1/700スケール 高速戦艦 榛名
HASEGAWA製インジェクションキット













ハセガワ 1/700

きました、遂に・・・。 なんと1/700洋上模型はこれで100隻目になります。

記念すべき1/700洋上模型100隻目の今回は先日アップした航空戦艦日向に引き続
き、HIGH-GEARed HOBBY WORKS!!(単体ギャラリーとして)初登場となる今回
の作品は、ウォーターラインシリーズのハセガワ製 高速戦艦榛名になります。

手摺や空中線の追加などの基本的なディティールアップの他、舷窓や副砲撤去
跡など、考証に基づいた調整を行い、1/700大和ファインディティール以降の定番
となってきた走航波を再現しました。


↑榛名全景。船体の全長は約31、5cm、台座の長さは37cm程度です。

今回の主なディティールアップおよび調整箇所は以下の通りです。

ゴールドメダルエッチングパーツ使用
(↑手摺、ラッタル、電探、航空機運搬クレーン、射撃指揮所ヤグラ等)
ピットロードエッチングパーツ使用
(↑カタパルト)
船首エッチングフェアリーダー使用(ジョーワールドパーツ)
艦橋窓枠エッチング化(ジョーワールドパーツ)
閉塞舷窓再現(パテ埋め)
副砲撤去跡閉塞(プラ板)
主錨モールドを切削し、WLリニューアルパーツを取付
スカッパー自作(プラ板)
波切り板自作(プラ板)
短艇運搬クレーン自作(真鍮線)
主砲塔防水キャンバスを自作(パテ自作)
主砲身バリ取りおよび砲口開口(ピンバイス加工)
機銃パーツ交換(WLリニューアルパーツ使用)
高角砲パーツ交換(WLリニューアルパーツ使用)
艦載機WLリニューアルパーツ化(零観、水偵各1機)
錨鎖精密チェーン化(フラグシップ超精密チェーン)
空中線再現(テグス)

それぞれのディティールアップについては、この後詳細に紹介していきます。

当ギャラリー初登場ということもあり、まずは実艦の解説からご覧ください。


***高速戦艦 榛名 実艦について***

榛名は金剛型戦艦の3番艦として、1912年に神戸川崎造船所で起工され、1915
年に竣工しました。 金剛は英国に発注して建造した戦艦でしたが、榛名は同型
艦霧島と共に、国内の民間造船所での建造となり、大型艦建造技術の育成の原
動力にもなりました。

完成後は金剛型戦艦4隻で巡洋戦艦部隊を編成しました。その後、第一次大戦
の戦訓を踏まえた改装が数次にわたって行われ、太平洋戦争時には近代的な
高速戦艦に改造されて参戦し、緒戦は南方作戦に従事し、以後、ミッドウェー海
戦、ソロモン作戦、マリアナ沖海戦、レイテ沖海戦など、数々の海戦に参加。

米軍機の攻撃によって損傷を受け、内地に帰投したのち、呉軍港大空襲の際に
被爆し大破着底。 終戦後に解体されました。

同型艦金剛、比叡、霧島が次々と沈没していく中で、榛名だけが終戦まで海上
にその姿を残しました。


↑高速戦艦榛名。後部よりの全景。


***キット、組み立て、ディティールアップについて***

キットはフジミがWLシリーズを脱退した後にハセガワによってリニューアルされ
たもので、フジミ製品で指摘されていた考証面を修正し、ナックルのない国産
砲塔形状を再現したほか、榛名だけが同型艦と異なっている煙突の取り付け
位置および特徴のある後部艦橋を専用パーツとして設計した秀作です。

今回はこのハセガワ製キットを使用し、手摺や空中線の追加などの基本ディ
ティールアップを行ったほか、大戦末期の姿を再現しているキットの考証を、
に更に実艦に近づけるための各部修正を行いました。


***船体***


ハセガワの榛名キットは大戦末期の姿を再現したものですが、船体パーツを
大戦初期の設定である比叡や霧島と共通としたため、大戦末期の艦艇の特徴
である閉塞舷窓と副砲撤去跡が再現されていません。

そこで、舷窓の閉塞はモールドのパテ埋め、副砲撤去跡はプラ板の張りつけ
にて再現してみました。


↑パテ埋めにて再現した閉塞舷窓の様子。船首周りの下段を閉塞しました。


↑プラ板貼付にて閉塞した副砲撤去跡。

また、キット状態で状略されている第一主砲塔の波切り板をプラ板で自作した
他、舷側船体中央部に取り付けられていたと思われるスカッパーも、プラ板で
自作して追加しました。

その他に、船首フェアリーダーをジョーワールドのエッチングパーツにて再現し、
船体パーツに一体モールドされた主錨を切削してWLリニューアルパーツのもの
に置き換えるなど、各種処理を行いました。



