射砲撃を敢行し、艦砲射撃用に装填していた三式弾を初
弾から軽巡アトランタに命中させるなどの効果をあげたものの、探照灯を照射していた
ため敵砲弾を吸収、艦橋に直撃を受け、西田艦長以外の艦橋要員、司令部要員の多
くが犠牲となったために艦の命令中枢が働かなくなってしまいました。

その後、更に重巡サンフランシスコの20cm砲弾が艦後部に命中し、舵機室が浸水し舵
が面舵のままロックされて躁艦不能に陥りました。

結果的に日本艦隊は米艦隊に大きな損傷を与え、また日本側も甚大な被害を被りま
した。比叡は即座に舵の修復にかりましたが艦長の努力も虚しく、サボ島近海を漂流、
敵制海権においては曳航不可能と判断され、キングストン弁を開け自沈しました。比叡の
沈没は太平洋戦争における日本戦艦初の沈没艦となってしまいまいました。



今回はHASEGAWAのウォーターラインシリーズの高速戦艦比叡のキットをスタンダード
に組み、ゴールドメダルモデルズの日本戦艦用エッチングパーツから比叡に合うものを
選んで組み込みました。

HASEGAWAの比叡はウォーターラインシリーズからFUJIMIが脱退してから新規設計さ
れたもので、リニューアルキットのシリーズの中では比較的旧い部類に入ります。しかし、
それまでFUJIMIのキットしかなかったことを思えばHASEGAWAの堅実なモールディング
のキット登場は当時はとてもありがたく思えました(田宮の瑞鶴、翔鶴がリリースされたの
もの同じ時期だったと思います)。 キットは航空作業甲板の形状が金剛型4隻で統一
されてしまっていますが、艦橋などの構造物は新規設計されたものです。


↑比叡独特の艦橋形状が手際よく再現されています。この角度ではあまりわからない
のですが、昼戦艦橋周りや司令塔の形状は大和型戦艦のテストケースとして設計され
ているため、良く似た形になっています。観測室や測距儀の仕組はほぼ同じものの
ようです。第二砲塔上の空中線支柱は真鍮線で自作しました。艦橋は階層ごとにリノリ
ウムの床面を塗り分けました。


↑曇天のため、今回はあまり鮮明な画像を撮影することができませんでした。しかし
このボヤけ具合が逆に実感を醸しているような気もします。(笑) 機銃や細かいギ装
品はピットロードのパーツを使用、機銃もいつもどおり2psのものに置き換えてます。
舷窓は左右分割船体ではない当時の成型技術の問題で省略されている箇所が多い
のでピンバイスで追加しました。



**総括**

金剛型戦艦の製作は結構久しぶりで2年ぶりくらいになります。金剛型の場合は同型
艦が多く、また1艦1艦の構造物にそれぞれ特徴があるため、船体を共有しているHA
SEGAWAキットを辛辣に評価する向きもありますが、フジミのキットはほぼ箱換えのみ
で年代も不定だった(対空兵装強化前に沈没した艦なのに滞空兵装が強化されてい
たり)ことを考えるとこれはこれでなかなか良くできたキットと思います。

最近のHASEGAWAの艦船はディティールはどんどん素晴らしくなっていきますが、その
反面、部品点数の増加や若干の組み立てにくさが目立ちます。そんな中でリニューアル
キットラッシュの最初にリリースされたこの金剛型は部品点数も程よくまとめられてディテ
ィールの再現度、省略度ともに適度で多層型艦橋の日本戦艦を組みたい艦船模型初
心者には最適のキットと思います。比叡、金剛、榛名、霧島ともにスタイリッシュな艦容
が美しい船ですので4隻製作して並べれば日本海軍連合艦隊華やかなりし時代に思い
をはせることができそうです。





SCALE MODELSに戻る


左側にメニューページが表示されない場合はここをクリック

艦船模型製作代行 モデルファクトリー ハイギヤードはこちら

スケールモデル完成品販売ネットショップ CHERRY&ANCHORはこちら

■管理人オススメ!本格海戦ゲームアプリ「蒼焔の艦隊」■


↑Android版のダウンロードはこちら↑

↑iOS版のダウンロードはこちら↑

フル3Dで作成された艦艇で迫力の大海戦を勝ち抜いていくゲーム。無料にて配信中!(一部有料アイテムあり)






inserted by FC2 system