***主砲および対空兵装***

主砲身は0、4ミリのピンバイスにて開口し、砲身基部にはキットで省略されてい
る防水キャンバスをパテ自作して追加しました。


↑第一主砲塔周辺。自作防水キャンバスと開口された砲身、そして「船体
のディティールアップ」で紹介した自作波切り板などの様子。

ハセガワの金剛型戦艦キットには、対空兵装の高角砲および機銃が専用で用
意され、WLリニューアルパーツは含まれていませんが、この専用機銃および
高角砲は1/700用に使用するには少々大ぶりだったため、WLリニューアルパ
ーツの大型艦用ランナーを2枚用意し、交換しました。

高角砲は、観測室の下部を切削して床面より浮かせた状態とし、実物の高角砲
の形状に似せる加工を施しました。



***艦橋等の中央構造物***

艦橋は窓枠のプラモールドを切削し、全てジョーワールドの窓枠エッチングパ
ーツに交換しました。 内部に空間があり、メリハリのある仕上げです。


↑艦橋のクローズアップ。窓枠をエッチング化するディティール
アップを行いました。

艦橋の各層は床面にリノリウムに模した塗装を施し、夜戦艦橋天蓋に手摺を
追加、艦橋頂部の21号電探はエッチングパーツに交換し、取り付け場所も
修正しました。

艦橋と第一煙突の中間部分外側にある機銃射撃指揮所のヤグラはゴールドメ
ダルの日本海軍戦艦用エッチングパーツに交換し、精密化しました。


↑船体中央部のクローズアップ。空中線の様子も。

また、航空作業甲板上の艦載機は、キットに付属のものは使用せず、対空兵
装と同じWLリニューアルパーツに交換しました。 

キットには水偵しか付属しておりませんが、零観と水偵を1機ずつ合計2機配置
してあります。もちろん、プロペラはエッチングパーツにて再現済みです。

 なお、カタパルトはピットロード製のエッチングパーツに交換し、航空機運搬
クレーンのトラス部分もエッチング化、キットにて省略されている短艇運搬用の
デリッククレーンは真鍮線で自作して追加しました。


↑船体中央部、別角度から。対空兵装と自作したデリッククレーン等の様子。



***塗装について***

船体および甲板、また艤装のほとんどの塗装はエアブラシによって行いました。

艦橋の床面や防水キャンバス、短艇などの一部の色刺しは筆塗りによるものです

全てのパーツには1200番のサフによる下地を作り、滑らかに仕上げました。

船体色はGSIクレオスMrカラーの軍艦色2、船底は艦底色、甲板の塗装は
発色を重視し、一旦黄色の下地を作った上で、自家調合の甲板色(タン、
ウッドブラウン、黄橙色等を調合)を吹き付けてあります。


↑榛名完成品の全景。ローアングルから。


***空中線***

空中線は、フラグシップの超極細テグスを着色して使用し、取り付けました。

要所要所にガイシを模した塗装を施してあります。



***展示台およびケース***

ケースはWLシリーズの完成品の定番でもあるWAVEのT-CASE WM(幅360
×奥行90×高さ100ミリ)を使用しています。

同ケースの台座にタミヤから限定発売されたウェーブボードをクリアーブルー
に塗装したものを貼り(ネジ固定ですので取り外すことも可能です)、走航波を
自作しました。

波再現は先日制作方法をアップしたばかりの、エマルジョン系のメディウムを
使う方法で行い、波頭の塗装にはリキテックスを使用しています。


***総括***

このギャラリーを長年ご覧になっている方でしたら良くお分かりと思いますが、当サイト
の1/700洋上模型ギャラリーには登場回数の多い艦種と少ない艦種がはっきり別れる
傾向があります。

大和や赤城のような、人気のある艦が増えていくのは仕方ないことですが、自分として
も、この登場回数の差異は埋めて行きたいのが本音でして、まだ日本戦艦として登場し
ていない陸奥(素組ギャラリーにはアリ)と霧島、そして榛名(これも素組のみ)と、2006
年中に順番に埋めて行く方向で検討しはじめ、今回の榛名は その最初の例となります。 

100隻も製作しているのに、八八艦隊整備戦艦(未成艦除く)が揃っていないのは
あまりに寂しいので今後何とかしていく予定です。

榛名はギャラリー公開前に一回、公開後に素組を一回製作しているのですが、1990
年代のことですので、今回はいちからはじめる気持ちでやりました。

ハセガワの金剛型戦艦は評価が別れるキットですが、精密さと作りやすさのバランスを
重視するHIGH-GEARedとしては好みのキットです。 

舷窓や副砲撤去跡の閉塞など、今回は大戦後期の姿への改造をいくらか行っていま
すが、これらの処理は他の艦艇にも役立ちますので、状況に応じて今後も採り入れて
いきたいと考えています。







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